堕ちて逝った塊

佐野絹子

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死 参

06 Ⅶ

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男達は揉め始めた

僕は2人の
やり取りを
傍観していた

喧嘩が終止した頃

「そんな奴、ほっとけば良かったのに」

僕は男達に
言葉を投げかけた

本当はこんな言葉
言いたくなかった……

僕も君達の仲に
加わりたかった

けど……
言葉をかける言葉が
分からなかった
━━━━━━━━━━━━━━━
頭上から
女性のAIの音声が流れた

【警報アラート発動
警報アラート発動
直ちにこの場から離れて下さい
まもなくこの場は崩壊します
直ちにこの場から離れて下さい
まもなくこの場は崩壊します】

通路の奥の方から
崩壊する音が聞こえた

僕は以前と同じ様に
音がする方とは
真逆の方向に
全速力で駆け出した

僕の行動につられ
皆も僕の後に
付いてくる

揉めていた男が
僕の傍を走っている

へぇ
僕の走るスピードに
付いてくるなんて
なかなかやるじゃん

僕は自分の 
脚の速さには
自信がある

「君、足速いんだね」

僕は男に
笑顔を見せると
男は不機嫌な顔をした

あれ?
怒った?
何で怒ったんだろ?
ま、良いや

通路の先が
微かに光っているのが見えた

「ゴールだよ」

僕は男に言うと
光の強さは
激しさを増し
通路を出ると
身体は投げ出された

全身が
優しく暖かい布の
様な物に包まれた

激しい睡魔が襲い
僕の意識を遠のいた
━━━━━━━━━━━━━━━
今回は……友達……できる………か…な?
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