最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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第二部 新たなる旅立ち

第十九話 交差する思い

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 深い森の中。
 お姫様抱っこで女性を抱えて走っている男がいた。
 その男は、とても人間とは思えないスピードで木々を縫うように駆け抜けている。

 だが、突然その足が止まった。

「え? ちょっ! なんでビビアンが?」

「サクセスぅぅ~! サクセスぅぅーー!!」

 ビビアンは泣きながら顔をごしごしと俺の胸に押し付けてくる。
 というか、怪我は大丈夫なのか?
 ちょっと色々と訳わからないぞ。

 俺は困惑して、その場に立ち止まった。

「ビビアン、あまり動くと傷が開くよ。ちょっと落ち着こうか。」

 ビビアンをそっと降ろそうとするが、首に腕を巻き付けられて、ビビアンはぶら下がったまま、中々降りようとしない。
 しばらくそのまま抱きしめていると、ようやく少し落ち着いたのか首に巻き付けた腕を離し、自分の足で立ってくれた。
 
「アタシは大丈夫、オートヒールがあるから大分回復したわ。」

 確かに、最初に見た時よりもかなり傷が減っている。
 だがまだ体中に傷が見えることから、かなり負傷しているのには変わりなかった。

「そっかぁ。じゃあ少しここで休むか? まだ怪我が辛いだろ?」

「サクセスは変わらないわね。いつだってアタシに優しくしてくれる……。でも、もう歩けるわ。仲間を待たせているの。サクセスに会えて嬉しいけど、急いでもどらなくちゃ。」

 どうやら大分落ち着いたようだ。
 まぁあれだけ凄い怪我をしていたんだから仕方ないよな。
 それに、あそこにいたってことは、あいつと戦っていたのはビビアンか!?
 やはり、ここで少し休ませたほうがいいな。

「確かにそれは急がなきゃいけないな。でも無理したら意味がないだろ? 俺も今仲間のところに向かってるから、合流したら一緒に助けにいこう。」

 俺がそう言うとビビアンは考え込む。

 一刻も早く仲間の元に駆け付けたい気持ちと、サクセスともう少し話たい気持ちで揺らいでいた。
 サクセスの仲間と合流すれば、戦力は増えるし、それまでに少しでも話すことができる。
 どう考えてもビビアンにとって後者の方がメリットは大きかった。

 だが……

「ううん。やっぱりその気持ちだけにしておくわ。サクセスの無事も確認できたし、不安はもう無くなったわ。アタシね、今勇者やってるの。みんなの為にも早く戻らなければいけないわ。それに、どうしても助けたい男がいるのよ。だから、また後で会いましょう。サクセス達はゆっくりでいいわ。後は、アタシたちに任せて!」

 ビビアンは、自分の気持ちよりもシャナクと仲間達を優先させた。
 今までサクセスの安否が心配すぎて、少しおかしくもなっていたが、今はもう元に戻っている。
 それならば、やる事は一つ。
 勇者として、そして仲間の為に戦うだけだ。

 ビビアンの瞳がサラマンダーの炎のように赤く燃え上がっている。
 俺はその目を見て綺麗だと思った。
 そして……止めるのをやめる。
 こうなったビビアンは、何をいっても止まらないのを知っていたからだ。

「わかった。ビビアンがそういうなら俺は信じるよ。でもビビアンが勇者だったなんてな。どうりで昔から強いわけだよ。俺が特別弱かったわけじゃなくて安心したわ。俺も直ぐに仲間を連れてそっちに向かう。そこでまた会おう!」

 俺は笑顔でそう言うと、ビビアンも微笑む。
 その顔は、昔から見慣れていた可憐な笑顔だった。
 まるで、野に咲く力強くも美しい花。

 助けなくてはいけない男というのに、少し嫉妬する気持ちもあったが、ここは男らしく気持ちよく送り出してあげよう!

「うん、サクセスも気を付けてね。また絶対会おうね! あと……それとね……えっと……。」

 ビビアンはずっと前から、再会したら言おうと思っていた言葉がある。

 「大好きだよ!」

 この言葉がなかなか出てこない。
 突然過ぎたため、心の準備が間に合っていないのだ。
 そしていざ、大好きな本人を目の前にすると、あと一歩踏み込む勇気が足りない。

「ん? どうした?」

 ビビアンは、なぜかさっきまでと違い、下を向いてモジモジしている。

 は!?

 その様子を見て、俺は察した。

 トイレか!?
 我慢していたのか!?
 それなら、早めに立ち去ってあげた方がいいな。

「えっと……あのね。サクセスに……会ったら……。」

 ストップ!
 それ以上は言わせちゃならねぇ!

 「おしっこしたくなっちゃったの。」

 とか、レディに言わせちゃダメだろ。
 それはそれでちょっと興奮するけど、我慢だ!
 いくら幼馴染とはいえ、そのくらいのデリカシーはもっている。

「ビビアン、それ以上は無理に言わなくていい。大丈夫、わかってるさ。それじゃ! また後でな!!」

 俺はそれだけ言うと颯爽をビビアンの前から去った。

「ちょっ! え? ちょっと待ってよ! わかってるって……じゃあアタシ……。」

 その場で固まるビビアン。
 そして呟く……。

「そっかぁ……サクセスはちゃんとアタシの気持ちをわかっててくれたんだ……。」

 頬を赤く染めたビビアンは、自分の想いが伝わっていた事に胸をトキめかせた。
 実際には1ミリも伝わっていないが……。

「よし! 早くみんなを助けにいかなきゃ!」

 ビビアンは憑き物がとれたような爽やかな顔である。
 胸のつかえがとれた今、心配なのはシャナクと仲間達だけ。
 こうしてビビアンはミーニャ達の元に戻っていくのであった……。

一方サクセスは……

 仲間のところに向かって走りながら後悔していた。
 というよりは、悶々としている……。

「いやぁ、ビビアンは相変わらず可愛いな。やっぱ惜しかったかな? 少しくらいなら頼めば見せてもらえたかも……。」

 サクセスは盛大な勘違いをしているのであった。
 もしビビアンがこれを知ったら、きっとグーパンは免れないだろう……。
 そのくらいの権利は彼女にはある。
 だが、それも仕方のないこと。
 まさか、あの場でいきなり告白されるなんて誰だって思わない。
 とはいえ、それを抜きにしてもやはりサクセスは変態であった……。

「おし! 今度こっそりと……シロマのを……。」

 ターゲットを決めたサクセスは、颯爽と森を駆け抜けていくのだった。

 その顔はビビアンと違い……いやらしい……。
 げへへ……。
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