堕ちて逝った塊

佐野絹子

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死 壱

02 藤原 龍 Ⅱ

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糞親父が調子に乗り始めた

金を渡した日を境に
俺様に金を
強請(ねだ)って来る頻度が
多くなった
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「頼む!!龍!!」

「またかよ………」

俺様に親父は
手を合わして
頭を下げていた

「お前しかいないんだ……」

親父が俺様の服を掴んで
お願いをして来た

「いい加減にしろよ!!
お前のATMじゃあねぇんだぞ!!」

俺様は親父を突き飛ばした

親父に触れられた事により
怒りではなく
嫌悪感を感じた

「チッ……あぁ、もういい、分かったよ」

親父がそう言い吐き
俺様から去って行った

それから親父は来なくなった

安心した
あんな奴
来ない方が良い

関わりたくない
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1ヶ月が経った頃

俺様が住んでいるアパートに
闇金の取り立てが来た

「……ぇ……」

俺様の
住んでいるアパートの
玄関のドアの前には
柄の悪い男が2人立っていた
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そこからは大変だった

糞親父が俺様を勝手に
闇金から借りた金の
保証人にしやがった

十万借りたらしいが
利子で膨れ上がった借金は
百万になっていた

殺意が湧いた………

俺様は死に物狂いで
親父を見つけ出し
親父を撲殺した

川辺の傍で
此奴(こいつ)の死体と
俺様は立ち尽くしていた

右手の拳は
此奴の血で
真っ赤に染まっていた

「汚ぇな」

川に近寄り
川の流れる水で
手を洗った
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此奴が………
お袋と俺様の
人生を狂わしたんだ………

此奴が…………糞親父…………
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