13 / 69
13
しおりを挟む白亜の御殿に朝陽がさしこみ、朝露で濡れた瑞々しい葉っぱを集める
食べられるやつを調べておいて本当に良かった
そして、モンちゃんがかっぱらってきていた鶏の卵を拾い
頭に布巾をかぶり、ユーリの御殿の厨房に入り、パンをいくつか失敬して足早に立ち去る
アンダーシアンは本当はなんの用事だったんだろうなと思いながら、朝食の準備をしていると、ものすごい勢いでバルジアンが厨房に走ってきた
鍋に火をかけている俺を見て、力が抜けたように座り込み、安堵した表情になる
「おはようございます、もうすぐ朝食できますからね」
バルジアンは立ち上がると、腰に抱きついてきた
まだまだ甘えたい年頃なんだろうな
ぽんぽんと背中を叩くと、きっと睨んで顔をあげた
おお?
「クルー!!今後は僕と一緒じゃないと外出禁止とする!」
昨日の外出がバルジアンにトラウマを植え付けてしまったようだ
頭をよしよししながら、曖昧に笑いながら頷くと、バルジアンは子供扱いするな!と怒っている
子供じゃんか
「クルーもまだ子供だろう!そ、そんなに変わらないのに大人ぶるな!」
こんなこと言ってる時点で、お子ちゃまなのだが大人ぶりたいんだろうな
「まあそうだけど。でも、俺が外出しないで、どうやって食料を調達されるおつもりですか?」
俺がふふん、と笑うとバルジアンはぐぬぬと言葉に詰まる
そう、この宮廷の食事は俺の釣りの腕にかかっているのである
「……お母様と話をつける!面会しにいく!ところで、アンダーシアンとなんの話をしていたんだ?」
皇后に会うという言葉に、おやと思う
会うことは可能なのだろうか?
「あー、話…あっ、バルジアン様、バルジアン様も魔法、魔法は使えるのですか?」
急に目をキラキラさせてにじり寄る俺に、若干引きつつも、バルジアンは胸を張って答える
「使えるよ!なんなら掃除とか全部僕がしてるんだから!だから…兄上もお母様も気味悪がって、会いにきてくれないんだ…」
元気をなくしていくバルジアンの手を取る
手の温もりで、少しでも慰められるといいなと思う
「ねえバルジアン様、俺にも魔法を教えてもらえませんか?雑事は全て俺がやりますから」
泣きそうになりながら、抱きついてくるバルジアンにユーリめ、とも思う
俺には一つすごく気になっている事がある
ユーリが、あの森で言っていた言葉だ
『つまり失敗したわけだ。バルジアン、怖かっただろ?もう休め』
俺は、この言葉がずっと引っかかっている
もしかしたら、ユーリはバルジアンを殺そうとしていたのではないだろうか?
そうなってくると、ここまでバルジアンに無関心な母親と合わせて大丈夫なのだろうかとすら思う
応援ありがとうございます!
155
お気に入りに追加
457
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる