自分こそは妹だと言い張る、私の姉

ゆきな

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しかし結果から言えば、カトリーヌの不安は的中することはなかったのである。
少なくとも食事中は、であるが。

スチュアートの目を気にしているらしいレイラは、食事の間中ずっとにこやかで。
使用人たちを困らせるような無茶な要求を口にするどころか、むしろ積極的に、しかも友好的に彼らに話しかけていたほどだ。

その態度は明らかに嘘くさく、カトリーヌや使用人たちを困惑させるものだったけれど。
とにかく何はともあれ、最後まで無事に食事は終わったのだった。

ほっと胸を撫で下ろしたカトリーヌは、レイラが隣で

「ああ、お腹いっぱいです!
どれも美味しい料理ばかりでしたわ」

と満足そうに言いながら立ち上がるのに合わせて、自分も立ち上がった。
しかし、そのままレイラに続いて自室へと戻ろうとしたところで、はたと足を止めた。

同じく席を立ったスチュアートが、庭園へと向かうのに気が付いたのである。
彼は今夜も、いつものように散歩に出るのだろう。

チラリと見れば、レイラはこちらに背を向けて、廊下を反対方向へと進んでいくところだった。
どうやら彼女はこのまま自室へと戻るらしい。

それを確認すると、カトリーヌは安心して回れ右をして、音を立てぬよう静かにスチュアートの背中を追いかけていった。

「スチュアート様!」

庭園へと出てすぐ彼に追いついたカトリーヌは、隣に並んで歩き出した。

するとスチュアートの歩調もゆっくりになる。
それが自分に合わせてくれているからだと気がつくと、体が芯からぽかぽかと温まるような気持ちになった。

「お姉様が突然滞在することになってしまって、申し訳ございません。
ご迷惑でしたよね」
「……構わない。
部屋はたくさんあるからな」

ポツリポツリと言葉を交わしたものの、すぐに口を閉ざしてしまったスチュアートに倣って、カトリーヌもあえて言葉を続けようとはしなかった。

二人の足音以外に聞こえる音はと言えば、噴水から流れ落ちる水しぶきの音ばかり。
ようやくレイラの声が聞こえなくなって、二人の間にはいつも通りの沈黙が流れていく。

ただ黙って並んで歩いているだけだったが、その静けさが心地良かった。

レイラが来たことで、そのことに改めて気づかされたのだと思うと、カトリーヌはなんだか可笑しくなってしまって。
つい笑いそうになったのだったが、ふと顔を上げると、少し向こうに人影を見つけて固まってしまった。

ガサガサと音を立てて静寂を破りながら、生垣の間を通ってやってくる人影。

それはもちろんレイラのものであった。
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