異世界からの送り者

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1章-エルファッタの想いは伝わらない-

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 ズーカはテキパキと動いた。エルファッタの洗顔の間に着替えの準備に入り、洗顔が終わると、エルファッタを待たせることなく着替えに入る。着替えでも、他のメイドに指示を出してスムーズにいく。
 もしかしたら、イロハよりもメイド力が高いかもしれない。イロハもエルファッタの準備をスムーズにいけるよう心がけているが、やはりドレスを選んだり持ち出すのは考え込んでしまうので、毎日じゃないが、1ヶ月に一回の頻度でそうなってしまう。
 でも、イロハも今のズーカと同じくらいテキパキ動いている事を覚えていてほしい。

 エルファッタは何も出来ず、ただ着替えが終わるのを待っていた。ボーッとしている間に終わったらしい。気がついたら身だしなみが整えられていた。
「あ、ありがとう」
「私どもに礼は入りません」
「…………」
 そう指摘されたが、謝らない。そうすると、謝罪の価値が下がってしまうからだ。それに貴族たる者が簡単に頭を下げてはいけない。

 そうこうしていると、朝食の時間が近づいてきた。
 朝食の呼び出しを受け、部屋を出る。後ろでズーカが付いてくる。だが、エルファッタはそれを気に留めない。

「遅れてすみません」
「いや、私たちも今来たばかりだ」
 そこには、顔も知らぬ人たちがいた。その人たちはエルファッタに向けて攻撃をしてくる。エルファッタはひらりとかわし、ズーカが対応する。

「誰……ッ!?」
 エルファッタは心底驚いたような顔で言った。その人たちは何も言うことなく、攻撃体制に入る。
 その人はポケットから紙のような物を落とした。エルファッタはすかさず見る。そこには、〈貴族撲滅賊〉と書かれていた。多分、この名前の通り貴族を恨んでいるので撲滅したい。だから、賊を作ったというところだろう。

 エルファッタも参戦する。ズーカが少し、押されてきているからだ。魔法等を嗜んでいるエルファッタはほとんど魔法を使っている。賊が近づいてきたら、護身術を使い避けていた。
(カリアやカラス、お父様達はどこへ行ったのかしら)
 必死に戦っているが、流石に二人だけでは勝てない。そこで箒が目に入った。
 実は、エルファッタは剣術も嗜んでいる。それに、剣術の方が得意なのだ。なので、近くにあった箒を使う。剣のように使うので剣に慣れていない敵は少しやりづらそうだ。

 エルファッタは敵が来るのを確認すると、ひらりと避けると同時に箒の持ち手を足付近に少し出し、敵の足を引っ掛ける。敵が躓いたら、箒を素早く抜いてエルファッタの足を敵の背中に乗せる。浮かべ、と地球で言うギリシャ語を呟き、空中に浮かんだエルファッタは一回転して、体勢を整えて壁を足で押す。敵が唖然としているうちにその敵の上に行き、「ύπνος眠れ」と敵に向けて言う。

 ズーカはエルファッタの戦闘を見ていた。



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