勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?

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勇者はマヨラー

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黙ったままのエマに、緊張していると思ったのだろう。
クルトが爽やかな笑みを浮かべて促してくる。

「君の名前を聞いてもいいかな?」

「……エマ、です」

かろうじて名前を答え、また沈黙。
続きを待つ周囲の視線がめっちゃ痛い。

答えたくない、答えたくないけど……黙ったままでいるわけにもいかない。
ぐっと拳を握りしめ、大きく息を吸って、吐いた。

職業ジョブは看板娘で……」

「へ?」

大事な部分を続ける前にいくつもの疑問符が発せられた。

気持ちはよくわかるけど、せっかく覚悟を決めたのだから勢いのまま最後まで言わせてほしかった。勢い大事。
まぁ気持ちはわかるけど(二回目)。

「看板、娘……?」

王様のそばにいる青年、おそらく王子の一人が思わずといった感じで呟き、騎士さまを見た。

エマを拉致ラチった……違った、神殿とお城へ案内した騎士は、その場にひざまずくと王族らに発言の許可を求めてから答える。

「エマ嬢の職業ジョブは『聖女』だった、のですが……神殿にてエアリス神に召喚されたあとに『(世界を救う)看板娘』に…………」

「『(世界を救う)看板娘』……」

向けられる視線からエマはそっと顔をそらした。

謎空間でエマが抗議した結果だった。
もっと正しくいうなら、『聖女』の部分に大きくバッテンがされ、その後ろに『(世界を救う)看板娘』がついている。

端的に言って、なんだこれ案件。

でもムリなものはムリだったのだ。
記憶を思い出す前ならまだしも、前世を思い出したエマは感性がアラサーに寄っていた。実際は14歳の少女でも中身はアラサー。

職業は?って聞かれてキャピッ☆と「聖女です」とか答えられるわけがない。キツイし痛い。

しかも能力がマヨビームとちょびっとの癒ししか使えない『聖女』。
ムリ、こっ恥ずかしくて死ねる。

無理やりつけられた(世界を救う)の部分にエアリスの悪あがきを感じる。

要は、2人の譲れない争いの結果が『(世界を救う)看板娘』。

王族のみなさん含め、広間にいる人々の視線が「コイツ大丈夫か?」的なものへと変わりつつある。

別にエマとしてはNG判定してくれる分には大歓迎。「人違いでした」とお役御免になるのなら望むところ、誰が好き好んで世界を救う旅に出たいというのか。

だが肝心の勇者パーティ2人はエマに蔑んだ瞳を向けるでもない。

「面白い職業ジョブだね」

「え、ええ。……えっと、エアリス神に直接会われたんですね。すごいです」

ふっと笑う爽やか勇者と、ちょっと困惑気味ながらも賛辞を向けてくる魔女っ娘ちゃん。

切実に拒否ってほしい。
2人がいい人だからこそ、足手まといにはなりたくないし……役立たずすぎる能力を告げたくない。

だが、言わねばならぬ!

そしてパーティ追放してください!!

「私の能力は……」

罵倒を覚悟し、体の横で両手をギュっと握りしめた。

「マヨビームですっ!!!」

誰もが大きく目を見開いた。
電撃を受けたように体を震わせたクルトに、両手を口に当てて驚くミレーヌ。
そして疑問符を乱舞させるこの世界のみなさま。

ザッ、と音を立て、気付けばクルトがひざまずいていた。

爽やかな笑みは消え、痛いほどの真剣な眼差しで手を取られる。

それはまるで物語で姫に忠誠を誓う騎士のワンシーンのようで…………。

「女神……」

吐息交じりにクルトの唇が開かれた。
熱い視線がエマへと向けられる。

「女神降臨したんだけど?!えっ?マジ?!出せんの??ねぇ、マヨビーム出せるの!!」

「へ?」

突然のハイテンションに呆けた声が漏れるなか、クルトの勢いは止まらない。

「マヨネーズ!ついにこの世界にもマヨネーズがっっ!!マジ神っ!!ねぇマヨっ、ちょっとでいいからいま出してくんない?お願い、このとーり!!」

両手を合わせて拝んでくる様は、さっきまでの爽やかイケメンどこいった?と聞きたくなる豹変ぶり。

そしてエマはあることを悟った。

ときめきなんてちっともないまま、自らに対してひざまずくクルトを見下ろす。

「もしかしてマヨラー?」

「YES!!」

マヨラー、それはマヨネーズを心から愛する者たち。

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