堕ちて逝った塊

佐野絹子

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死 壱

02 藤原 龍 Ⅰ

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俺様は小せぇ頃から
悪餓鬼で
喧嘩ばっかしてた

中学に上がってから
暴走族に入った

学校には行かず
族の連れ共と遊んでた

族同士の喧嘩は
日常茶飯事
窃盗 暴行は
当たり前にしてた

あれだけの事をして
よくサツ(警察官)に
捕まらなかったもんだ

高校には進学はしなかった

受験はしたが落ちた

落ちた理由はあれだろ…
受験態度が悪過ぎた事

受験面接の待機中
ガムを噛んだり
ダチ共と
消しゴムのカスを投げあったり
大声で喋ったりした

待機中を監視してた
センコー(教師)は怒ってたよ

当たり前か……

結果は不合格  

落ち込んだ?
まさか!!

合格しても、元々学校には
行く気はなかったけどな

4月からは
先輩の紹介で
土木建築の仕事に就いた

俺様は仕事だけは
真面目にしてた

先輩にも社長さんにも
迷惑はかけたくはなかった

俺様が18歳になった頃
俺様の仕事場に
親父が俺様に会いに来た

「龍~!!久しぶりだな!!元気にしてたか!?」
 
愛想良く親父が
挨拶をして
俺様に近づいて来た

「何」  

俺様は冷たい対応をした
こいつが憎い程
大嫌いだ

「そんな冷たい態度するなよ~
パパ傷ついちゃう~……」

早く帰れ
要件は分かってんだよ

「金貸してくれ!!1万で良い!!
いゃ……千円で良い!!」

親父が手を合わして
お願いして来た

「無理、今,仕事中なの分かんねぇか?
邪魔、帰れよ」

「頼むよ!!パチンコ負けちまってさ……
3日も食べてないんだよ…」

親父は土下座をして
お願いをして来た

「頼む!!」

やめてくれ……
こんな所
仕事仲間に見られたら……

「分かったよ!!」

俺様は財布から
1万円札を出して
親父に渡した

「これ持って早く帰れよ……
こんな所見られたらヤバい」

俺様は親父に
早く帰ってもらいたくて
金を渡してしまった………

これがいけなかった
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