異世界からの送り者

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1章-エルファッタの想いは伝わらない-

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「エルファッタ様、ここは私がやりますか……ら」
 ズーカと呼ばれるエルファッタのメイドは敵の貴族撲滅賊に気づかなかった。なので、気づいた時には敵はもう既にそこにいた。エルファッタが急いでズーカの元に行き、ズーカを敵のいない所に引っ張る。
 ズーカは少しかすりはしたものの重傷にならなかっただけマシだ。
 その後、ズーカを襲おうとした敵は止まれなくて、突っ込んでいった。
「エルファッタ様、お手を煩わせてしまってすみません」
「いいえ、大丈夫。それに、こんな時はありがとうよ」
 そう言ってエルファッタはすぐに戦闘準備に入った。ズーカエルファッタ見習い、戦闘準備に入る。まだ敵は10人いる。その内2人はエルファッタかズーカが攻撃した相手だ。そこらじゅうに寝転がっている人は伸びていた。

「うわあぁぁぁああっ!!」
 素人であろう人がナイフを持って、こっちに向かって走ってきた。エルファッタはズーカ目配せすると、ズーカがすっとかわし、首目掛けて衝撃を与えた。うっと呻き、床に倒れた。

 ズーカが戻ってくると相手は強いと思ったらしく、複数人で一斉に来た。エルファッタとズーカは背中を合わせると、蹴ったり魔法を使ったりして倒していく。
 そうしていくと、いつの間にかどこにも敵はいなくなっていた。そう、どこにも。床に寝転がっていた敵までいなかった。
「どういうこと……?」
「あいつら、素人でしたね。おそらく、時空魔法を使われていたかと。その形跡もありますね……」
 形跡が残っていたらしく、さらに詳しく分析していた。ばちっと分析が弾かれる。
 ズーカはもっともっと分析をしようとするが、何回も弾かれる。ズーカは何回やっても無理だとわかったので、諦める。

「エルファッタ様、とっくに朝食の時間が過ぎてます。ついでにここは朝食室ですね……皆様は気づかなかったんでしょうか?」
「時空魔法が使われていると言ったわよね……それはそもそも時空が違うからだと思うわ」
 ズーカは魔法についての知識は少ないようだ。
 ズーカがお礼を言おうとした時、ドアがガチャッ! と勢いよく開いた。二人は驚く。
「エルファッタ……!? それにズーカも……っ! どこに行ってたの」
 そこにいたのはカリアだった。カリアはエルファッタの近くに来る。ズーカと目を合わせ、報告をと合図を送る。ズーカは畏まり、カリアに頭を下げた。
「申しますと、ここに時空魔法が使われておりました。私とエルファッタ様はそれに巻き込まれてしまいました」
「あ、あとね『貴族撲滅賊』って言う賊に襲われたわ。ズーカで戦ったあとにここに戻ってきたの」
 カリアはズーカに説明しろと言う。ズーカは少しビクッとしたが、そのまま起こったことを説明する。
「……エルファッタ様と私で戦いました。相手は時空魔法を解いて、私達は戻りました」
「違うの、カリア! 私が勝手に戦っただけ。ズーカはちゃんと止めてくれたわ。だから処罰は控えて?」
 エルファッタは貴族が戦闘したり危機に晒すことや、従者が貴族を守らないことの処罰の重さなどは十分理解していた。

 カリアはにっこりして、分かったと言った。


「ズーカは謹慎? で良いね。そうお父様に言っとくから」
 エルファッタはほっとした。でも、そんなエルファッタとは別にズーカは冷や汗をかいていた。




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