ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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№1はアイリーンさんに決定です 1

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「諦めろ」

 ポン、と肩を叩かれてティハルトに諦観ていかんの念で告げられた俺は、アイリーンの部屋へ連れられるベアトリクスを成す術なく見送った。

 まぁ、本気で妙な展開になると思ってるわけではないのだが。

 微妙にる瀬無い気持ちを抱えたまま、仕方ないのでティハルトと小難しい話を。
 そしてアレクサンドラたちを見送って合流したガーネストたちを交えて再び先程の話をした。

 対策を打っていないわけではない。
 バカな連中が出てくることは当初から予想済だし怪しい連中の洗い出しだって随分前から手をつけている。だけど表に出ていない野心を隠したバカだっていくらでも居るわけで。
 ましてや計画性のないバカが一番怖い。

 慎重にことを進められるのも問題だが、突発的にバカを起こされると前兆すらないからな。
 何せヒロインたちは可愛いし、野心抜きにしても彼女たちに手を出そうとする男達だって考えられる。

 正直、巻き込みたくはないのだが。
 学園という大人があまり介入出来ない空間となるとガーネストたちの手を借りるのが一番だ。

「巻き込むのは気は引けるけど、サフィア様にも事情を話してそれとなく様子を見て貰った方がいいかな」

「そうですね。僕らも気をつけますが学年が違うと限界がありますし」

 何せクラスメイトだしね。
 そして何より信頼出来る、普段の行いの賜物ですね。

「折を見てお願いしよう。あと本人たちにも自衛を促した方がいいね」

「兄上、サロンを予約しましょうか?人目のある場所で話をする訳にも行きませんし」

「ああ、有難う」

 出来る弟を持ってお兄ちゃんは倖せです。


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