勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?

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無事3匹GETした

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次の日、朝早くエマたちは宿を出た。
まだ人がまばらな馬車乗り場にて馬車を待つ。

「わざわざ近場の森に行きたいなんてどうしたんだ?」

「あそこはあまり強い魔物はいないぞ?」

不思議そうに首を捻るクルトたちに「だからこそです」とエマは笑う。
どういうことか聞き返され、それに答えようとしたところで馬車が到着した。

料金を払い、馬車に乗り込む。
目的地は南の方角にある小さな森。

西に向かう道は崖崩れで通れないが、それ以外なら交通は寸断されていない。だが南にある森はレオンの言うようにあまり強い魔物もおらず、いまのエマたちにとってはレベル上げにも適さない。
それでもその森へと向かう理由。

「じゃじゃーん!」

得意満面な笑みを浮かべ、エマは魔法の鞄マジックバックからクッションを取り出した。

昨日作ってもらってばっかりのクッションだ。
ミレーヌも同様に自分の魔法の鞄マジックバックからクッションを取り出す。

各自魔法の鞄マジックバックがあるから入れ違うこともないのだが、お揃いのクッションにはミレーヌが手芸屋さんで買ったアップリケを目印に縫い付けてくれた。

エマが白いうさぎで、ミレーヌが黒ねこ。

緩やかに動き出す馬車の中、早速クッションを置いてお尻をオン。

「おお、ふっかふか!」

「すごく楽です」

思わず感動の声が漏れた。
エマのこだわりと、オジサンの技術の結晶の一品は実に快適だった。

クッション部分はお尻に優しい円座クッション。
さらにはぺたりと垂れている背もたれ部分によって腰への負担も軽減の優れものです!

まるでテレビショッピングのような口上を披露しつつ、クッションの魅力を語れば羨ましそうにクルトが「貸して、貸して」とねだってきた。

ちょっとだけだからね、と彼らにも貸す。

「すっげ!腰も尻も超楽なんだけど!」

「これは……いいな。城の馬車より楽かもしれない」

「衝撃の吸収力が優れてますね」

高評価にエマはドヤ顔だ。

「しかしなぜ円形なんだ?中央の穴もない方が良くないか?」

円座クッションの存在を知らないレオンの素朴な疑問にチッチッと指を振る。

「それは大間違いですレオンさま。この穴こそ画期的なんですから。この中央の穴がお尻への負担を分散させてくれるんですよ。円座クッションには腰痛の他に姿勢の改善効果もありますし」

正しい姿勢で使うことを推奨される円座クッションは普通はただのドーナツ型。
だけど長旅のときは背もたれにもたれかかりたいことだってある。
そこで追加したのが背もたれだ。
接続部分はボタンなので取り外しも可能!

「自分たちのだけなのか?」

口をちょっと尖らせて恨めし気に見てくるクルトにうっと怯む。
レオンとハリソンも非難までいかずとも羨ましそう。

自分たちのだけ作るのはエマだって抵抗があった。

だけど材料がなかったのだ。

「だからエマさんは森に行くことを提案したのですわ」

「森に?関係があるのか?」

「このクッションの中身ね、スライムなの」

「「「スライム?!」」」

「そ、弾力性とかちょうど良さそうだなーって思って。けど今までスライムなんて回収してなかったから2人分しかなかったんだもの」

「スライム……ああ、この前回収してたやつか」

「ですから今日はスライムを倒しに行くのが目的です。エマさんは店のご主人に追加発注をお願いしてましたわ。もちろん、皆さまの分です」

いつもより少しきっぱりとした口調でミレーヌが告げた。

事情を知らずエマを責めた形になったクルトたちへの抗議もあったのかも知れない。
それを感じたのかクルトたちも気まずそうに視線を下げた。

「ごめんな、エマ」

「ううん。私こそ先に自慢して悪かったし」

「でも素晴らしい品だ。私たちの分も頼んでくれてありがとう」

「いえ、それは当然ですし!……ともかく、なにはともあれ狙いはスライムです!3匹GETを目指して頑張りましょう!!」

こうなるとスライムがわらわら出現してた時に回収してなかったのが悔やまれる。
明日出発することを考え、出来れば今日中に3匹遭遇したい。

「倒すのは私かミレーヌちゃんがやりますね」

「素材をムダにできませんものね」

剣でバッサリも、火魔法もダメだ。
エマのフライパン殴打かミレーヌの水魔法が一番無傷で確実だった。

そうして一同は血眼になってスライムを探すのでした。

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