67 / 68
花畑で捕まえて2
しおりを挟む「え!?なんかこっちに向かってる!?」
ぼくが走り出すと、その血脈もぼくを目掛けて移動してくる
恐らくヴァイスだ。すでに、ぼくは見つかっているのだろう
息が切れるくらい走っても、どんどんと周りに灰色の枝が伸びてきて周りに突き刺さる
やがてそれは円状に、僕を閉じ込める形で一気に地面から起隆してきたので、ぼくは足を止めた
「はぁ、はあ…な、なに!?これなに!?」
なんとなく触れてはまずいような気がして取り囲まれた苛立ちからあたりを見渡す
花畑には、どんよりとした雲が立ち込めあたりは暗くなり、生ぬるい風が頬を撫でる
「首輪を外すのが、そんなに嫌だった?」
上から声が降ってきたので、慌てて見上げるとそこにはヴァイスが勇者の剣に脚をかけて、ぼくを見下ろしていた
流れる黒髪は相変わらず艶やかで、健康的な褐色の肌にかかって神秘的で、その美貌の褐色の瞳は冷たく、それでも目の奥には揺らぎのような炎が見える
思わず後退りすると、するすると枝葉のような灰色の血脈は、ぼくの首輪の周りを囲むように巻きついてくる
「ウール、自分で外せば、悪いようにはしない。拒むな、ガードネックを外せ」
ヴァイスの言葉に下唇を噛んで、睨む
酷い人だ。アナスタシアを娶ったくせに、ぼくの番まで奪うつもりなんだ
「……すっかり騙されたな。ウールは従順な子だと思っていたよ。番になることを拒むつもりか?」
「アナスタシアを娶ったなら充分だろう!?ぼ、ぼくだって、ぼくだって自由に番を選ぶ権利がある!」
だんだん威圧的になっていくヴァイスに負けないように叫べば、ジュウウウと灰色の血脈が首輪を焼いていく
ぼろぼろと涙が溢れてきた
「違う、誰かと、番に、なるつもり?」
ゆっくりと、言い聞かせるように言い終わると、ヴァイスから憤怒の形相で見下ろされて内心震え上がる
「誰だ?相手を言え」
こ、こここ、ここ怖い!!!!!!
「ぼ、ぼくだって、勇者だ。勇者の剣は、ぼくだって扱える!!!」
ヴァイスが少し怯む様子を見せたので、灰色の血脈を手で薙ぎ払い、血脈に触れた瞬間焦ったヴァイスのところまで駆け上がって、剣を足で薙ぎ払う
体制を崩したヴァイスを横目に、足が滑って剣に飛びついたまま花畑に落下していく
ああ、ダメだ。もう終わりだ。剣が、ぼくに突き刺さるだろう
ぎゅうと目を閉じるも、痛みが一切ない
そろりと片目を開くと、ヴァイスが剣を持ち、ぼくを抱き抱えていた
「は!離せ!!」
「ウール暴れるな。誰だ?誰と番になるつもりだ?あの冒険者か?魔王か?誰だ?」
泣き喚くぼくをものともせず、ヴァイスは押さえつけてくる
「…意地でもガードネックを外さないつもりか?無駄なことだ」
ヴァイスが勇者の剣を、ガードネックに当てるだけで、ガードネックは、さらさらと音を立てて崩れ去っていく
暗証番号を忘れていただけだけれど、晒された首にヴァイスは舌を這わせて、見たことのない気味の悪い笑顔を浮かべながら、ぼくを抱きしめる
「ウール、相手が誰か言わないのなら、周りのウールの大切な人を1人ずつ拷問にかけような?」
さわさわと腰を撫でながら言い捨てるヴァイスに、信じられないものを見るように見上げる
凄まじい美貌の目に、いつから狂気が混ざっていたのだろうか?
ぼくの妹アナスタシアを娶り、ぼくを返す気じゃないのか?
156
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
【BL】声にできない恋
のらねことすていぬ
BL
<年上アルファ×オメガ>
オメガの浅葱(あさぎ)は、アルファである樋沼(ひぬま)の番で共に暮らしている。だけどそれは決して彼に愛されているからではなくて、彼の前の恋人を忘れるために番ったのだ。だけど浅葱は樋沼を好きになってしまっていて……。不器用な両片想いのお話。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる