25 / 180
蒼麗のサファイアと無垢なるエメラルド 2
しおりを挟む来年になるともう一人、新たに攻略対象者が入学してくる。
四人目の攻略対象者はメラルド。
伯爵家の三男で天真爛漫なワンコ系キャラ。異能は『斬撃無効』。
優秀な兄二人を持つ末っ子という立ち位置もあり、自由奔放に育ったメラルドは素直で人懐っこい性格。
騎士を目指しており若干脳筋。
その剣技は眼を見張るものがあるが、小柄な体格でそのことに思い悩んでいる。
ピョンピョン跳ねた蜂蜜色の髪に煌めくエメラルドの瞳。
小柄な体格と弟キャラも相まってまさしく仔犬みたいな可愛い系。
その剣技によってヒロインを守る騎士としての姿はカッコカワイイ!と推しキャラとして以外にも幅広くお姉さんたちにマスコット的人気を博した。
でもコイツ、デカくなんだよな。
ヒロイン卒業間際に驚異の急成長を果たし、誰よりもデカくなる。
男前に育ったメラルドに「恰好いい!!」との歓声と「私の仔犬ちゃんが…」との嘆きが見事に二つに割れた。
因みに俺はいずれ全攻略対象者たちに身長を抜かれますがね……。
今は年齢差もあって見下ろす視線だけどいずれ可愛い弟たちに見下ろされるんだと思うとちょっと切ない。
だけど完成形を知ってる俺にとってはもはや決定事項だ。
………切ない。
あ、勿論ベアトリクスは俺の身長を越さないよ!!
別に俺が背が低いわけじゃないからな!!!
俺は平均身長ジャストだから!!!
そこんとこ、勘違いしないように!!!
誰に言ってるのかわからない言い訳を告げたところで。
そんな脱仔犬を果たすメラルドは。
ワンコ。めっちゃワンコ。
いやさ、何か知らんけどいきなり突撃されたわけですよ。
俺は自慢じゃないけど文武両道で見掛けに反して割と強い。
鬼強い師匠の鬼キツイ鍛錬の賜物もあり、俺の剣の腕は並みの騎士を優に凌ぐ。
そんな噂を耳にしたワンコが突撃してきたわけですよ。
「オレと手合わせして下さい!!」
名乗りもせずに突撃、まさに突撃してきた見知らぬ子供。
いや、ゲームで知ってはいたけど。
吃驚したわ。
キラキラと輝く瞳に頭とお尻に耳と尻尾が見えた気がした。
脳筋。
正に脳筋ワンコの名に偽りなし!って感じの子だった。
ちょっとだけ相手をしてやったら剣の腕は流石だった。
あと懐かれました。
はちきれんばかりに尻尾ぶんぶん振って
「また手合わせして下さい!!」
って去って行った。まさに嵐。
そんなわけで、現在の学園で関わることになるのは全部で四人。
ガーネストとダイアはベアトリクスとの仲は好調だし。
ガーネストのことなんて名前呼びなんだぜ?羨ましい!
いや、お兄様呼びも捨てがたいけど。
一つ違いの兄のことは気恥ずかしいのか「ガーネスト」と呼び捨てで、だけど落ち込んでたり弱ってる時だけ「お兄様」って呼ぶの!!可愛すぎかっ!!
ダイアとの仲なんてお兄ちゃんの心が折れそうな程ラブラブだし。
まだ手を出すのは許さんからな!!手を握るとこまでしか許さんぞ!!
今年から関わりになるだろうサフィアはいい子だしきっと上手くやれると思う。
むしろ家柄的にも性格的にも仲良くなりそうな気すらする。
来年入学するメラルドもワンコだからベアトリクスとっていうか誰かと敵対するとも思えんし。
三年間の学園生活は問題なさそうな気がする。
そうして、残る問題は_______。
応援ありがとうございます!
33
お気に入りに追加
192
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる