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花に害はない

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 此処は魔界を統べる恐ろしい魔王様のお城。
 魔女が庭で何かしているようだ。

 魔狼は泥だらけで歩いている魔女を見つけた。
 「魔女!? どうしたんだその格好! いじめられたのか!?」
 魔女はふるふると首を振って否定する。いくら四天王最弱といわれていても、其処まで弱くはない。

 「そっか? ならいいけど。お前封じられてから其処らの人間並みの力しかないからなぁ。気をつけろよ」

 訂正、魔女は弱い。
 そういえば封じられていた。
    
 「でも、何でそんなに汚れてんだよ」
 魔女はガーデニングの本を取り出した。魔王に贈る花を育てているらしい。
    
 (キシャーと鳴いている噛みつきそうな大きな花が遠くに見える)

 「……まさかアレじゃないよな」
 魔女は魔狼が見ている方を見ると、不思議そうな顔をした。
 種を間違えたようだ。
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