堕ちて逝った塊

佐野絹子

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死 弍

04 佐藤利子 Ⅳ

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歪んだ視界から
視界がしっかりとした

ここは何処…………?

私はゆっくりと身体を起こす

ベッドの軋む音がした

私はベッドに
寝かされていた様だ

「何…………ここ」

薄暗い大部屋に
無数の鉄製のベッドが置かれている
ベッドには老若男女問わず
寝かされていた

気味の悪い場所だと思った
早くこの場所から離れたい

額に手を置いて考えた

私はそもそも
何でこんな所に?
………………思い出せない………………

「ひっ…………ここは…………」

左隣から少女の声がした
私はそちらを見た

そこには
まだ幼さが残る少女が
うずくまって怯えていた

「大丈夫?」

私は怯えている少女に
思わず声を掛けていた

少女は利子の顔を見て
きょとんとしている

私は少女に声を掛けた事を
後悔したがその後
少女は微笑んだ

天使のように可愛い笑顔だと思った

「あり…か……とうございます……」

少女は詰まるような話し方で
私にお礼を言ってきた

「私…………怖くて…………
お姉ちゃんに……
話しかけられて……
少し……安心…しました」

お姉ちゃんだなんて!!
こんな可愛い子が妹なら
本望よ!!

「お姉ちゃんの傍にいなさい
あなた…名前は?」

「芹澤…珠凛です」

私の質問に珠凛はおずおずと
自身の名前を答えた

「私の名前は…………」

 私が自身の名前を名乗ろとした時

大音量の音で
AIの女性の音声が流れた
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