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二十三
しおりを挟むカタカタと震えながら神子は俯く。
ファウスティーナが断罪されたあの日、
忌々しいあの女が晒し者になるのを愉悦を持って眺めてた。
そして、今。
あの日の彼女と同じ状況にいる。
俯きながら、それでも視界の端に入った一人の侍女を射殺さんばかりに睨みつける。
主を裏切るなんて……なんて役立たずで汚らわしい女。
あんな裏切り者さえ雇わなければ…っ、
そんな怨嗟と後悔を抱きながら先日グラスを投げつけて怪我をさせた侍女を心の中で罵り続ける。
怯え、絶望に呑まれながらも、
それでも神子の心の中には反省の気持ちなど欠片もなかった。
そもそも、ファウスティーナと同じ状況というのが間違えだ。
嫉妬と腹いせから正妃が下らない言いがかりをつけたのを切っ掛けに、彼女を疎ましく思っていた者、小言(正論)に辟易としていた者、様々な者達の悪意が雪だるま式に積み重なって結果、冤罪で断罪されたファウスティーナと違い神子がファウスティーナをはじめ様々な者達から魔力を奪っていたのは紛れもない事実。
ファウスティーナが去ってからは彼女の膨大な魔力で維持していた結界その他を維持出来なくて国を衰退させたばかりか、他の貴族たちから魔力を奪い続け、中にはそのせいで瀕死に追いやられた令嬢すら数多くいる。
衰弱し、老い衰える謎の病だと恐れられていたそれらの全てが無理矢理に魔力を搾取されていた所為だと判明したのだから、少なくとも令嬢の家族らの神子へ向ける憎悪は然るべきものだ。
「陛下っ、どうかお待ちくださいっ!!どうか、私の話をっ!」
罪状を読み上げる皇帝の声が途切れた瞬間を狙って神子は声をあげた。
「黙れっ、勝手に口を開くな!」
首筋に突き付けらた冷たい刃に大きく瞳を見開く。
「…騎士団長」呆然と、利き腕ではない方の腕で剣を持ち自分へその切っ先を突きつける相手を見つめる。
「追って沙汰を下す。牢に引っ立てろ!」
「待ってくださいっ!!」
無情な皇帝の言葉に数人の騎士達が神子を乱雑に掴む。
手足を振り回しながら「違いますっ!」「全ては国の為にっ…」そう声をあげる神子は引きずられるように牢獄へと連行された。
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