この世界に絶望して死んだ俺は、精霊となって神と共に完璧な世界を創ることにする。

キミちゃん

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第一章:アナザーニューワールド

9 ミツアゴ

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「それで相棒はこれからどうすんだ? 一緒に暮らすか? お?」


 それだけはやめてくれ!
 クオーターの美女と暮らすならまだしも、こいつとだけはない!


 ブライアンのとんでも発言を俺の心は拒絶する。


 普通さ、こういう異世界系って最初に会うのって大体美少女ヒロインじゃん。
 なんで俺、馬なの? こいつがヒロイン枠とかだったらもう俺のストーリーは打ち切りだ!
 どうにかしてくれ神! 流石にこれは酷いぞ!

 俺が何とも言えない神への怒りに黙っていると、アズが会話に入ってきた。


「この村から離れたところに大きな森があるニャ。そこに洞窟があるから、まずはそこに行くニャ。」


 アズは自然の流れで今後の予定を説明するが、ブライアンにはどうやら理解できなかったようだ。
 涎を垂らしながらアズを見つめるブライアン。


「お、ババァ。今日は珍しく粋がよさそうな飯があると思ったが、飯がなんか喋ってるぞ。もう食っていいか?」


 そういうと、ブライアンはアズの首根っこを掴み上げ口に持っていこうとした。


 こいつ……本気で食いにいってる。


 だが俺は、ブライアンの奇行を止めない。
 さっきの復讐だった。


「アズ……短い間だったけど楽しかったぜ、来世で会おうな。」

「ちょっとやめるニャ、早く助けるニャ!」


 アズは慌ててブライアンの顔を引っ掻きまくり、ブライアンの魔の手から逃れる。


「うお! イタ! イタタ! 元気いい飯だなバーロー!」


 逃げるアズ。
 追うブライアン。


 それをスズカさんが割って止めた。


「あらあらまぁまぁ、ブライアンや、よしなさい。精霊様に失礼じゃよ。ほんに、すまない事をしてしまったじゃ。ほら、ブライアンもちゃんと謝りなさい!」

「お? なんだ、飯じゃなかったのか。悪かったなチビ助。」


 ブライアンはやっとアズが晩餐ではなくて、客人だと気付く。


「にゃあはチビ助じゃないニャ、アズニャ! この馬鹿面、次やったらその顎引っ掻いて3つにしてやるニャ、覚悟するニャ。それとシンは、後でお仕置きニャ!」


 アズはプンプンと怒っているが、後にこの怒りはとある復讐をする事で解消する事となる。


「すまないアズ、あまりにお前が可愛いから見惚れてた。許してくれ。でも面白いから、ブライアンの顎は三つに割って欲しい。」


 俺は白々しく謝罪をしつつも、真剣な眼差しでそう言った。

 そして、何とも賑やかな晩餐が終わると、馬族の就寝は早く、みんな寝る準備に入ったのだった。
 俺は、今日という不思議な一日を振り返り、今後について色々考える。

 そうか次は洞窟かぁ、そこ行けば強くなれるのかな?
 やっと冒険っぽくなりそうだなぁ。
 アズも飯食ったらすぐ寝ちまったし、詳しい事は明日聞くか、もう眠いや……。


 俺は、そのまま睡魔に襲われてワラの上で寝たのだった。


 夜も更ける深夜。
 その闇の中で動く者がいた。


「グオーー! お? イテ! グオー!」


 ブライアンのイビキに異変が……。


数時間後


 俺が寝返りを打ち、何かにぶつかった感触で目を開けると


「うわぁぁぁっ!!」


 そこには三つに割れた顎の化け物がいるのであった……。
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