サンタさんのプレゼント

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サンタさんのプレゼント

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まあくんの家族はママひとりです。
パパは小さい頃に“お星様”になってしまったと聞いています。
でも、もうまあくんは小学生なので、“お星様になった”というのは、死んでしまったのだという事を知っています。
とても悲しいのは、まあくんは小さかったのでパパの事を覚えていません。
顔も写真で知っているだけでした。

「ママ・・・今日も遅いのかな」
いつも学校から帰ってきても家には誰もいません。
まあくんのママはお仕事をしているので、朝早くに出かけ、帰ってくるのも夜遅いです。
帰ってきてもご飯を作ったりとても忙しそうにしているので、まあくんとゆっくり過ごす時間はないのです。

でも・・・今日はクリスマスイブ。
クラスの子は、今日は家族でご飯を食べに行くのだとか、ママがケーキを作ってくれるのだとか、とても楽しそうでした。
「でも、早く帰ってきて一緒にご飯食べるって、今日の朝約束したから、
きっといつもより早く帰ってくるよね!」

そこに、プルルル・・・家の電話が鳴りました。

「もしもしママ?何時に帰ってくるの?」
「まあくん!留守番電話になってママだって分かってからじゃなきゃ出ちゃダメよ!」
「ごめんなさい・・・でも、絶対ママだって分かったから・・・。電話待ってたし・・・」
「でも、だめよ?それでまあくんしかいないとわかって、悪い人がきたら心配だもの」
「わかった・・ごめんなさい!これからはちゃんと気をつける!
・・・ねえママ?今日何時に帰ってくる?」
「まあくんごめんね・・・ちょっと遅くなりそうなの。」
「早く帰るって・・・約束したのに。今日ぐらいは早く帰るって」
「ごめんね・・・でも!ママ頑張って少しでも早く帰るから!」
「もういい!ママのウソツキ!大っきらいだ!」
「まあくん!待っ・・・」

ガチャン!!

ママが何か言っている途中で、まあくんは電話を切りました・・・。

「約束したのに・・・」
しょんぼり涙をこらえていると・・・

こつんこつん
なにか窓をたたく音がします。

こつんこつん・・・

「まさか!ママが言ってた悪い人がいるのかな・・・どうしよう!」

でも、ママは僕がいなくたっていいんだ。
悪い人につかまって僕がいなくなっちゃえば・・・そうすれば時間気にせずお仕事がいっぱいできる。
僕よりお仕事の方が好きだもの・・・

まあくんは思い切って窓を開けました。
悪い人がいてもいい。ママは悲しまないもの!

そこにいたのは・・・赤い帽子に赤い服、白いおひげにトナカイにソリ・・・
「サンタさん?!」
「やあ、まあくん!君にプレゼントを持ってきたよ、ちょっと早い時間だけどね」
「プレゼント?でも・・・僕もらえない」
「まあくんはいい子だろう?」
「ううん、悪い子だもの
だって、ママに大っきらいっていったから…」
「まあくんはママがきらいなの?」
「・・・大好き。でも、ママは僕の事そんなに好きじゃないんだ」
「なぜ?」
「だって、クリスマスイブなのに早く帰るっていう僕との約束守ってくれなかったもの」
「そうか・・・じゃあ、私はまあくんにやっぱりこのプレゼントをあげなくては」
「でも、サンタさん何も持っていないよ?」
「ここにはないんだ。さあ、一緒に行こう」
「一緒に?どこへ・・・?」
「ほら、おいで。くればわかるさ」

そういって手をひかれソリにのると、ふわっとソリは空を滑るように走りだしました。

「僕!空を飛んでる!でも、みんなに見られたら大変だよ!」
「大丈夫、まあくんは空飛んでるソリなんてみたことないだろう?」
「うん・・・サンタさんがいるのになんでだろう?」
「ソリはみんなにみえないようになっているのさ、大騒ぎにならないようにね」
そうサンタさんがウインクすると、さらにトナカイはスピードを上げました。
たくさんのビルの間をすり抜けていきます。

「僕・・・ここ見た事ある。たぶん」
「ほら、あの窓を見てごらん」
「あ!ママだ!やっぱりここママの会社だったんだ!何回か来た事あるもの」
「まあくんのママは、なにしてる?」

サンタさんに言われて見た窓には、とても忙しそうに電話を片手にパソコンを使っているママが見えました。

「とっても忙しそうにお仕事してる・・・」
「お仕事楽しそう?好きかなあ?
そうはみえないなあ・・・ 
でも、お仕事していないとまあくんの大好きなケーキもチョコも何も買えないからね」
そしてママは偉そうな人に頭を下げて、急いでそこからいなくなっていきました。

「ママ・・・なにしているの?どこにいったの?」
「きっとね、早く帰らせて下さいってお願いしたんだと思うよ。」
「そんな簡単に帰れるの?」
「無理だろうなあ。だからさっきお願いをして頭下げてたんじゃないかな。
 ほら、今度は下を見てごらん?」
「あ!ママだ、走ってる!そんなに急いでどこにいくの?」
「まあくんのところに少しでも早く帰る為に走ってるんじゃないかな?
ああ、そうか。見てごらん?まあくんの為にクリスマスケーキを買ってたんだね」
「僕の好きなショートケーキ!
・・・あっ!危ない!」
走っていたまあくんのママは転んでしまいました。
ケーキをかばったため、手をすりむいていましたが、構わず立ち上がるとすぐに駆け出しました。

「ママ・・・」
「まあくんの事嫌いにみえないね?あんなに一生懸命走ってまあくんの待っている家に帰ろうとしているんだもの」
「それなのに僕・・・だいきらいって・・・なんて悪い子なんだろう……」
「まあくんはいい子だよ?さみしくてもいつも頑張ってお留守番してるじゃないか
 お洗濯ものもしまったり、お風呂洗ったりお手伝いも頑張ってる!私はちゃーんと
 知っているよ」
「サンタさん・・・。」
「誰も知らないと思っていただろう?ちゃんと知っているよ。いい子なのをちゃんと知ってる」
「僕……僕……本当はいつも寂しかった。
みんなのママは帰るとお家にいて、おかえりって言ってくれるのに、なんで僕のママはいないの?学校から帰ってくるとお部屋はいつも真っ暗で寒いのって……いつも思ってた。
でも……ママは僕の為に頑張ってたんだね」「そうだね。ママもまあくんの為だから頑張れるのかもしれないね」
「サンタさん、早くおうちに帰らなくちゃ。家に僕がいなかったらママがきっと心配しちゃう」
「よし!さあしっかりつかまって。
トナカイがんばれよ!」
そうトナカイの背中をなでるとぐんぐんソリはスピードを上げていきました。
シャンシャン、シャンシャン、きれいな鈴の音を軽やかにならしながら・・・

「早い!もうおうちが見えてきた!」
「まあくんのママより早く着いたぞ」
「サンタさんのプレゼントは、僕に働いてるママを見せることだったんだね」
「いや、それもだけどちょっと違うな。
一緒にいられなくてもどれだけ大切に思っているかを分かって欲しかったんだ」
「ありがとうサンタさん!素敵なプレゼントだった!僕の知らないママが見れた!」
まあくんはサンタさんに抱きつきました。サンタさんもぎゅっとまあくんを抱きしめました。あったかくて大きな腕の中でまあくんはとっても温かく懐かしく感じたのでした。

もぞっと腕の中で動こうとした時、手にひげがからんでしまい・・・
「サンタさんのおひげ取れちゃった・・」
「あ!……まあ、いいか」
「おひげ取れるんだ……
僕サンタさんのお顔見た事ある」
「ん?そうかい?どこでみたんだろうね」
急いでひげをつけようとするサンタさん。それをとめようとするまあくん。
「思い出せそうなのに、なんか眠くなってきちゃった……」
「疲れたかい?眠っていいよ。ベッドに連れて行ってあげよう」
「サンタさん……今日は……ありが……と…」
「きっと…君のパパも、離れていても君たちのこと大切に思っているよ……」
あと少しで思い出せそうなのに、眠気が邪魔をします。サンタさんの優しい声ももう聞こえません……

その時、どこかでまあクンを呼ぶ声が聞こえます。
 
「・・・くん、ま・・・くん、まあくん!」
「ママ?あれ・・僕・・・今サンタさんと・・・」
「ふふ、夢見てたのね。まあくん、眠っていたのよ。」
「夢かあ……」
「そうよ。起すのがかわいそうになっちゃうぐらいぐっすりね」
「ママ・・・ごめんなさい。ぼく・・・ママのこと・・・だいきらいだなんてうそだよ!」
「ううん。ママこそ約束守れなくてごめんね・・・。いつもまあくん一人でお留守番ばかりでさみしかったのよね」
「ううん、ママは僕の為にがんばってくれてるんだもの。
 少しでも早く帰ろうっていつもがんばってくれてるんだもんね!
ママ・・・だいすきだよ!うわーんうわーん」
まあくんはとうとう大きな大きな声で泣き出しました。
“だいきらい”っていってしまってからずっと泣くのをがまんしていたのです。
だって一度言ってしまった言葉は戻らないから。
「いいのよ、まあくん・・・。そうだ!ケーキ買ってきたのよ。食べま・・・あー、かたよっちゃったな」
「あ!このケーキ・・・やっぱり夢じゃなかったんだ」
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない!」
「明日また買ってきてあげるね。これはママが明日食べるから」
「ぼくこのケーキでいい!このケーキが食べたい!」
なんでこのケーキがかたよっているか、まあくんは気づいたのです。
だって、ママの手はすりむいていました。
どんなに転ぶときにかばっても、ケーキがかたよるのまで守れなかったのでしょう。
そしてもう一つ気付いたのです。

「あ!!わかった!
ねえママ、サンタさんはパパなんだよ!
パパがサンタさんだったんだ!!」
おひげに隠れた顔は、写真で何度もみているパパの顔だったのです。
「まあくんは素敵な夢見てたのね……
ママも、パパサンタに会いたいなあ……」
「ママ…」
ちょっと寂しげにママは微笑みながら、まあくんを抱きしめました。
遠くにシャンシャン……とトナカイの鈴の音が聴こえた気がしました……

パパサンタさんがさみしくても頑張っているまあくんを見ていたように、
まあくんがお仕事を頑張っているママを見ていたように、
頑張っても誰も見てくれていないと思っていても、だれかが見守ってくれているかもしれません。

頑張る貴方にも素敵なクリスマスを……
メリークリスマス

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