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第一章
22 王子に届く脅迫状
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【メリッサ城】
「何っ!? それは本当か? 貴様……間違った報告ならただじゃおかないぞ!!」
「申し訳ございません! しかし、現場からはそのように報告を受けている故……。」
一方、メリッサ城では、シルクの下に最悪な報告が伝えられていた。
ローズ姫が子供を助ける為に、燃え盛る建物の中に連れの男と向かったまま帰らない。
この報告を聞いたシルクは、今までにないほど取り乱す。
「……探せ! 全員だ! ロイヤルガードも含めて全部を捜索部隊にあてろ! 今すぐにだ!」
そして自分の警護も全て取っ払ってローズの捜索にあてるように命令すると、傍にいたズーク大臣が異議を唱えた。
「お待ちくださいシルク王子。流石にロイヤルガードを派遣するのは危険でございます。探すのは必要最小限にする方がよろしいかと。」
「貴様……。お前がラギリなら安心だと言ったから私はやむなく許可をしたのだ。それをお前は理解しているのか? ズーク大臣。お前はもうここから出て行け。後は俺の指示で兵を動かす。」
「左様でございますか。わかりました、それでは私は別の方法でローズ姫を探すとしましょう。」
ズークはシルクに出て行けと言われるや否や、呆気にとられる程簡単に引き下がってその場を後にする。
「何をしている? 早く行け! いや、ちょっと待て。やはりロイヤルガードは半分残しておけ。後は全ての兵士を使ってでも、ローズを見つけるんだ!! わかったか?」
「ははっ!!」
シルクから命令を受けた兵士が部屋を出て行った事でシルクは一人になった。
そして残されたシルクはその場で跪くと神に祈りを捧げる。
「……どうか。どうか、妹をお助け下さい。神様。」
それからしばらくして、再度シルクの部屋に一人の兵士が慌てて入ってきた。
「報告します! 先ほど、城に書状が届きました。」
「書状だと? そんな物は後にしろ! 俺が欲しいのはそんな報告ではない!」
「し、しかし。……その、手紙の送り主が……。」
「なんだ? 言ってみろ? 隣国の王か? それともエルフの長か?」
「い、いえ。違います。手紙の送り主は……現在捜索中のラギリからであります。」
「なにっ!? よこせ!!」
兵士から報告を受けたシルクは勢いよく手紙を奪い取ると、その封を破いて中身を確認する。
「……なんだと!? あの野郎……。ふざけやがって! おい! 直ぐにズーク大臣をここに呼び戻せ!」
手紙を読んだシルクは顔を真っ赤にしながら、怒鳴り飛ばした。
それを聞いた兵は、すぐさま踵を返してズーク大臣を探しに部屋から出て行く。
その手紙に書いてあった内容は……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
悪政を敷くシルク王子へ
ご機嫌いかがでしょうか? あなたが今一番心配しているであろう、ローズ姫はこの私が預かっております。あなたと姫が行った貴族制度の廃止によって国が乱れているのはご存じでしょうか? そして私は、あなた方の施策によって大切な人は牢に入れられてしまっております。これを私は許すわけにはいきません。よって、取引を申し出る事にしました。まず一つ目は、貴族制度の復活。二つ目は、粛清により囚われた者達の解放。二つの条件が満たされた場合のみ姫を解放します。もしも、この二つの条件を飲まれない場合は……ローズ姫を殺す。
ラギリ
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「何っ!? それは本当か? 貴様……間違った報告ならただじゃおかないぞ!!」
「申し訳ございません! しかし、現場からはそのように報告を受けている故……。」
一方、メリッサ城では、シルクの下に最悪な報告が伝えられていた。
ローズ姫が子供を助ける為に、燃え盛る建物の中に連れの男と向かったまま帰らない。
この報告を聞いたシルクは、今までにないほど取り乱す。
「……探せ! 全員だ! ロイヤルガードも含めて全部を捜索部隊にあてろ! 今すぐにだ!」
そして自分の警護も全て取っ払ってローズの捜索にあてるように命令すると、傍にいたズーク大臣が異議を唱えた。
「お待ちくださいシルク王子。流石にロイヤルガードを派遣するのは危険でございます。探すのは必要最小限にする方がよろしいかと。」
「貴様……。お前がラギリなら安心だと言ったから私はやむなく許可をしたのだ。それをお前は理解しているのか? ズーク大臣。お前はもうここから出て行け。後は俺の指示で兵を動かす。」
「左様でございますか。わかりました、それでは私は別の方法でローズ姫を探すとしましょう。」
ズークはシルクに出て行けと言われるや否や、呆気にとられる程簡単に引き下がってその場を後にする。
「何をしている? 早く行け! いや、ちょっと待て。やはりロイヤルガードは半分残しておけ。後は全ての兵士を使ってでも、ローズを見つけるんだ!! わかったか?」
「ははっ!!」
シルクから命令を受けた兵士が部屋を出て行った事でシルクは一人になった。
そして残されたシルクはその場で跪くと神に祈りを捧げる。
「……どうか。どうか、妹をお助け下さい。神様。」
それからしばらくして、再度シルクの部屋に一人の兵士が慌てて入ってきた。
「報告します! 先ほど、城に書状が届きました。」
「書状だと? そんな物は後にしろ! 俺が欲しいのはそんな報告ではない!」
「し、しかし。……その、手紙の送り主が……。」
「なんだ? 言ってみろ? 隣国の王か? それともエルフの長か?」
「い、いえ。違います。手紙の送り主は……現在捜索中のラギリからであります。」
「なにっ!? よこせ!!」
兵士から報告を受けたシルクは勢いよく手紙を奪い取ると、その封を破いて中身を確認する。
「……なんだと!? あの野郎……。ふざけやがって! おい! 直ぐにズーク大臣をここに呼び戻せ!」
手紙を読んだシルクは顔を真っ赤にしながら、怒鳴り飛ばした。
それを聞いた兵は、すぐさま踵を返してズーク大臣を探しに部屋から出て行く。
その手紙に書いてあった内容は……
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悪政を敷くシルク王子へ
ご機嫌いかがでしょうか? あなたが今一番心配しているであろう、ローズ姫はこの私が預かっております。あなたと姫が行った貴族制度の廃止によって国が乱れているのはご存じでしょうか? そして私は、あなた方の施策によって大切な人は牢に入れられてしまっております。これを私は許すわけにはいきません。よって、取引を申し出る事にしました。まず一つ目は、貴族制度の復活。二つ目は、粛清により囚われた者達の解放。二つの条件が満たされた場合のみ姫を解放します。もしも、この二つの条件を飲まれない場合は……ローズ姫を殺す。
ラギリ
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