最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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第三部 オーブを求めて

第七十三話 セイメイ

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 俺が植物園に踏み入ると、シロマは直ぐに気づいて俺に手を振る。
 俺もシロマに手を振り返すと、シロマはそのまま作業を続けた。


 畑にはいつの間にか沢山のスイカが出来上がっており、奥には小さな木も育っている。
 どうやらシロマは、果実の木は一気に育てる事をせずに、ゆっくりと育てているらしい。
 ゆっくりとは言うが、実際には反則クラスに急成長ではあるが。


 汗を拭いながら畑仕事をするシロマの姿は、何故か俺の心をほっこりさせる。


 だがそれと同時に、他に気になる事がある。
 シロマの周りに知らない男が数人いることだ。
 そしてその中には、セイメイもいた。

 
 おい、俺のいないところでシロマに手を出してないだろうな?
 ああぁん?


 と殺気を放ちながらセイメイに近づいていく俺。
 セイメイはそんな俺を見ながらも、なぜか嬉しそうな笑顔を浮かべてお辞儀をしている。


 こいつは何なんだ?
 俺の殺気が怖くないのか?


 セイメイはお辞儀から顔をあげると、逆に俺に歩み寄ってきた。 
 

「サクセス様、訓練の方はいかがでしょうか? 安心してください、シロマ様には誰にも指一本触れさせませんから。」


 まぁ、畑仕事は元々船員の仕事なんだし、他の人がいて当たり前なのだが、やはりシロマ程の美女がいればちょっかいくらい出されてもおかしくはない。


 だが、俺からすれば、こいつが一番怪しいぞ。
 シロマに手を出すなら、絶対コイツだ。
 

「あぁ、もしもシロマにちょっかい出す奴がいれば、この世の地獄を味合わせるから肝に銘じておくんだな。」

「も、もちろんにございます。このセイメイ、卑弥呼様の名にかけてそのような事は起こらせないと誓います。」

 
 うむ、よろしい。
 では、頑張り給え。


 という事で、シロマの無事も確認したし、俺も釣りをしにカリーの元に戻……
 いや、待てよ。
 今の内に娯楽室で練習するのもありじゃないか?


 カリーに一泡吹かせる為に、一秒も時間を無駄にはできない。


 そうと決めた俺は、娯楽室に行って秘密の特訓をしに行こうと決めるが、ある事を閃く。
 

 あ!
 いい事思いついた!!
 
 
「セイメイ、ちょっといいか?」

「はい、なんでしょうか?」

「ビリヤードとダーツが上手い奴を知らないか?」

「はい、それならばこの船で一番上手いのは私です。」

「おお! そうか……なら丁度いい。俺に教えてくれないか?」

「それは私としても嬉しく思いますが、シロマ様の護衛はいかがしましょう?」


 嬉しい?
 畑仕事は嫌なのかな?
 つか、お前がいなければシロマに心配はない。


「シロマに護衛は必要ないだろ?」

「……わかりました。それでは、是非私めにご指導させていただきとうございます。」


 うし、先生ゲット!
 つか、本当に何でも言う事聞いてくれるのな。
 なんか無理矢理っぽくて少し気が引けるが、シロマからこいつを引きはがせるし、一石二鳥と思っておこうか。


 てなわけで、俺は誰もいない娯楽室にセイメイと共に足を運ぶ。


「どちらからおやりになりますか?」


 うーん、ダーツにビリヤード。
 ここは一つに絞った方がよさそうだな。
 ダーツはなんとなくだが、常に真ん中をぶち抜くカリーに勝てる気はしない。……それなら

 
 ビリヤードだ!!


「ビリヤードを頼むわ。今日はそれだけをみっちり仕込んでほしい。」

「承りました。僭越(せんえつ)ながら私めがご指導させていただきます。必ずや、サクセス様がご満足いただけるよう、誠心誠意頑張らせていただきます。」


 なぜかセイメイはそう言いながらも、恍惚の表情を浮かべている。
 どういうことだ?
 なんか、おかしいぞ。
 シロマといるときは、あんなに無表情だったのに……。


「お、おう。頼んだわ。」

「それではサクセス様。まずはキューの持ち方からレクチャーさせていただきます。私の持ち方を真似てみてください。」


 そういうと、セイメイはキューを手に取り、ビリヤード台に置いて構える。


 だが、ちょっと待った!
 なんかやっぱおかしい。
 
 セイメイはキューを取った瞬間、愛おしそうにその棒を見つめ、一瞬頬ずりをしていた。
 俺は見逃さなかったぞ。
 ビリヤードを愛しているのか?
 それとも棒を愛しているのか……。

 なんだろ、急に寒気がしてきた。
 俺は教えてもらう相手を間違ったかもしれない。

 こいつは……
 多分だが……変態だ!!


「どうかいたしましたか?」

「い、いや何でもない。セイメイはビリヤードが好きなのか?」

「そうですね。タマをボウで突くのは、とても好きでございます。それがどうかいたしましたか?」

「あ、ああ。気にしないでくれ。好きならいいんだ。んで、こうでいいのか?」


 スススッ……


「お手を失礼します……。こうでございます。」


 俺がセイメイの真似をしながら、キューを構えると、セイメイがかなり接近し、俺の手に触れながら構えの位置を調整する。


 気のせいだろうか……。
 セイメイの息が荒い気がする……。
 しかも、必要以上に手に触れている感じがするのだが?
 

 なんだろう、この懐かしい感じどこかで……。
 あぁ、そうだ。
 これは、イーゲの頃のイーゼだ。

 今、はっきりわかったぞ。
 俺の違和感の正体が。 
 こいつは絶対、ゲイだ!


「も、もう大丈夫だ! ちょっと窮屈だがなんとなくわかった。」

「そうでございますか。最初は少し窮屈な感じがしますが、慣れると気にならなくなります。では、その状態でキューを突いたり、引いたり繰り返してください。はぁはぁ……。」


 はぁはぁしてるぅぅぅ!!
 やばいやばいやばい。
 これは早急に終わらせないといけないと、俺の第六感が叫んでいるぞ。


「こ、こんな感じでどうだ? もう何か上手くなってきた気がしたなぁ。あはは、教え方がうまいからかなぁ? 今日はこの辺でいいかも!」

「なりませぬ! まだまだ何も教えておりませぬ!! せっかく愛し……サクセス様が私を頼って下さったのです。最後まで責任をもってやり遂げたく思います!」


 きこえたぞおおおお!
 こいつ、愛しっていった!
 絶対愛しいって言おうとした!


 どうする?
 逃げるか?
 いや、だが、コイツ以上にビリヤードが上手い奴はいないと言っている。
 危険ではあるが、あの憎たらしい笑みを浮かべるカリーをぎゃふんと言わせたいのも事実。


 虎穴に入らずんば虎子を得ず


 大丈夫だ、俺は、貞操を守り切って見せるぞ!
 その上で、カリーにかぁぁつ!!
 

「わかった。じゃあ、よろしく頼む。 俺は絶対上手くならないといけないんだ!」


 その言葉に、ぱぁぁぁぁっと花が咲いたような満面の笑みを浮かべるセイメイ。
 少しだけだが、男と分かっていても整い過ぎたその顔が美しく見えてしまう俺。


「その意気でございます! カリー様はとても強敵です。ですが、隙はあると思いますので、必ずサクセス様を勝たせてみせます。」

「え? なんで、カリーだってわかるの? てか、カリーが上手いってなぜ知っているんだ?」

「昨晩、私はカリー様とビリヤードをしたからでございます。」


 ん? 俺がぶっ倒れた後かな?


「んで、どうだったんだ?」

「私が勝ちました。ギリギリでしたが……。」


 まじかよ、こいつカリーよりうまいのかよ。
 よし! よし! よし!
 光明が見えてきたぞ!


「うっしゃああ! 勝機が見えてきた! やってやんぜ!」

「その意気です、サクセス様。私も精いっぱい頑張らせていただきます。」


 こうして俺は、今日より戦闘の訓練の他に、セイメイとの秘密の特訓を続けるのであった。
 謎にボディタッチが多いセイメイであるが、教え方はとても上手い。
 自分の上達が目に見えてわかる。


 頑張れ俺!
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