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ダンスの相手は
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突然のバイオレットの言葉に、リオネルは凍りついたように動かなくなってしまった。
慣れない人混みに緊張しているのだろうか。
不思議に思いながら、デイジーは首を傾げた。
けれど、今夜はせっかくの社交界デビューという記念すべき日なのだ。
こうして待っていても、ダンスに誘ってくれる人は現れそうにないのだから、せめてリオネルとくらい踊りたい。
「そうね、踊りましょうよ。リオネル」
デイジーは彼に手を差し伸べながら微笑んだ。
その言葉に、彼は驚いたように眉を上げたものの、ぎこちなく手をこちらに伸ばしてくる。
どうやら嫌ではないらしい。
ホッとしながら、その上に自身の手を重ねようとしたのだが。
「えっ……」
突然横から現れた男性に手を取られて、デイジーは呆然としてしまった。
驚いて顔を上げると、そこにいたのは、切れ長の黒い瞳をいたずらっぽく輝かせた、デイジーより少し年上らしい青年だ。
スラリとした背格好に、端正な顔立ちの彼は、デイジーたちばかりでなく、辺りの女性達の視線をあっという間に独り占めにしていた。
「あ、あの……」
手を握られて真っ赤になった頬を隠すこともできずに、デイジーはおずおずと青年を見上げた。
すると彼は眩しいほどの笑顔を浮かべながら、
「これは突然、失礼致しました。
ですが、とても美しい方だと思ったものですから。
チャンスを逃したくなかったのです」
と涼やかな声で言うと、握ったままのデイジーの手に優しく唇をつけてから、上目で続けた。
「私はクリス・ロングと申します」
「デ……デイジー・ガルシアですわ」
思わず声がうわずってしまったことが恥ずかしくて目を伏せたが、クリスは構わず言葉を続けた。
「どうか、私と一曲踊っては頂けませんか?」
まるで白馬に乗った王子様だわ、とデイジーは、返事をすることすら忘れて思った。
隣で、リオネルとバイオレットが怪訝な顔でクリスを見ていることなど、今のデイジーは気づきもしない。
ただ、震える声で
「……はい。是非」
と言うのが精一杯だった。
「ちょっと、デイジー」
バイオレットが言いかけた、その時。
「あら、ごめんなさいね。
すっかり話し込んでしまって……」
ちょうど戻ってきたアリッサが、一同を見回して微笑んでみせた。
ところが彼女は、クリスに目を向けたところで、ハッとしたように目を見開いたのである。
クリスも眉を上げ、じっとアリッサを見つめている。
2人の様子に戸惑いながら、デイジーは言った。
「あの、伯母様……もしかしてクリス様とお知り合いですか?」
「……え?」
アリッサは我に返ったようにデイジーに目をやったあと、再びクリスをチラリと見てから、頷いた。
「え、ええ、そうなのよ。
私もクリス様と同じセルディニア国にいたのですからね。
と言っても、何度かご挨拶をさせて頂いたくらいだけれど」
「そうだったのですね」
デイジーが頷くと、クリスはアリッサに向かって丁寧に頭を下げた。
「お久しぶりです、アリッサ様。
お元気そうで何よりです」
それから彼はデイジーに向き直ると、顔を覗き込むようにして微笑んだ。
そして、そっと手を握りしめた。
「それでは、デイジー様。
参りましょう」
慣れない人混みに緊張しているのだろうか。
不思議に思いながら、デイジーは首を傾げた。
けれど、今夜はせっかくの社交界デビューという記念すべき日なのだ。
こうして待っていても、ダンスに誘ってくれる人は現れそうにないのだから、せめてリオネルとくらい踊りたい。
「そうね、踊りましょうよ。リオネル」
デイジーは彼に手を差し伸べながら微笑んだ。
その言葉に、彼は驚いたように眉を上げたものの、ぎこちなく手をこちらに伸ばしてくる。
どうやら嫌ではないらしい。
ホッとしながら、その上に自身の手を重ねようとしたのだが。
「えっ……」
突然横から現れた男性に手を取られて、デイジーは呆然としてしまった。
驚いて顔を上げると、そこにいたのは、切れ長の黒い瞳をいたずらっぽく輝かせた、デイジーより少し年上らしい青年だ。
スラリとした背格好に、端正な顔立ちの彼は、デイジーたちばかりでなく、辺りの女性達の視線をあっという間に独り占めにしていた。
「あ、あの……」
手を握られて真っ赤になった頬を隠すこともできずに、デイジーはおずおずと青年を見上げた。
すると彼は眩しいほどの笑顔を浮かべながら、
「これは突然、失礼致しました。
ですが、とても美しい方だと思ったものですから。
チャンスを逃したくなかったのです」
と涼やかな声で言うと、握ったままのデイジーの手に優しく唇をつけてから、上目で続けた。
「私はクリス・ロングと申します」
「デ……デイジー・ガルシアですわ」
思わず声がうわずってしまったことが恥ずかしくて目を伏せたが、クリスは構わず言葉を続けた。
「どうか、私と一曲踊っては頂けませんか?」
まるで白馬に乗った王子様だわ、とデイジーは、返事をすることすら忘れて思った。
隣で、リオネルとバイオレットが怪訝な顔でクリスを見ていることなど、今のデイジーは気づきもしない。
ただ、震える声で
「……はい。是非」
と言うのが精一杯だった。
「ちょっと、デイジー」
バイオレットが言いかけた、その時。
「あら、ごめんなさいね。
すっかり話し込んでしまって……」
ちょうど戻ってきたアリッサが、一同を見回して微笑んでみせた。
ところが彼女は、クリスに目を向けたところで、ハッとしたように目を見開いたのである。
クリスも眉を上げ、じっとアリッサを見つめている。
2人の様子に戸惑いながら、デイジーは言った。
「あの、伯母様……もしかしてクリス様とお知り合いですか?」
「……え?」
アリッサは我に返ったようにデイジーに目をやったあと、再びクリスをチラリと見てから、頷いた。
「え、ええ、そうなのよ。
私もクリス様と同じセルディニア国にいたのですからね。
と言っても、何度かご挨拶をさせて頂いたくらいだけれど」
「そうだったのですね」
デイジーが頷くと、クリスはアリッサに向かって丁寧に頭を下げた。
「お久しぶりです、アリッサ様。
お元気そうで何よりです」
それから彼はデイジーに向き直ると、顔を覗き込むようにして微笑んだ。
そして、そっと手を握りしめた。
「それでは、デイジー様。
参りましょう」
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