29 / 54
29、茜の遠い思い出
しおりを挟む
「ふあー。おはようアオイ」
「ああ、おはようアカネ」
寝起きの眠い目をこすりながら時計を見ると、時刻は午前7時。わたしは顔を洗ってからコーヒーを淹れる。
秋津くんの依頼を達成した日、わたしは心身の疲労から倒れるように眠ってしまい、起きたのが次の日の夕方だった。一応次の依頼があったみたいだけど、アオイもその日はわたしに休むように言ってくれて、依頼人に会うのはその次の日、つまり今日ということになった。
「体の調子はどうだい? アカネ」
わたしがアオイの向かいのソファーに座ると、アオイは読んでいたマンガから目を離して聞いてくる。
「もう、ばっちりだよ! むしろ前より何かしらが強くなった気がする!」
わたしは無い力こぶを見せつけながら返事をする。
「そうか。それならなによりだ。今日の依頼にも全力で当たれそうだね」
そう言うとアオイはまた目線をマンガに向け直す。
「そんなツーンとした態度とってもわたしはもう分かってるからね。アオイはほんとは依頼なんか関係なくわたしの体を心配してくれてるってね!」
アオイはぷいっとわたしと逆方向に向いてマンガを読み続ける。
「またまた照れちゃって~」
わたしはアオイのお腹をくすぐる。
「! やめろアカネ! はははは!」
アオイは体をひねってわたしのくすぐりから脱出して逃げる。
「あ、待て待て!」
わたしは逃げるアオイを追う。
「やめろ! こっちにくるな!」
「いやですー!」
わたしたちは家の中を走り回る。今の家は昔わたしが両親と過ごしていた家なので、一人暮らしにしてはやたら広い。高校生が言うことじゃないけど、おにごっこには困らない。
「待てー! …………! あ、アオイ危ない!」
わたしは後ろを見ながら走るアオイがタンスに突っ込みそうになっているのを見てアオイに声をかける。
「え? へぶっ!」
が、時すでに遅しだった。アオイはわたしが聞いたこともないような声を発しながらタンスに衝突した。
「だ、大丈夫アオイ!?」
わたしはすぐさまアオイに駆け寄る。
「うう……だい、じょう、ぶ、だ!」
「え?」
アオイは反撃とばかりにわたしのお腹をくすぐる。
「よくもやってくれたな!」
「あははははは! ごめん、ごめんなさい!」
アオイのくすぐりは1分以上続き解放されたときにはわたしはくたくたになっていた。
「はあ、はあ…………。…………ん?」
わたしはわたしをくすぐっていたアオイの後ろに何かを見つける。
「なんだろ、これ?」
わたしは立ち上がって確認する。どうやら、アオイがぶつかった時にタンスから落ちてきた物らしい。
「『かたたたきけん』? しかも二枚ある。…………これってたぶん、昔わたしがお父さんとお母さんにプレゼントしたものだよね。いつプレゼントしたんだっけ…………?」
わたしはそこで、後ろから感じる冷たい視線に気がつく。
「アカネ…………!」
「あ、アオイ…………。ご、ごめんなさい…………!」
アオイはわたしに背を向ける。
「絵本は後だ。さっそく依頼人に会いに行くよ、アカネ」
「はーい…………。」
わたしは肩たたき券をとりあえず机の上に置いて、アオイに言われるがまま準備をして外に出かけることにした。
「ああ、おはようアカネ」
寝起きの眠い目をこすりながら時計を見ると、時刻は午前7時。わたしは顔を洗ってからコーヒーを淹れる。
秋津くんの依頼を達成した日、わたしは心身の疲労から倒れるように眠ってしまい、起きたのが次の日の夕方だった。一応次の依頼があったみたいだけど、アオイもその日はわたしに休むように言ってくれて、依頼人に会うのはその次の日、つまり今日ということになった。
「体の調子はどうだい? アカネ」
わたしがアオイの向かいのソファーに座ると、アオイは読んでいたマンガから目を離して聞いてくる。
「もう、ばっちりだよ! むしろ前より何かしらが強くなった気がする!」
わたしは無い力こぶを見せつけながら返事をする。
「そうか。それならなによりだ。今日の依頼にも全力で当たれそうだね」
そう言うとアオイはまた目線をマンガに向け直す。
「そんなツーンとした態度とってもわたしはもう分かってるからね。アオイはほんとは依頼なんか関係なくわたしの体を心配してくれてるってね!」
アオイはぷいっとわたしと逆方向に向いてマンガを読み続ける。
「またまた照れちゃって~」
わたしはアオイのお腹をくすぐる。
「! やめろアカネ! はははは!」
アオイは体をひねってわたしのくすぐりから脱出して逃げる。
「あ、待て待て!」
わたしは逃げるアオイを追う。
「やめろ! こっちにくるな!」
「いやですー!」
わたしたちは家の中を走り回る。今の家は昔わたしが両親と過ごしていた家なので、一人暮らしにしてはやたら広い。高校生が言うことじゃないけど、おにごっこには困らない。
「待てー! …………! あ、アオイ危ない!」
わたしは後ろを見ながら走るアオイがタンスに突っ込みそうになっているのを見てアオイに声をかける。
「え? へぶっ!」
が、時すでに遅しだった。アオイはわたしが聞いたこともないような声を発しながらタンスに衝突した。
「だ、大丈夫アオイ!?」
わたしはすぐさまアオイに駆け寄る。
「うう……だい、じょう、ぶ、だ!」
「え?」
アオイは反撃とばかりにわたしのお腹をくすぐる。
「よくもやってくれたな!」
「あははははは! ごめん、ごめんなさい!」
アオイのくすぐりは1分以上続き解放されたときにはわたしはくたくたになっていた。
「はあ、はあ…………。…………ん?」
わたしはわたしをくすぐっていたアオイの後ろに何かを見つける。
「なんだろ、これ?」
わたしは立ち上がって確認する。どうやら、アオイがぶつかった時にタンスから落ちてきた物らしい。
「『かたたたきけん』? しかも二枚ある。…………これってたぶん、昔わたしがお父さんとお母さんにプレゼントしたものだよね。いつプレゼントしたんだっけ…………?」
わたしはそこで、後ろから感じる冷たい視線に気がつく。
「アカネ…………!」
「あ、アオイ…………。ご、ごめんなさい…………!」
アオイはわたしに背を向ける。
「絵本は後だ。さっそく依頼人に会いに行くよ、アカネ」
「はーい…………。」
わたしは肩たたき券をとりあえず机の上に置いて、アオイに言われるがまま準備をして外に出かけることにした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる