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「使用人風情の女の子供が……!!」

激昂しているバルジアンに、アンダーシアンも唇を歪めて噛み殺している

全身の毛を逆立てるように、フーフー言いながら怒っているバルジアンの顔に手を添えて、こちらを向かせる

何をそんなに怒っているのか

怒りに瞳孔が開いている

猫みたいで可愛いだけだけど

第二皇子は、あんまり興味がなさそうだったのに


「めっ!バルジアン様っ!そんな言葉を吐いてる人に誰が付いてきてくれるんですか!」

俺の言葉にバルジアンは、また蒼い瞳に涙の膜をはってきぃっと俺を睨んでしがみつく

「グルーがっ!く、クルーがわ、悪いんだぁっ!!!」

何で俺がわるいんだよ

よしよししながらあやすと、子猿のようにしがみついてきて、肩に顔を埋めて泣く


「すみません。アンダーシアン様、まだ子供ですのでお許しくださいますよう」

アンダーシアンに会釈をして、さっさとここを去ろうとすると、アンダーシアンが腕を掴んできた

泣きそうで縋ってくるような表情に、眉根を寄せる

「あ…こちらも、すまなかった」

アンダーシアンに掴まれた腕を見て、またバルジアンがぎぃいい!!と奇声をあげているので、さっさと外して礼をもう一度して足早に離宮を出る

もうアンダーシアン、あいつは疫病神だ。怖いし、もう近づきたくない

事前に用意されていたのか、止まっていた馬車に案内されて乗ると、バルジアンはしがみついたままで降りたがらないので抱っこしたまま馬車に乗ると、宮廷に着くころには、すやすや寝入っていた

温かい子供の体温と、甘い匂いに頬が緩む

バルジアンをベッドに寝かせて、柔らかい髪を撫でる

使用人風情の女の子供か。アンダーシアンもなかなか宮廷での立場は弱いようだ

バルジアンは、モンちゃんを盗られたうえ、俺も盗られると激昂したのだろう

目には本気の殺意があった

バルジアンも弱い立場もあるし、寂しいのかもしれない

せめて、バルジアンの母親である皇后が訪れてくれればいいのに

皇后はユーリにつきっきりで、バルジアンの宮廷に訪れることはない

ましてやバルジアンが呼ばれることもない

これは後継争いで、同腹で争わぬよう寵愛を明らかにするためでもあるだろうが、まだバルジアンは小さいのに

「……せめて俺が側にいてやるよ、寂しがるな。一緒にいような」

バルジアンには聴こえていないだろう。でも少しでも彼の孤独が埋まってくれるといいなと思う

俺は母親に嫌ってほど構ってもらったから、与えられたものをバルジアンにも分けてあげられる

ユーリにも嫌がらせされて、可哀想に。こんなにバルジアンは可愛いのに

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