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生地次第でアレンジ無限大のシュシュ
しおりを挟む「クラレンス様の発想は素晴らしく!いつも感嘆させられております。それはもう、是非我が商会にスカウトしたいぐらいに!!」
「そうじゃろう、そうじゃろう」
「もはや才能の宝庫といっても過言ではありません。今後も是非っ、末永いお付き合いを望んでおりまして……」
「恥ずかしいんでいい加減やめてください」
熱く語るエリックに、孫を褒められてまんざらでもないじいちゃんがうんうん頷き、いつの間にか仲良さそうに語る2人にクラレンスは懇願した。
すっごい恥ずかしいから本当にやめて欲しい。
周囲のお客さんが「なんだ?なんだ?」って見てくるのがめちゃくちゃ恥ずかしいのです。
「そうでした。それでクラレンス様、先ほどの“シュシュ”とは一体……?」
我に返ったエリックがずずいと身を乗り出してきた。
それにクラレンスはちょっと嫌な顔をする。
別に説明するのはいい。
説明したらきっとその流れでエリックは“シュシュ”を作ってくれるだろうし、クラレンスはそれを手に入れることができる。
問題は……まだ贈り物を選び終わっていないこと。
エリックのことだ。
商品の話となればきっと話が長くなる。絶対。
そんなクラレンスの不満をばっちり読み取ったセバスがすすっと前に出た。
「失礼いたします。本日クラレンス様はご友人方への贈り物を物色中でして、まだ商品を選び終わっておりません。お話は後ほどでも大丈夫でしょうか?」
本当はいますぐにでも話を聞きたいエリックだが、お客さまの買い物を邪魔するわけにはいかない。
「わかりました。では後ほど。後ほど話を聞かせて下さいね!」
それでも懇願することは忘れませんが。
「お買い物が終わりましたら店員にお声がけください。お茶とお菓子をご用意しましょう。流行りの店のバームクーヘンがございます。外側がカリッとして中がしっとりした食感が人気の一品です。贈り物でしたらお茶とお話をしている間にラッピングもご用意いたします」
ついでにさらっと誘惑もするところはさすがは一流の商人です。
見事にクラレンスは釣られました。
お買い物をすませ、バームクーヘンにわくわくしつついつものお部屋へと案内される。
部屋に通されてすぐ、にっこにこのエリックもすぐお部屋に。
お茶が運ばれてくるよりも早い到着だ。
きっと従業員さんから連絡がはいってすぐに来たのだろう。
「本日はウィステリア商会をご利用いただき誠に有り難うございます。それで、早速“シュシュ”とやらの話をお伺いしても?」
挨拶もそこそこに本題突入。
相変わらず商魂たくましいお兄さんだなーとクラレンスはもはや慣れたものだ。
運ばれてきたお茶とお菓子をいただきながら、ざっと説明をする。
「ヘアアクセサリーの一種で、薄い布にゴムを通して縮ませたのを輪っかにしたものです。この前、マーガレットさんたちの工房紹介してくれたじゃないですか?華やかな生地がいっぱいあったな~って思って思い出したんですよね」
用意された紙とペンでこんな感じとざっと作り方を書く。
布を使った基本のシュシュは作り方も簡単だ。
「ビジューヘアゴムと同じく髪紐よりも楽に髪を結べるし、楽チンでオシャレです。光沢のあるいい生地やレースを使えば華やかに仕上がるし、逆に落ち着いた色味でシンプルにも生地で全然表情も変わります。ビーズや飾りを縫い付けてもいいかも」
「商品化しましょう!!」
身を乗り出したエリックにぎゅっと両手を握られた。
「まずは試作を!」「誰か裁縫の得意な者を!」控えていたお兄さんたちに次々指示が飛ぶのも、商品の展望が広がるのも、全部いつものことなのです。
慌ただしくなった部屋の中、クラレンスはバームクーヘンを堪能するのでした。
ちなみに、話し合い中ずっとおかわりしていたじいちゃんは、やることなくて最終的に寝た。
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