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ようやく私の気持ちが伝わったっぽい
しおりを挟むひじ掛けを握った王は真っ直ぐにエマを見つめた。
「我が娘の非礼を詫びよう」
頭を下げることこそないものの、明確な謝罪の言葉に周囲がざわめく。
一国の王が謝罪をするというのはそれだけの重みをもつ。
「そなたはクラルスの花に選ばれし者。そなたらに重荷を背をわせていることは重々承知、だが世界のため、この世界に生きる者たちのためにどうか役目を果たしてほしい」
「……かしこまりました」
不満を押し殺し、エマは答える。
行きたくないが……、心底行きたくないし「世界を救うってどーすりゃいいんじゃい!」と叫びたいが……元よりエマに拒否権はない。
それはエアリスとの会話で覚悟もしていた。
この流れに乗って王から「行かないでいいよ」って言質を取れればとワンチャン狙ってもいたけどね……。
やっぱムリかぁ~。チッ……。
それでも、結果は変わらずともいまのやり取りには意味があった。
今回の件は国の、ひいては王からの“お願い”を受けてのものだと明確に示すことができたからだ。
これで周囲はエマを見下せないし、イチャモンつけられても「王命にご不満が?」という強力な反撃のカードをGET!
あといまのやり取りで確実に宰相たちのエマを見る目が変わっていた。
「ところで……マヨビームというのは一体?」
「それは……」と答えかけたところで、ずずいと一歩クルトが進み出た。
「マヨネーズとは人類の偉大なる発明です!すべての食材の可能性を無限に広げる魔性の調味料!!果てない食への探求の末に生み出された、いわば人類の英知の結晶っっ!!!」
「あんたちょっと黙ってて」
拳を握って力説するクルトにツッコミをいれたエマは悪くない。
そんでもって勇者の胸板は無駄に頑丈で、エマの手の方がダメージを喰らった。
痛む手を握りつつ、「黙れ」という意思を込めてクルトを睨む。
「……調味料?……食??」
「はい……。マヨネーズというのは彼が言ったとおり調味料の一種で、マヨビームとはそれをビーム状に出せるということかと。…………あいにくまだ試しておりませんが」
「試そう!!いますぐっっ!!」
黙るどころか全力で食いついてくるクルトとは反対に、あんぐり口を開けて言葉を失うみなさん。
そんな彼らに向かい、疲れを押し殺しつつ額を押さえてエマは言った。
「能力がマヨビーム。そんな調味料チートだけ与えられて、急に「世界を救え」とか言われた私の気持ちがわかります?」
にっこりと、口角をあげて笑みを浮かべる。
目だけが全然笑っていない凄みのある笑顔に、今度こそ広間はシーンと静まり返った。
なお、テンション爆発させている若干一名は除く。
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