ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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そしてプロローグへ 2

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 跡継ぎ問題も一先ずは解決。

 いずれはヒロインたちが恋愛ストーリーを繰り広げる舞台となるだろう学園を卒業した俺は本格的に公爵代理業を務め始めた。

 そうはいっても仕事はほぼ体得済み。

 表向きには突然な父さんの死だが、ストーリーを知っていた俺としては予期されたことだったから幼い頃からそっち方面にも手を出していた。
 なので仕事はさほど問題なし。忙しいのは忙しいけど。

 出来るならば両親の死を覆したい想いはあったものの、事故や暗殺の類でもないからそれを阻止することは叶わなかった。

 怒涛どとうの仕事を熟しながら、日々子育て。

 苦でもなんでもない。むしろ本望。

 可愛がり、構い倒していた結果、弟も妹も俺に非常に懐いてくれた。

 弟は「兄上、兄上」と、妹は「お兄様、お兄様」とひよこのごとく俺の後をついて回る。
 我が家の天使が可愛すぎる!日々胸のときめきと闘う毎日だ。

 余談だが、義母の俺への当りが大分マイルドになった。

 きっとガーネストに爵位を譲る発言が効いたのだろう。
 俺を敵のように見据えて嫌味を放つことが少なくなり、だけど完全に警戒を解かれたわけでもなくどう接してよいかわからない模様。


 そうして時日は過ぎ______

 ガーネストは今年13歳。ベアトリクスは今年12歳。

 俺は大掃除を始めた。

 大掃除。その対象は、俺の親族である。
 当時からうざったらしかった一部の親族。
 鬱陶うっとうしいと思いつつも実害が無ければさほど俺は気にしなかった。
 だが、調子こいた奴らは最近ガーネストにまでちょっかいを掛け始めた。

 俺、おこである。

 奴らは俺の逆鱗に触れた。
 ブラコンかつシスコンな俺は大事な弟妹に手を出す奴に対する慈悲など持ち合わせてはいない。


 丁度ベアトリクスも今年で12歳。

 『亡国のレガリアと王国の秘宝』の乙女ゲームの舞台となる学園への入学の年だ。
 正確には学園は12歳から14歳の学部と15歳から17歳の学部の二部構成で、ゲームの舞台となるのはヒロインが入学してくる高等部だが。

 つまりゲームのスタートはおよそ三年後。

 だが実際ベアトリクスが入学するのは今年であり、必然的に攻略対象者たちとの関わりも生まれる。

 その前に、邪魔な不安要素は潰しておこう!!

 というわけで大掃除の決行である。

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