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ネリーがずっと憂鬱だったお茶会の日は、あっという間にきてしまった。
嫌な予感は当たるものだ。
きっと一悶着起こるだろうとは、ネリーも思っていたが、まさか、こんなことになろうとは……。
ネリーは、テーブルを挟んでシェイマスと向き合いながら、油断すればため息をつきそうになるのを、懸命に堪えていた。
シェイマスとて、笑顔を浮かべてこちらを見てはいるものの、完全に苦笑いになってしまっている。
「あの2人は、どこまで行ってしまったんでしょうね」
「本当ですね。本を取りに行っただけにしては、随分遅いですわね」
「まあ、しばらくすれば戻ってくるでしょうが……」
「そうですね。もしかしたら、本が見つからなくて探していらっしゃるのかもしれませんよ」
同じような会話を、もう何度繰り返したことだろう。
ネリーとシェイマスは互いに顔を見合わせると、引きつった笑顔を交わし合った。
ここはアリスの屋敷の客間である。
始めは当然、ネリーとマーティ、それにアリスとシェイマスの4人が揃って、テーブルを囲んでいたのだ。
心配した通り、アリスが会話の主導権を握りっぱなしだった為に、ネリーは時折相槌を打つくらいしか、会話に参加は出来なかったけれども。
それでもなんとか、穏やかなお茶の時間を過ごしていたはずだった……のに。
場の空気が変わったのは、アリスがこんなことを言い出したからだった。
「そうだ!この前読んだ本がとっても面白かったのよ。
まさにマーティが好きそうな内容だったの」
「へえ。なんていうタイトルの本?」
「えーとね……なんだったかしら」
アリスはしばらく首を傾げて考えていたが、やがて頭を横に振った。
「ダメだわ!思い出せない!
でも図書室にあるから、持ってきて見てみましょうか。
マーティにも読んで欲しいし」
早速アリスは立ち上がると、扉へと歩いていったのだが、不意に立ち止まると、振り向くなり、キョトンとした顔で言ったのである。
「何してるのマーティ。早く来てよ」
そして、慌てて立ち上がったマーティを引き連れて出て行ったきり、もう20分近くも戻ってきていないのだった。
かくしてネリーとシェイマスは、沈黙にならぬように意味のない言葉を繋ぎ続け、無駄な時間を過ごしているというわけなのである。
嫌な予感は当たるものだ。
きっと一悶着起こるだろうとは、ネリーも思っていたが、まさか、こんなことになろうとは……。
ネリーは、テーブルを挟んでシェイマスと向き合いながら、油断すればため息をつきそうになるのを、懸命に堪えていた。
シェイマスとて、笑顔を浮かべてこちらを見てはいるものの、完全に苦笑いになってしまっている。
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「まあ、しばらくすれば戻ってくるでしょうが……」
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ネリーとシェイマスは互いに顔を見合わせると、引きつった笑顔を交わし合った。
ここはアリスの屋敷の客間である。
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心配した通り、アリスが会話の主導権を握りっぱなしだった為に、ネリーは時折相槌を打つくらいしか、会話に参加は出来なかったけれども。
それでもなんとか、穏やかなお茶の時間を過ごしていたはずだった……のに。
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「そうだ!この前読んだ本がとっても面白かったのよ。
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「ダメだわ!思い出せない!
でも図書室にあるから、持ってきて見てみましょうか。
マーティにも読んで欲しいし」
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「何してるのマーティ。早く来てよ」
そして、慌てて立ち上がったマーティを引き連れて出て行ったきり、もう20分近くも戻ってきていないのだった。
かくしてネリーとシェイマスは、沈黙にならぬように意味のない言葉を繋ぎ続け、無駄な時間を過ごしているというわけなのである。
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