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【その後】
転生司祭は転職したい 5
しおりを挟む「でも貴方があんな闘い方をするのは初めて見ましたわ」
お茶を飲みつつ、改めて驚いたような瞳を向けてきたのはシルフィーナ。
「魔術を封じられてましたしね。あんな闘い方、人間相手じゃなければ通用しませんし」
やたらと頑丈な魔族相手に並みの打撃なんて効かない。
アーサーやウルフがパンチやキックでもダメージを与えられるのは彼らがチートだからだ。よって、僕は魔族戦では魔術オンリーだったし、普段人間と喧嘩するタイプじゃないしね。
「俺の師匠は司祭さ……ミ……ミシェル様だからな!!」
「私の師匠だって、し……ミッシェル様なんだから!!」
胸を張りつつちょっと頬を染めて僕の名前を呼ぶアーサーとユリア。
あとユリア、僕の名前ミシェルね。
名前呼ぶとき力込めすぎてミッシェルになってたから。
呼んだあとも視線を逸らしたりもじもじしたりと、付き合いたてで初めて恋人の名前を呼ぶ中学生か!
君ら一応恋人同士の癖に互いにそんな反応してんのみたことないぞ。おい。
そんなツッコミは綺麗に隠し、驚きをあらわにするみんなに説明する。
「王都と違って辺境の村に騎士様なんていませんから。偶に村に訪れる騎士様や冒険者の方に色々と教えを請うたり、知っている魔術や独学で学んだ拙い知識を教えたにすぎません。なんの知識もなく旅立つより少しはマシだろうっていう基礎を教えた程度ですよ」
流石にゲームみたいに剣も魔法の心得もない状態の子供を魔王討伐の旅に送り出すなんて鬼畜仕様は耐えらんなかったんだ。
ちなみに、僕が必死こいて習得した知識や技術はアーサーやユリアに一週間でモノにされた。
……レベルが違い過ぎて僻む気すらおきない天才っぷりだ。
なので「師匠」とか恥ずかしいにも程があるマジやめてほしい。
僕がぷぷっ!( ̄m ̄〃)ってされるから。
地味に切実な願いを抱いていると、はぁーと息を吐き出したジャンさんが僕を見た。
えっ?笑うのじゃなく呆れられた系?
「二人が懐くわけだ」
感慨深げなその言葉にキョトンとする。
「旅に出るずっと前からミシェルは二人を支えてきたんだな」
「え?普通じゃないですか?むしろ責任を押し付けた側ですし」
「……貴方ってお人よしよね」
「だな」
「ミシェル様は善良で敬虔な方ですから」
むぅ。悪人のつもりはないが別段善人のつもりもないんだけど……。
「それはそうと、司祭やめてどうすんの?さっきの話だとすぐ村に戻るつもりもなさそうな感じだったけど」
「色々と状況も変わったのでどうしようかなと」
そういってチラリと視線を向けたのは両隣。
あーと声をあげたジャンさんが「捕まっちゃったもんね」と笑う。
逃がさないとばかりに祭服の裾を握ってはくぅ~ん。にゃぁ~ん。と幻聴の鳴き声を響かせて捨てないで攻撃してくるわんことにゃんこ。あざとい。
「ミシェル様。ミシェル様は自分達の望む道を自分達で選ぶべきだって言ったけど、わたしはわたしの意思でミシェル様と一緒にいたいです。ずっと一緒にいたいです」
「俺もです。そもそも、勇者や魔王討伐なんて関係なくて、俺はミシェル様の役に立ちたくて、側に居たくて旅に出たし、ユリアだってそうです。そして俺たちの望みはこれからも同じです」
「ユリア、アーサー」
一心に慕ってくれる二人に熱いものが込み上げる。
ただ……熱い感動とともに、心のどこかでちょっと重いと思ってしまう自分がいることも否めない。
や、気持ちは嬉しいんだよ?
僕だって二人は家族のように大切だし、大好きだ。
だけどこの子らの言葉が事実なら、世界を救ったのは僕の為で。
僕の為にいつか世界を滅ぼしさえしそうなことがこわい。だって出来そう。
「まぁ、とりあえずだ。世界平和のためにもミシェルには保護者のままでいてもらうとして。元々の予定ではどうするつもりだったんだ?」
全員一致で僕が保護者のままでいることが可決された……。
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