24 / 28
本に罪はありません
しおりを挟む
此処は魔界を統べる恐ろしい魔王様のお城。
魔王は玉座から離れ、城の中を歩いていた。
目を封じられている魔王は、周りの事を何となくの雰囲気で判断している。
はっきりと把握出来ない筈だが、その足取りに迷いは無い。
しばらく歩いたところでドサドサと何かが落ちる音がした。
「ん? 此処は……図書室か」
室内に入るとこつりと靴に本が当たった。
先程の音の正体は床に散らばったこの本たちのようだ。
規則性のある息づかいが聞こえ、そこに居る者に気づいた魔王は声をかける。
「魔女?」
魔王の声が聞こえた魔女は、がばっと身を起こしてまた机に突っ伏した。
完全に寝ている。
どうやら机に積んだ本を読み、寝落ちしたらしい。
(魔女は安心したように眠っている……)
「熱心なのは良いが程々にな」
魔王は苦笑しながらわかる範囲で本を拾って図書室を出た。
魔王が退出した図書室、その机の上に積まれた本は
購入者不明の恋愛指南書だった。
タイトルが魔王に見えなかったのは幸いである。
魔王は玉座から離れ、城の中を歩いていた。
目を封じられている魔王は、周りの事を何となくの雰囲気で判断している。
はっきりと把握出来ない筈だが、その足取りに迷いは無い。
しばらく歩いたところでドサドサと何かが落ちる音がした。
「ん? 此処は……図書室か」
室内に入るとこつりと靴に本が当たった。
先程の音の正体は床に散らばったこの本たちのようだ。
規則性のある息づかいが聞こえ、そこに居る者に気づいた魔王は声をかける。
「魔女?」
魔王の声が聞こえた魔女は、がばっと身を起こしてまた机に突っ伏した。
完全に寝ている。
どうやら机に積んだ本を読み、寝落ちしたらしい。
(魔女は安心したように眠っている……)
「熱心なのは良いが程々にな」
魔王は苦笑しながらわかる範囲で本を拾って図書室を出た。
魔王が退出した図書室、その机の上に積まれた本は
購入者不明の恋愛指南書だった。
タイトルが魔王に見えなかったのは幸いである。
0
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる