異世界からの送り者

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1章-エルファッタの想いは伝わらない-

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「元に戻っ……た」
 エルファッタは目の前から幼いカリアが消えた事を少ししてから受け入れる。
「何言おうとしてたのかしら……?」
 頭を抱えながら、ベッドに座った。
「だとしたらカリアがいないのはおかしいわ」
 そのことに気がつき、窓の外を見ると外が暗かった。そこにカリアがいた。窓を開けて、叫ぶ。
「カリアっ! 何でそこにいるの」
 カリアは声のする方へ顔を向けた。エルファッタが訳が分からないという顔をしていた。
「幼いエルファッタと遊んでいたんだ……エルファッタ、起きたんだね」
 エルファッタはこくりと頷く。夢物語だと思う。でも、本当だ。エルファッタにも大人になったカリアと遊んだ記憶があるし、さっきまで幼いカリアと遊んでいたから夢物語ではない事はわかっていた。
「私も同じよ…………何でこんな事に?」
「分からない。でも、誰かの仕業だ」
 エルファッタたちが出来る話ではない。可能ならカラスかあの謎の双子だろう。この二人なら可能とする魔力もある。

「本当に誰でしょうね」

 エルファッタは闇夜に光る何かを見つめていた。猫だったのだろうか……?


「アルファス、誤解だったのね。ごめんなさい」
 アオイは素直に謝った。
 アルファスとエルファッタが関係を修復して、アオイを置いて仲良くしているものだと思ってしまったのだ。
「なあ、俺とカラス帰ってもいいか?」
 タカノアは空気を読まなかった。こんな面倒臭いことに巻き込まれたカラスを回収しに行こうとアオイと一緒に来ただけなのだが、そこでもまたアオイとアルファスの関係問題が生まれてしまった。
「ああ……良いが」
「ありがとうございます。おい、カラス行くぞ」
 疲れ気味なカラスを連れて、タカノアとカラスは家に帰っていった。
「それにしても、カリアが遅い。様子を見にいって来る」
 心配症気味なロイアスファルが遂に言った。皆が薄々感じていた事を。
「それでは私共が行きましょう。何もしていませんのですから」
 ナーリットとハフイが率先して言う。申し訳ないながらも、真夜中なので眠気が酷い。だから、頼んだ。
「ありがとう」
 簡潔に礼を言った。ナーリットとハフイはそれで満足したのかドアを開けて出て行った。

「それにしても何してるんだろうな」
 ナーリットが言った。ナーリットとハフイは年齢こそ差はあるが、同僚らしい。
「そんなこと言ってはいけないぞ」
 ハフイが叱責する。ナーリットは少しだけしゅんと後悔するがすぐに立ち直った。
 もう廊下は薄暗く怖い。人気のない廊下はさらに怖さを増す。
「こんな所一人で歩いてたのか、カリア様は」
「そうだな」
 ハフイが相槌しか打たなくなった時、エルファッタが休んでいる部屋の前に着いた。

 ドアをコンコンと叩く。




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