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27【完】
すれ違いの二年間を取り戻すみたいに、僕たちはたくさん話をした。隣に清太がいることが夢なのかと思うたび、触れ合うその感触が現実だと教えてくれた。
空にお礼を言えば「俺がいないとお前は本当にダメだな」と呆れたように、だけど嬉しそうに笑っていた。
どうして空が清太を連れてきてくれたのか、空に聞いてみたけど上手くはぐらかされてしまった。
清太にもどうしてなのか聞いてみたけれど、「さてな」と誤魔化されてしまい結局僕は何もわからないままだった。
「これから、どうするんだ?」
週末、清太の家で夕食を食べながらそんなことを突然聞かれた。
「どうするって?」
箸を止めた清太は気まずそうに視線を泳がせている。
「こうして、ここに通うのか…ってこと…」
珍しく清太が自信なさげに言った。
確かに清太とやり直してから三ヶ月、土日はここに泊まりにきていた。僕の部屋はそのまま残してくれていたし、ここに戻ろうと思えば戻れたのに、なぜかそれを僕は口にしなかった。
「あぁ…。そう、だよね」
失笑した僕を今度はまっすぐに清太が見つめる。
「また、一緒に住まないか?」
僕は少しの間を置いてこくりとうなずいた。
「本当は、僕もそうしたいって思ってた…」
「じゃあ、決まりだな」
嬉しそうに笑う清太に鼓動が速くなる。
清太といるといつもそうだ。こんなに一緒にいるのに、ずっとどきどきする。
清太から視線を外して「……うん」とうなずいた。
『あの小説の続きを書くことにしました。もう書けないと思っていましたが、私自身にも嬉しい出来事があり、あの二人に未来をあげたくなりました。どうか読んでいただけたら幸いです』
お風呂を済ませスマホを確認すると、あの作者からそんなDMが来ていた。僕はずっと楽しみだったそれが、すごく嬉しくてすぐに返信をした。
『そうだったんですね。ずっと更新を楽しみにしていたのでとても嬉しいです。どうか、作者様にもあの二人にも幸せな未来がありますように願っています』
自然と口元が緩むのがわかる。
「なんかいいことあったのか?」
そんな僕を不思議に思ったのか、清太がそう声をかけてきた。
「あ!実はね───」
ソファーに座る僕の隣に座った清太にそのことを全て話した。
僕が話し終えると清太はなぜかくすくすと笑い出した。
「……やっぱり、男なのにこういうの読むの、変だった?」
不安になって僕がそう聞けば、「いや」と清太は首を振った。優しく頭を撫でられて抱きしめられる。
「何でもないよ。……彼方がおすすめなら、俺もあとで読んでみるよ」
そう言って微笑んだ清太を僕も抱きしめ返した。
清太の顔を見上げれば、嬉しそうに微笑んだまま僕のおでこに優しくキスをくれた。
それから半月。
多くもない荷物をまとめ引越しの準備が整った。家にあった空の荷物は全部持ち帰ってもらった。
空は僕が引っ越すことに不服そうだったけど、僕たちが上手くいったことを喜んでくれていたみたいだった。
「今度はこんなことになんなよ」
引越し当日。
暇だからと見送りに来てくれた空が、僕の背中を叩きながら言った。
「うん。本当にありがとう」
「おう!もっと感謝しろ!」
そうふざけて言う空は、僕が大好きな笑顔を携えていた。
「本当に感謝してもしきれないよ。ありがとう」
空の笑顔がさらに大きくなる。
「じゃあ、また月曜な!」
そう言って手を振る空に僕も「うん」と手を振った。
空に背を向けて駅のホームに入る。まるで初めてデートする恋人みたいに、わくわくして心臓が騒いでいた。
電車に乗りながらこれまでのことを振り返っていた。
空と出会ったとき、すごく嬉しかったことを今でもまだ覚えている。
空のことが好きなんだと自分の気持ちを知ったとき、きっと叶わないからずっと友達でいようと決めたこと。
僕のことを清太が好きだと言ってくれたとき、流されるままに付き合ってしまったこと──。
それなのに今は、きっと僕の方が清太のこと大好きだ。
僕たちの関係は認めてもらうまでにきっと時間がかかる。
僕の家族も、清太のお母さんも悲しませてしまう。
友人や会社の人には大きくは言えないだろう。
それでも僕は、清太と一緒に居たい。一緒に居られなくて辛い思いをするよりもずっと、その方がいい。
清太もそう思ってくれていたらいいなと───。
いや、きっと清太もそう思ってくれているんだろう。
電車を降りて軽い足取りで清太が待っている家へと向かう。
そろそろ荷物は届いているだろうか。
アパートが見え大きく深呼吸をする。
緊張しながらチャイムを鳴らせば、ゆっくりと玄関の扉が開いて幸せそうに微笑む清太がそこにいる。
きっと僕も同じ顔をしている。
「おかえり」
優しい声が僕を出迎えた。
「ただいま」
ずっと言いたかったこの言葉を噛み締めるように言った。
これからまた、ここでこうして「おかえり」と「ただいま」を繰り返す。
朝の「おはよう」も夜の「おやすみ」も当たり前にずっと。
そうやって僕はずっと清太の隣で笑っていよう。
空にお礼を言えば「俺がいないとお前は本当にダメだな」と呆れたように、だけど嬉しそうに笑っていた。
どうして空が清太を連れてきてくれたのか、空に聞いてみたけど上手くはぐらかされてしまった。
清太にもどうしてなのか聞いてみたけれど、「さてな」と誤魔化されてしまい結局僕は何もわからないままだった。
「これから、どうするんだ?」
週末、清太の家で夕食を食べながらそんなことを突然聞かれた。
「どうするって?」
箸を止めた清太は気まずそうに視線を泳がせている。
「こうして、ここに通うのか…ってこと…」
珍しく清太が自信なさげに言った。
確かに清太とやり直してから三ヶ月、土日はここに泊まりにきていた。僕の部屋はそのまま残してくれていたし、ここに戻ろうと思えば戻れたのに、なぜかそれを僕は口にしなかった。
「あぁ…。そう、だよね」
失笑した僕を今度はまっすぐに清太が見つめる。
「また、一緒に住まないか?」
僕は少しの間を置いてこくりとうなずいた。
「本当は、僕もそうしたいって思ってた…」
「じゃあ、決まりだな」
嬉しそうに笑う清太に鼓動が速くなる。
清太といるといつもそうだ。こんなに一緒にいるのに、ずっとどきどきする。
清太から視線を外して「……うん」とうなずいた。
『あの小説の続きを書くことにしました。もう書けないと思っていましたが、私自身にも嬉しい出来事があり、あの二人に未来をあげたくなりました。どうか読んでいただけたら幸いです』
お風呂を済ませスマホを確認すると、あの作者からそんなDMが来ていた。僕はずっと楽しみだったそれが、すごく嬉しくてすぐに返信をした。
『そうだったんですね。ずっと更新を楽しみにしていたのでとても嬉しいです。どうか、作者様にもあの二人にも幸せな未来がありますように願っています』
自然と口元が緩むのがわかる。
「なんかいいことあったのか?」
そんな僕を不思議に思ったのか、清太がそう声をかけてきた。
「あ!実はね───」
ソファーに座る僕の隣に座った清太にそのことを全て話した。
僕が話し終えると清太はなぜかくすくすと笑い出した。
「……やっぱり、男なのにこういうの読むの、変だった?」
不安になって僕がそう聞けば、「いや」と清太は首を振った。優しく頭を撫でられて抱きしめられる。
「何でもないよ。……彼方がおすすめなら、俺もあとで読んでみるよ」
そう言って微笑んだ清太を僕も抱きしめ返した。
清太の顔を見上げれば、嬉しそうに微笑んだまま僕のおでこに優しくキスをくれた。
それから半月。
多くもない荷物をまとめ引越しの準備が整った。家にあった空の荷物は全部持ち帰ってもらった。
空は僕が引っ越すことに不服そうだったけど、僕たちが上手くいったことを喜んでくれていたみたいだった。
「今度はこんなことになんなよ」
引越し当日。
暇だからと見送りに来てくれた空が、僕の背中を叩きながら言った。
「うん。本当にありがとう」
「おう!もっと感謝しろ!」
そうふざけて言う空は、僕が大好きな笑顔を携えていた。
「本当に感謝してもしきれないよ。ありがとう」
空の笑顔がさらに大きくなる。
「じゃあ、また月曜な!」
そう言って手を振る空に僕も「うん」と手を振った。
空に背を向けて駅のホームに入る。まるで初めてデートする恋人みたいに、わくわくして心臓が騒いでいた。
電車に乗りながらこれまでのことを振り返っていた。
空と出会ったとき、すごく嬉しかったことを今でもまだ覚えている。
空のことが好きなんだと自分の気持ちを知ったとき、きっと叶わないからずっと友達でいようと決めたこと。
僕のことを清太が好きだと言ってくれたとき、流されるままに付き合ってしまったこと──。
それなのに今は、きっと僕の方が清太のこと大好きだ。
僕たちの関係は認めてもらうまでにきっと時間がかかる。
僕の家族も、清太のお母さんも悲しませてしまう。
友人や会社の人には大きくは言えないだろう。
それでも僕は、清太と一緒に居たい。一緒に居られなくて辛い思いをするよりもずっと、その方がいい。
清太もそう思ってくれていたらいいなと───。
いや、きっと清太もそう思ってくれているんだろう。
電車を降りて軽い足取りで清太が待っている家へと向かう。
そろそろ荷物は届いているだろうか。
アパートが見え大きく深呼吸をする。
緊張しながらチャイムを鳴らせば、ゆっくりと玄関の扉が開いて幸せそうに微笑む清太がそこにいる。
きっと僕も同じ顔をしている。
「おかえり」
優しい声が僕を出迎えた。
「ただいま」
ずっと言いたかったこの言葉を噛み締めるように言った。
これからまた、ここでこうして「おかえり」と「ただいま」を繰り返す。
朝の「おはよう」も夜の「おやすみ」も当たり前にずっと。
そうやって僕はずっと清太の隣で笑っていよう。
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