最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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第三部 オーブを求めて

第三十八話 愛の炎

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「ここは? 俺は死んだのか?」


 気が付くと、俺は真っ暗な空間にいた。


 不思議な事に肩の痛みは消えている。
 そして体を触ってみると、俺の体はしっかりとそこに存在した。


 これが死後の世界……。


「お久しぶりです、サクセスさん。」


 突然後ろから声を掛けられた俺は、驚きつつも、その懐かしい声に思わず自分の耳を疑った。


 あの子がここにいるわけがない。
  

 そう思いつつも振り返ってみると、そこにいたのは、やっぱりシロマだった。


「シ、シロマ!! 無事だったのか!?」


 俺は咄嗟(とっさ)にシロマの華奢(きゃしゃ)な身体を抱きしめる。

 シロマはとても柔らかく、そしていい匂いがした。
 そして少し膨らみかけた未成熟なパパイヤが俺に当たる。


 この感触……間違いない!
 シロマだ!
 夢じゃない!


 パイオツでシロマが本物であると確信する俺。
 小さいのも嫌いじゃないぜ?


「サクセスさん……嬉しいです。ずっと会いたかった。」


 シロマも俺の体に手を巻き付けて言う。
 その目には涙が浮かんでいた。


 相変わらずシロマは可愛かった。

 会っていなかった時間が長かったせいか、その可憐さが一層際立って俺の目に映る。

 いつも一緒にいると忘れてしまうが、やはりシロマは超絶美少女だった。


 しかしその時、俺は大事な事に気付いてしまった。


「ここにシロマがいるってことは……まさかシロマも……。」


 俺は間違いなく死んだ。


 そしてここは死後の世界。
 ここにシロマがいるという事は、シロマも死んだという事に他ならない。


 そうか……シロマまで……。
 もしかしたら他のみんなも既に……。


「安心してください、サクセスさん。私は死んでません。もちろん、サクセスさんもです。」


 俺の不安な表情から心を読んだのか、シロマは俺が口にできなかった疑問に答えた。


 !?


「え? だって、ここは死後の世界じゃ……。」

「違います。ここは私が作り出した亜空間です。私、無事に天空職に転職できました。これは私のスキル【亜空間バリア】の中です。」


 シロマが使った【亜空間バリア】

 
 それはあらゆる攻撃を亜空間に飛ばす事のできる究極の防御スキル。

 シロマ本人も初めて使うスキルであり、どんなことになるのか未知であった。
 使ってみてわかったのだが、これは二つの空間を作るスキル。


 一つ目は、一定の範囲における攻撃効果を反らすための空間。
 二つ目は、守る対象を完全に外界からの影響を反らす為の空間。


 サクセス達がいるのは二つ目の亜空間の中だった。
 【亜空間バリア】は、この二つの空間を瞬時に展開することにより、完璧なる防御スキルとなる。


 だがそんな事を知るわけもない俺は、シロマのその言葉に混乱した。


 死んでない?
 天空職?
 シロマのスキル?


「じゃあ……俺は……。」


「はい、生きてます。本当はもっと遅くなる予定だったのですが、少し時間に干渉してズルしました。でも、説明は後です。まずはあいつを倒しましょう。」


 その瞬間、俺の視界が元の世界に戻る。


「ガッハッハ!」


 聞こえてくるのはガンダッダの耳障りな高笑い。
 どうやら、あいつは俺を完全に消滅させたと思って悦に浸っているようだ。


 はっ!?
 シロマは!?

 ここは空中。
 シロマが飛べるわけが……あるのね。


 シロマは俺の隣で、普通に空の上を立っていた。
 もうちょい上にいてくれたら、パンツが見れたかもしれない……残念だ。


 という冗談はさておき、まさか翼もないのに飛べる事に俺は驚く。
 さっきから驚きっぱなしだ。
 

「飛べるのか!?」

「いえ、飛べません。時間があれば、空間移動はできますが、今は落ちる時間を僅かに止めているだけに過ぎません。ですので、時間がないです。」


 どうやら、流石にシロマでも飛べないらしい。
 

 っと、そんな事を言ってる場合じゃない!
 パンツを覗こうとしている暇もない!


 早く倒さないとシロマも海に落ちてしまう。

 だが、どうやって倒せば……。
 死ななかったものの、あいつを倒せる術は未だ見つかっていないのだ。


「どうすれば倒せるんだ……。」

 
 俺が自信なさげにそう呟くと、シロマは言った。


「私の経験では、あのようなモンスターには核があるはずです。つまり、全て消滅させれば核も壊せるはずです。」


 シロマはグリムワールの世界で幾多の敵と戦い続けてきた。
 当然、その中には再生能力が凄まじい敵も多い。
 故に、その経験と敵の姿から相手の弱点を的確に掴む。


「そうか……でも、あの大きさを全て屠る(ほふる)のは……。」

「わかりました、では私が周りの竜の首を消します。サクセスさんは胴体だけを消滅させてください。」

「胴体……そうか! 核は海に隠されている胴体の中か! でも、海中となると……いやまて! あれがあったな!」


 俺がある事に気付くとシロマはフッと微笑む。


「サクセスさんならできます。だって、サクセスさんは私の英雄ですから。」


 その言葉が俺の背中を後押しする。

 絶対的な信頼。
 これ程心強いものはない。


「わかった。でもシロマはやれるのか? あいつは堅いぞ?」

「はい、できます。ですが、その瞬間に私は海に落ちると思いますので、絶対助けてくださいね。」


 どうやらシロマは自信有り気だ。
 天空職がどんなものかわからないけど、さっきのスキルや、今の状況から見て、強がりではないのだろう。

 それに、愛するシロマの言葉を信じないという選択肢など俺にはない。

 そして、それはシロマも同じだった。

 
 お互いを信頼して見つめ合う二人。
 心は決まった。
 ならば、やるだけだ。


「当たり前だ! じゃあ……行くぞ!!」


 初めての二人の共同作業……

 作戦コードネームは【ラブラブースト】



 俺はリヴァイアサンがいる海に向かって【ガイアの剣】を投げつける。


 バチャ……


「ん? なんの音だ……?」


 突然の音に気づいたガンダッダは、音がした海面を見る。


 その瞬間……。


【リアリティアロー】


 シロマは空中で弓を構える仕草をすると、黒い何かを6発放った。


 パチンパチンパチン!


 ガンダッダ以外の竜の首に黒い矢が刺さると、その頭部は【パチン】という音をたてて消滅する。


「後は……任せました、サクセスさん。」


 そしてそのまま頭を下にして海に落下していくシロマ。
 その姿を一瞬横目で見た俺は、一気に海面に急降下する。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ…………


 その時、海面にある地上が一斉に隆起し、海に大地が浮かんだ。


 【ガイアの剣】は無事に海の底に突き刺さったらしい。

 浮かび上がる大地の中央に、突き刺さった【ガイアの剣】が見える。


ーーと同時に、リヴァイアサンの胴体の全貌が見えてきた。


 そこにあるのは、見えていた首とは比べ物にならない程大きい胴体。


 デカい……。
 いや、あれはトグロを巻いているいるのか。
 おあつらえ向きだぜ!


 大きなトグロから伸びるガンダッダの首。


 俺はガンダッダの首の真上を目掛けて、一気に加速する。


 【ドラゴニックメテオ】


 剣を下に隕石が如く、超スピードで落下する俺。

 剣と俺の体は一つになるかのように、赤い炎に包まれた。


「ば、ばかな!! お前は死んだはずじゃ……!!」


「俺にあって、お前に無い物……これが愛の力だ!!」


 俺に気づいたガンダッダは、何故か一瞬かたまった。
 少しは避けるかもしれないと思ったのだが、奴はその場から全く動かない。


 俺を見て固まっていた。


 ズブッ! 
 ズドドドドドッ!!


 剣と体が、ガンダッタの頭の上から体まで一気に貫通していく。

 そして、リヴァイアサンの胴体の中央まで貫通していくと、そこで俺の体と剣全体から特大の爆発が巻き起こった。



 バァァァァァン!!



 リヴァイアサンの胴体が木端微塵に吹き飛んだ。


「嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! 愛など……愛などぉぉぉぉぉ!!」


 その言葉を最後に、リヴァイアサンの体、そしてガンダッダの首がパラパラと塵に変わっていき、そして完全に消滅した。


「今度こそやったぞ! って、馬鹿! シロマぁぁぁぁぁぁ!!」


 海が無くなった事で、大地にシロマは急落下し、そして今にも衝突するところであった。


【ドラゴニックブラスター】


 俺はシロマをキャッチするために、加速スキルを駆使して飛ぶ。


「間に合え!! シロマぁぁぁぁぁ!!」


 ガシッ!!


 間一髪でシロマをキャッチする俺。

 危なかった。
 ゼロコンマ1秒でも遅れていたら間に合わないところであった。


 しかし、間に合った。
 その結果こそが全てだ。


「サクセスさん。やっぱりサクセスさんは凄いです。」

「何……言ってるんだよ……。凄いのはシロマだよ……本当に良かった……。」


 安心した瞬間、急に俺の目から涙が溢れる。


 ここに長くも短い戦いは終わりを告げた。
 遂に俺はリヴァイアサンを倒す事ができたのだ。

 俺一人では絶対に敵わない相手。
 カリー……そしてシロマがいてくれたからこそ、勝利することができた。


 そして皮肉な事に、最後にガンダッダを消滅させたものこそ、ガンダッダが否定し続けてきたもの。

 
 愛を知らずに生き、この世への憎悪から世界を滅ぼそうとしたガンダッダ。

 彼は最後まで愛を知らずに生き、そして愛によって滅ぼされた。

 ガンダッダもまた、この世界の被害者であったのかもしれない。

 しかし、だからと言って他者の命を奪っていい理由にはならない。


 ガンダッダを消滅させた赤い炎。


 その炎を見た時、なぜだかガンダッダは、心の底でその炎に触れる事を望んだ。


 あの炎はシロマとサクセスの愛が生んだもの。


 ガンダッダは感じた。
 あれが自分の知らない愛に溢れた何かである事に。
 そして、触れてみたくなってしまったのだ。


 自分の知らない愛に……。


 故にあの時、ガンダッダは固まってしまったのだ。
 彼が本当に求めていたのは、破壊ではなく、愛だったのかもしれない。


 愛知らぬゆえに……愛を捨てた男、ガンダッダ……。

 
 その生涯の最後に、自分が本当に求めていたものが、愛であったと気づくのであった。

 

 
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