へっぽこ勇者と色情狂いの王様

66

文字の大きさ
21 / 53

ここはどこ?????

しおりを挟む


勇者の剣を抜いた後、くまなく広場を見て回った結果、地上に上がる階段を発見した

いやもう本当に大変だった

本当にぼくを運んで、あんなところに放置できたのは奇跡なくらい階段が急だし長いし上がるのに何時間もかかった

上がったらあがったで、鬱蒼とした暗い森だったのだが

しかも、恐ろしい剣を抜き身で手にしたままだ

せめて鞘が欲しいところだが、それは城に戻れてから考えよう

そう、ぼくは絶賛迷子中なのだ

迷子でも、この剣のおかげかあまり不安はないのだが、どの方向に城があるのだろうか?

暗い森はもう周りも見えず、剣が不気味に光っているため、うっすら足元が見える程度だ

キョロキョロ周りを見渡すと、不気味な光る眼や不気味に鳴く鳥達が見張っているような気がする

「う、うわー、こ、こわいなー…」

剣を構えたまま、そろそろと前に進む

すると、森の向こう側に俄かに薄暗い灯りが見えた

ぼんやりとした光が近づいてくるのを、茂みに隠れてやりすごす

やがて光と共に、話し声と足音が聞こえてきた

人だー!!

安心感から体から力が抜けていく。だが、こんな時間に、こんなところに来るとは。あの洞窟に、ぼくを放置した侍女の仲間かもしれない

茂みから目だけ出して、ひょこっと覗いていると、バチリと光の主と目が合った

「う、ウール?なんでここに?ていうか、ずっと待ってたんだけど」

「パン!?どうしてここに!?」

同時に発言すると、パンは呆れたように横にいた中年の男性を見上げる

「パパ、この子が話してたウール。約束の場所にずっと現れないから心配してたんだけどさ。それより、ウール。危ないじゃないか?ここは勇者の剣の……」

ふとパンが目を見開いて、ぼくの手を凝視して信じられないものを見たかのように表情を曇らせていく

パンのパパも、ぼくを見て固まっていた

「そ、それは!?勇者の剣!?!ウール、これを何処で拾ったの!?」

「これは…!危険だ!絶対に振るなよ!?鞘!封印の鞘を屋敷に取りに行かねば!ウールくん、早く来なさい!」

慌てた様子の2人に、引きずられるようにして連れて行かれた先は、パンの家だった

家といっても屋敷に着くまで随分かかったし、庭も庭園といっても差し支えなかった

ただ、貴族ではないので移動は絶対に徒歩なんだそうだ

陛下から許可があれば別なんだけどと教えてくれた

部屋に着くなり、2人は怪しい布や読めない文字が羅列してある札を剣にベタベタと貼って鞘に収めて、ほっと息をついていた

ぼくは、すっかり使用人さん達に洗われて着替えさせられ、お茶までご馳走になりながら2人の様子を伺う

この事件はヴァイスにどう伝わっているのか?

待機するよう命じられたのに、ヴァイスには逃走したように見えているか、報告されているかもしれない

ゾッとして肩をさする




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった

BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。 にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

嘘つきの婚約破棄計画

はなげ
BL
好きな人がいるのに受との婚約を命じられた攻(騎士)×攻めにずっと片思いしている受(悪息) 攻が好きな人と結婚できるように婚約破棄しようと奮闘する受の話です。

処理中です...