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邪魔者に見せつけて
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「リ、リオネルが!?」
デイジーは素っ頓狂な声を上げると、チラリとクリスを見た。
それから1つ咳払いをしてから
「え、ええ。いいわ」
と告げると、使用人は再び一礼してから、さっさと部屋を出て行く。
扉が閉まるや否や、クリスが呟いた。
「……とんだ邪魔が入りましたね」
これに何と答えたら良いか分からず、デイジーは俯いたまま、ドレスのリボンをいじっていた。
すると彼は素早く一歩近づいてくると、デイジーの耳元で囁いた。
「本当はすぐにでもさっきの続きがしたいけれど、我慢しますよ。
一度あなたに触れてしまえば、もう止められないのは分かっていますから」
「なっ……」
デイジーがビクリと肩を震わせるのと、ノックの音が響いたのはほとんど同時のことだった。
「失礼致します。
リオネル様がいらっしゃいました」
使用人は静かに言うと、一礼して廊下へと姿を消した。
代わりに入ってきたのは、リオネルだ。
彼はクリスを一目見るなり、眉をひそめた。
「と、突然来るなんて、どうしたの、リオネル?」
デイジーが訊ねても、まだ彼はクリスを睨むように見ていたが、やがてゆっくりと彼女の方へ顔を向けた。
「……話したいことがあって来たんだ。
少し、いいか?」
「ええ、もちろん。
どうぞ」
デイジーは答えたが、しばらく待ってもリオネルが顔をしかめたまま口を開こうとしないものだから、訝しげに眉根を寄せた。
「話って、なに?」
「……2人で話したい」
「2人でって……クリス様がいないところでってこと?」
リオネルが頷くのを見て、デイジーは困った顔でクリスを見た。
するとクリスは大きく息を吐きながら言ったのである。
「それは……了承できませんね」
この言葉にリオネルの表情が険しくなった。
「了承?
私とデイジーが話をするのに、あなたに了承してもらう必要はないのでは?」
「必要はありますよ」
きっぱりとクリスが言うものだから、リオネルは面食らったらしい。
困惑した様子でデイジーに目を向けてくる。
それを面白そうに眺めながら、クリスはデイジーの隣に立つと、彼女の腰に手を回して引き寄せながらニヤリと笑った。
「彼女は私の婚約者ですからね。
私以外の男性と2人きりになるのを控えてほしいと思うのは、当然のことでしょう?」
途端に、リオネルの目が見開かれた。
「婚約……?」
「ええ。ついさっき、彼女に良い返事をもらえたのです」
リオネルの視線を痛いほど感じて、デイジーはなんだか困惑しながら頷いた。
どうしてリオネルは喜んでくれないのだろうと不思議に思いながら、おずおずと彼を見上げると、リオネルは苦虫を噛み潰したような顔になって、そっぽを向いてしまった。
「そういうわけですので、申し訳ないのですが、今日のところは邪魔しないでくれませんか?
婚約が決まった喜びに、2人で浸っているところなので」
クリスが言いながら、腰に回していた手に力を込めて来たものだから、デイジーはふと顔を上げ、彼の方を見た。
その瞬間、クリスの唇に唇を塞がれた。
思わず、はっとして体を固くしたデイジーだったが、すぐに我にかえると、急いで彼の胸を押し返した。
「ク、クリス様!」
「ごめん。他の男がきみを見ていると思うと、我慢出来なかった」
「リ、リオネルは確かに男性ですけれど、恋愛感情とか、そういう感情はお互い全くありませんので!
心配なさる必要なんてありませんわ!」
デイジーが顔を真っ赤にして叫ぶと、クリスはニッコリ微笑んだ。
それから彼がリオネルに
「じゃあそういうわけで。
今日は申し訳ないですが、これで」
と言うと、リオネルは唇を固く結び、踵を返して部屋を出て行ってしまったのだった。
デイジーは素っ頓狂な声を上げると、チラリとクリスを見た。
それから1つ咳払いをしてから
「え、ええ。いいわ」
と告げると、使用人は再び一礼してから、さっさと部屋を出て行く。
扉が閉まるや否や、クリスが呟いた。
「……とんだ邪魔が入りましたね」
これに何と答えたら良いか分からず、デイジーは俯いたまま、ドレスのリボンをいじっていた。
すると彼は素早く一歩近づいてくると、デイジーの耳元で囁いた。
「本当はすぐにでもさっきの続きがしたいけれど、我慢しますよ。
一度あなたに触れてしまえば、もう止められないのは分かっていますから」
「なっ……」
デイジーがビクリと肩を震わせるのと、ノックの音が響いたのはほとんど同時のことだった。
「失礼致します。
リオネル様がいらっしゃいました」
使用人は静かに言うと、一礼して廊下へと姿を消した。
代わりに入ってきたのは、リオネルだ。
彼はクリスを一目見るなり、眉をひそめた。
「と、突然来るなんて、どうしたの、リオネル?」
デイジーが訊ねても、まだ彼はクリスを睨むように見ていたが、やがてゆっくりと彼女の方へ顔を向けた。
「……話したいことがあって来たんだ。
少し、いいか?」
「ええ、もちろん。
どうぞ」
デイジーは答えたが、しばらく待ってもリオネルが顔をしかめたまま口を開こうとしないものだから、訝しげに眉根を寄せた。
「話って、なに?」
「……2人で話したい」
「2人でって……クリス様がいないところでってこと?」
リオネルが頷くのを見て、デイジーは困った顔でクリスを見た。
するとクリスは大きく息を吐きながら言ったのである。
「それは……了承できませんね」
この言葉にリオネルの表情が険しくなった。
「了承?
私とデイジーが話をするのに、あなたに了承してもらう必要はないのでは?」
「必要はありますよ」
きっぱりとクリスが言うものだから、リオネルは面食らったらしい。
困惑した様子でデイジーに目を向けてくる。
それを面白そうに眺めながら、クリスはデイジーの隣に立つと、彼女の腰に手を回して引き寄せながらニヤリと笑った。
「彼女は私の婚約者ですからね。
私以外の男性と2人きりになるのを控えてほしいと思うのは、当然のことでしょう?」
途端に、リオネルの目が見開かれた。
「婚約……?」
「ええ。ついさっき、彼女に良い返事をもらえたのです」
リオネルの視線を痛いほど感じて、デイジーはなんだか困惑しながら頷いた。
どうしてリオネルは喜んでくれないのだろうと不思議に思いながら、おずおずと彼を見上げると、リオネルは苦虫を噛み潰したような顔になって、そっぽを向いてしまった。
「そういうわけですので、申し訳ないのですが、今日のところは邪魔しないでくれませんか?
婚約が決まった喜びに、2人で浸っているところなので」
クリスが言いながら、腰に回していた手に力を込めて来たものだから、デイジーはふと顔を上げ、彼の方を見た。
その瞬間、クリスの唇に唇を塞がれた。
思わず、はっとして体を固くしたデイジーだったが、すぐに我にかえると、急いで彼の胸を押し返した。
「ク、クリス様!」
「ごめん。他の男がきみを見ていると思うと、我慢出来なかった」
「リ、リオネルは確かに男性ですけれど、恋愛感情とか、そういう感情はお互い全くありませんので!
心配なさる必要なんてありませんわ!」
デイジーが顔を真っ赤にして叫ぶと、クリスはニッコリ微笑んだ。
それから彼がリオネルに
「じゃあそういうわけで。
今日は申し訳ないですが、これで」
と言うと、リオネルは唇を固く結び、踵を返して部屋を出て行ってしまったのだった。
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