堕ちて逝った塊

佐野絹子

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周りが食事を始めた頃に
龍が食事を終えた

龍の口周りと手は
かなり汚れている

龍はテーブルに置いてある
おしぼりを乱暴に取ると
雑に口周りと手を拭き
おしぼりをテーブルに投げ置いた

少し時間が経過すると
龍は落ち着きを
無くしていった

貧乏ゆすりをしたり
手遊びをしたりと
落ち着きがない様子だ
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周りも順々に
食事を終えると
アルが龍に注意をした

「ねぇ、君さ 
少しはジッとしててくれない?」

「は?」

アルの言葉に
龍は頭に血が
上っているのが分かる
龍の顔が赤い
怒っているのか
恥ずかしさで
赤面しているのかは
分からない

「怒るのは良いけど
周りがまだ食べているよ」

「チッ」

アルの最後の言葉に
龍の貧乏ゆすりは
激しさを増した 

皆が食事を終えると
鉄製の扉が現れた

『「…………」』

皆が席から立ち
扉の前に立った

俺も戸惑いながらも
扉の前に立った

何事なく扉は開くのか?
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扉は開いた

俺は安心して足を進めるが……
周りの様子がおかしい………

俺は振り向き
様子を伺う

「なっ!?」

俺は目の前の光景に驚いた

龍が首輪を掴み
苦しんでいる

「グハッ!!何だこれ!!痛ぇ!!」

龍に取り付けられている首輪が
どんどん龍の首に
めり込んでいく

「息が出来ねぇ!!……ハァハァ……んっ!!」

龍の顔色が段々と
悪くなっていく

龍は首輪を掴み
その場に倒れた

龍は一頻(ひとしき)り
もがき苦しんだ後

「………死………ぬ……のか………………」

龍の口から
泡が溢れている



「………………」

龍は目を見開いたまま絶命した

龍の首輪から
鈍い機械音が聞こえた
その瞬間
首輪が爆発した

龍の頭と
体は分離した

首からは
大量の血が吹き出し
俺の傍に龍の頭が
落ちてきた

龍(死体)と目が合った
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俺はその瞬間
気を失った
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