「≪最悪の迷宮≫? いいえ、≪至高の楽園≫です!!」~元皇女は引き籠り生活を満喫しつつ、無自覚ざまぁもしていたようです。~

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二十九

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そこにいたのは……。


えっ、誰??!
パチパチと眼を瞬かせて武器を持って突入してきた団体と、その先頭にたつ人物を見つめる。

イケメンだ。
精悍な顔つきをしたイケメン青年。
そしてそんなイケメン君によりそう美少女ちゃん。うん、お似合いだね。

「ファウスティーナ様」

瞳が合った瞬間、イケメン君がふっと表情を緩ませ微笑んだ。

うむ、破壊力高い…。
これが本当のイケメン…と“顔だけは”いいクズ共を見やってから一人頷いた。

どこか残念さが滲み出るクズ共と違い、内面から溢れるオーラみたいなものにイケメンの格の違いを見た。

っていうか、あれれ?
なんか見覚えある気が……。

そう思いつつじっと見ると、イケメン君の周囲にいる人物たちが目に付いた。

あれは……元私の護衛とか身の回りの………ってことは、と再び視線をイケメン君に戻す。
見覚えのある髪色と瞳の色。よくよく見れば面影があるその人は…。


「…セドリック…?」


異母弟の名を呼べば、どうやらビンゴらしい。

マジか。直視が厳しい程の超絶イケメン青年に育ってるんだけど。いや、めっちゃ可愛い美少年だったけどさ、そっかーあれから10年経ってるんだもんね。
記憶の中の幼い弟は立派なイケメン君に育ってました。

「よくぞご無事で、ファウスティーナ様っ!」

心底安堵を含ませた真摯な声音に思わず頬が緩む。

「お姉様っ!!」

うん??
それで同じくこちらを案じてくれてたっぽい隣の美少女ちゃんは誰かな??

私、クズ兄貴と可愛い異母弟は居ても妹は居ないんだけど??

謎の美少女ちゃんの正体に首を傾げている間に事態は何時の間にか緊迫してた。


「これ以上ファウスティーナ様を利用はさせない!!
国を衰退させ、民たちを苦しめた罪、その身をもってとくとあがなえっ!!」

良く通るセドリックの良い声と共に剣を持った騎士たちが玉座へと進む。


「動くなっ!!」

言葉と共に首筋に突き付けられた剣。

ビクリと身を揺らしたのは、その切っ先に怯んだからではなく耳元で大きな声をあげられた所為だ。

剣を突きつけているのは騎士団長。
突き付けられているのはファウスティーナ

騎士団長の他にも幾人かの皇帝側だろう騎士たちが剣を抜いてはファウスティーナへと向けて構えている。


「これ以上こっちに来るな。全員退かせろ、さもなくば……」

「いいわよ、セドリック。私に構わないで」

皇帝の言葉を遮り、ファウスティーナは淡々と告げた。

それでもセドリックは動けない。
彼につく騎士達も同様に足を止めたまま。

「貴方は貴方の役目を果たしなさい。私は大丈夫」

「止めなさいっ!!本当に殺すわよ?!」

「そうです。言っておきますがファウスティーナ様は今は魔力も封じられて魔術を扱うことは出来ませんよ?」

宰相が言葉と共に指さしたのはファウスティーナの手首の腕輪。

玉座の間に入るときに着けられたそれ、腕輪は魔力を一時的に封じるものだ。

因みに高位の者との謁見の際にはよく用いられるので珍しいことじゃない。
もちろん、武器だって持ち込み禁止。

セドリックの瞳が苦悩と焦燥に揺れる。

隣の美少女ちゃんも瞳を潤ませ胸元で両手を組んでこちらを見つめる。
だから誰?


「……っ」

そしてセドリックが掲げた剣を降ろそうとして…、


ファウスティーナは溜息を吐いて身を翻した。




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