へっぽこ勇者と色情狂いの王様

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一時帰宅したい

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春の麗らかな日和、花が咲き乱れ春の陽気に小鳥が飛び交う

相変わらずガラス張りの部屋に足だけ拘束されて、ぼくは監禁されていた

それでも大人しくしているせいか、ヴァイスの前では逆らわないからか大分自由をくれるようになった

初月は磔状態で、まじで身動きすら許されなかったから(ヴァイスがいない時のみ)、つらすぎた

あれか2ヶ月経った今、ぼくにはしなければならないことがあった

「あのー…ヴァイス、挨拶をしに実家に帰ってもいいですか?」

「……………ウール、魔族と疑われているのに帰っていいわけないだろう」

今は、朝食をヴァイスと一緒にとりながらヴァイスの顔色を伺うように聞いてみたが却下された

閉じ込められても、なんら不満もない

毎日、清潔な着替えや部屋、シーツも取り替えてくれるし、食事も王宮御用達だけあって、すこぶる美味い

目の前に並ぶご馳走。朝から見目にも楽しくクロワッサンや瑞々しいサラダ、果物の光景は、ぼくが此処に閉じ込められてから毎日である

なんならヴァイスは朝から夜までいることがザラにある

他の人のところに行かなくていいのか聞くと、取り調べが始まってしまうので、もう聞けない

「さすがに長年、行方不明だったわけじゃないですか。一度くらい家族に会いに行くのは許されないのですか?」

「…………取引にしたくないが、番契約をするならいいぞ?次の発情期に、首を晒して首輪を取るならば許さなくもない」

鴨肉のソテーを切り分け、完璧な所作で口に運びながらヴァイスは片眉をあげる

ぼくは言葉を飲み込んだ

なぜならば、帰りたい理由が首輪の暗証番号に関わるからだ

正直、ヴァイスはアルファ性がかなり強い。つまり、ラットに入った時の凶暴性も強いのだ

あまりにも番契約や首輪にこだわりすぎると、殺されてしまうオメガもいるのだ

特にアルファ性が強いアルファに当たると、オメガはまず逃げられない

手段を選ばす、地位や権力で押しつぶされるからだ

だから、最終的に命の危機までいくと首輪を外してしまうオメガもいる

しかし、ぼくは暗証番号を忘れてしまっていて首輪を外せず、所謂セーフティーがない状態なのだ

そして、実家のぼくの机には首輪の暗証番号をメモしたものが母が捨ててなければ、あるはずなのだ

だから一時帰宅して、そのメモを確認したいのだが、後宮に入ってしまえば出れるのは死ぬ時か離縁された時のみだ

ナード家は人質の意味合いが強いので、年頃になったら返される。ぼくで何人目かは知らないけれど、王家への忠誠心のためだけに出される人質だ
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