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第二章(謎解きのおわり)
凡庸な山田。
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「……あなたは、デジャヴさんなんですか?」
今にも消え入りそうな声で、僕は呟いた。
「は? デジャヴュってのは、お前がハマッてる少年漫画のことだろ……いや、違うか? お前が、俺の二次創作がきっかけで……」
「間違えました!!」
デジャヴさんの名前は、僕が勝手にそう名付けていたことを、すっかり忘れていた。
「……ええと、そうじゃなくて、ああ! ツイッターのハンドルネームが顔文字の……なんていうか」
「山田太郎だけど」
「……えっ?」
「だから、名前だろ」
「……え? 嘘ですよね」
「そんなんで嘘なんかついて、どーすんだよ」
「……えっ、じゃあ本当に、あなたは山田太郎さんなんですか?」
「そーだよ」
「……ブフーッ!!」
僕は限界だった。
そんなシュッとした見た目をしているくせに、名前が山田太郎だなんて、笑わないでいられるわけがない。
日本人を代表する名字と名前であることは間違いなく、その名前を笑うだなんてことは、全国の山田太郎さんを敵に回すのに等しいが、それでもやはり、目の前の人が山田太郎だとはどうしても思えないのだった。
だって、この人があのデジャヴさん本人だと知ったときでさえ、驚きより腑に落ちる気持ちの方が大きかったくらいだ。(絵の上手さは実証済みだし……。)
「ハーッ……すみません、なんか、僕」
「ほんとだよ、いい歳して人様の名前で爆笑するやつがあるかよ」
「本当にすみません! いや、なんだかお陰さまで、あなたが僕の好きな絵師さんだと分かったときの衝撃がだいぶ薄れました」
「それ、ただの悪口になってねーか……」
「えっ、そんなつもりで言ったわけじゃないんですけど、悪口になってたなら、すみません……」
「……なんだそれ。別に、まあーいいけどよ。自分だって俺と同じ凡庸な山田だってこと、忘れんなよ」
「!!」
「なに、今初めて気が付きました、みたいな顔してんだよ……フフッ」
良かった。腑抜けな僕でも、ようやくまたデジャヴさんの機嫌を少しは取り戻せたらしい。
「そう言われてみれば、そうでしたね」
「そーだよ。でも、まあ縁起の良いお名前付けてもらえて羨ましいこった」
「いや、でも今のところの人生は、かなり冴えない感じですよ」
「ふーーん……」
目を細めて少し、黙った後で、太郎さんは腕時計を確認していた。
「……そろそろだな」
「……何がです?」
僕のその疑問に、何か言いよどむような間の後で、ゆっくり太郎さんが口を開きかけたときだった。
「たろちゃーーーん!! おめでとーー!!」
突然「キャーッ」という黄色い歓声と共に、店の入口から女の子たちが、ぞろぞろとやってきたのだ。
本屋に似つかわしくない大ボリュームの声量に、僕は思わず身体をビクリと震わせた。
しかし、太郎さんは、一切動じずに、その女の子たちに向かって「おー! おつかれー」なんて、のんきに手を上げている。
今にも消え入りそうな声で、僕は呟いた。
「は? デジャヴュってのは、お前がハマッてる少年漫画のことだろ……いや、違うか? お前が、俺の二次創作がきっかけで……」
「間違えました!!」
デジャヴさんの名前は、僕が勝手にそう名付けていたことを、すっかり忘れていた。
「……ええと、そうじゃなくて、ああ! ツイッターのハンドルネームが顔文字の……なんていうか」
「山田太郎だけど」
「……えっ?」
「だから、名前だろ」
「……え? 嘘ですよね」
「そんなんで嘘なんかついて、どーすんだよ」
「……えっ、じゃあ本当に、あなたは山田太郎さんなんですか?」
「そーだよ」
「……ブフーッ!!」
僕は限界だった。
そんなシュッとした見た目をしているくせに、名前が山田太郎だなんて、笑わないでいられるわけがない。
日本人を代表する名字と名前であることは間違いなく、その名前を笑うだなんてことは、全国の山田太郎さんを敵に回すのに等しいが、それでもやはり、目の前の人が山田太郎だとはどうしても思えないのだった。
だって、この人があのデジャヴさん本人だと知ったときでさえ、驚きより腑に落ちる気持ちの方が大きかったくらいだ。(絵の上手さは実証済みだし……。)
「ハーッ……すみません、なんか、僕」
「ほんとだよ、いい歳して人様の名前で爆笑するやつがあるかよ」
「本当にすみません! いや、なんだかお陰さまで、あなたが僕の好きな絵師さんだと分かったときの衝撃がだいぶ薄れました」
「それ、ただの悪口になってねーか……」
「えっ、そんなつもりで言ったわけじゃないんですけど、悪口になってたなら、すみません……」
「……なんだそれ。別に、まあーいいけどよ。自分だって俺と同じ凡庸な山田だってこと、忘れんなよ」
「!!」
「なに、今初めて気が付きました、みたいな顔してんだよ……フフッ」
良かった。腑抜けな僕でも、ようやくまたデジャヴさんの機嫌を少しは取り戻せたらしい。
「そう言われてみれば、そうでしたね」
「そーだよ。でも、まあ縁起の良いお名前付けてもらえて羨ましいこった」
「いや、でも今のところの人生は、かなり冴えない感じですよ」
「ふーーん……」
目を細めて少し、黙った後で、太郎さんは腕時計を確認していた。
「……そろそろだな」
「……何がです?」
僕のその疑問に、何か言いよどむような間の後で、ゆっくり太郎さんが口を開きかけたときだった。
「たろちゃーーーん!! おめでとーー!!」
突然「キャーッ」という黄色い歓声と共に、店の入口から女の子たちが、ぞろぞろとやってきたのだ。
本屋に似つかわしくない大ボリュームの声量に、僕は思わず身体をビクリと震わせた。
しかし、太郎さんは、一切動じずに、その女の子たちに向かって「おー! おつかれー」なんて、のんきに手を上げている。
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