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転生司祭は逃げだしたい 7
しおりを挟む▶『 しさいは、つかまってしまった 』
煌びやかな一室で僕はアーサーとユリアに挟まれていた。
「えっと、狭くないかな?私はあっちの椅子へ……」
「「大丈夫です」」
ちょっと大きめだけど二人掛けだろうソファにサンドイッチされた僕は腰を上げようとして、両側から腕を掴まれた。
▶『 しさいは、にげだした 』
▶『 だが、まわりこまれてしまった 』
はい、逃亡失敗。
まぁ、本当に逃亡できるとは思ってないけどね。
魔族退治と後処理が終わってすぐ王子から呼び出し喰らった。
で、いまココ。
「さて、色々話を伺いたいのだが……」
第一王子が口を開いた時だった。
「ミシェル―!!」
「平気?ケガない?」
吹っ飛んできたなにかに僕は突撃された。
僕のまわりをふよふよと飛び回る“吹っ飛んできたなにか”の正体は妖精だった。
薄く透ける翅と指の長さぐらいしかない小さな体躯。
お人形のような可愛らしい姿で抱き着いてきた三人(?)の花妖精の顔は見覚えがある。
でもなんでここにいるの?
「お前たち、何故ここに居るのです?!」
僕の疑問を立ち上がったシルフィーナが代弁してくれた。
彼女たちはエルフの森に住む花妖精だ。
「あっ、シルフィーナだ!」
「久しぶりー」
「ぶりー!」
自由を愛する妖精たちは行動も言動も割と自由。
彼女たちはエルフの王と契約してる精霊の眷属。
そしてエルフの王とはシルフィーナの父上のアルベルト様なのだが……。
あくまで敬意を払うのは主の契約主のみのようだ。
「どうしてここに居るんだい?」
「ミシェルがいなくなったってきいたのー!」
「でも、みつかったっていってたー!」
「だから、きた!!」
自信満々に答えてくれた妖精たちだが、現状把握の役にはあまりたたなかった。
まぁ、要は心配してきてくれた、ということでいいのだろう。
聞いた、ということはシルフィーナからでいいのだろうか、と視線を向ければ顔を背けた彼女はやや俯きながら髪を耳に掛けた。気まずいことや言いにくいことがあるときの彼女の癖だ。
「…………お父様から、時々報告を入れるように仰せつかってましたの……特に、貴方のことは、と。なので居なくなったのと、あと見つかったことも先程一報をいれましたわ」
「そうですか」
隣の二人がジトッとちょっと不穏な空気を醸し出しだのを手をぽんぽんと叩いて宥める。
別に怒ってない。
シルフィーナを旅のメンバーに加える時に、ちょっと脅し紛いの強引な手を使っちゃったから僕、エルフによく思われてないしね。警戒されてるのは当然。
ぶっちゃけ、最初はシルフィーナも塩対応だったけど今ではわりと良好な関係。
好かれてはいないだろうけど普通に会話してくれるし。
良かった良かった。
主に僕のメンタル的に。
美女に蔑んだ視線で見られるの辛い……。
「無事でよかったー!」「心配したっ!」と口々にいってくれる可愛い妖精たちを指で撫でながらも「まさか内緒できたわけじゃないよね?」と大事なことを聞こうとした時だった。
またしても、突撃訪問。
部屋の一部の空間がぐらりと揺れたかと思うと、次の瞬間には迫力満点の美貌のエルフの王がそこにいらっしゃった。
さらにそれを追うように隣の空間が揺れ、美貌のエルフがもう一人。
年若いその青年はシルフィーナの弟君だ。
若いっていっても僕より数百歳年上だけど……。
「お父様っ?!それにアルトまで!」
「エルフの王っ?!」
シルフィーナと王子が驚いてる。もちろん、僕も。
そして今、
対面には大国の王子と寄り添う美女、斜め後ろに騎士団長。右手側のソファにはウルフとジャンさんとヨハンくん、左手側にはシルフィーナとアルベルト様とアルト。そして両隣にはアーサーとユリア。
あまりにも逃亡が絶望的な布陣に囲まれ、僕は痛み始めた胃を押さえた。
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