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小さな無意味の復讐鬼
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ネロを寝かせてから暫くして、僕は彼の隣でボンヤリと考える。
彼が僕に挑みに来るのは自身が強くなるためであり、その先に目指すのは親を殺した者への復讐のためである。
だけど悪魔に憑かれた僕はそれに何の意味もない事を知っている。
なぜならネロが復讐する相手は、ほぼ確実に魂を喰われているのだから。
彼が生まれ育ったのは五年前に滅んだ軍事国家『ケート』。
国土こそ小さいものの練度の高い兵が多く、周辺諸国と戦争を繰り返し続けていたので滅んだこと自体はとても自然な事なのだろう。
ただ、そんなケートをたった一夜で攻め落としたのは、これまたたった一人の男であったという。
それは黒い服を来た白髪の男であり、フラフラとした足取りでありながら化物のような強さで屈強な軍隊を蹂躙したのだという。
その途中、彼が邪魔と思えば兵士、民間人問わず殺し尽くしたらしいけど、軍事国家の民間人の命なんてのは他の国からすれば些細なものであり、彼は英雄扱いされるはずであった。
しかし、そんなケートを滅ぼした男はいつの間にか消えていたのだという。
ネロが探しているのはこの男なのだろうけど、きっと彼は死んでいる。
そのフラフラとした足取りは悪魔との契約で魂が摩耗した結果であり、それでも軍事国家を壊滅させる化物であったからには上級の中でもトップクラスの悪魔であろうと、フルブズは当たりをつけている。
そしてこれは僕の予想だけど、そんな男の願いは『ケートを滅ぼす』事だろう。
きっとその男はケートとの戦いで大切な誰かを失い、その復讐として国を滅ぼす力を自らの魂と引き換えにしても望んだのだろう。
そしてこれが当たっていれば、契約を履行した男の悪魔は無事に魂を喰っているはず。
だからネロの復讐すべき相手はあの世にすら居ないのだとわかっているけど、でも僕はそれを話す事を良しとするつもりはない。
「僕は君を救うより、自分の身を守りたいからね」
そう、これを話すにはきっと僕が悪魔に憑かれている事を話す必要があるだろう。
そうなれば優しい村の誰もがまるで親の敵であるように睨みつけてくるだろう。
悪魔というものはそれだけ世間から嫌われており、僕はそんな目に合う事と彼を復讐の道から救い出す事を天秤にかければ迷わず自分を選ぶ。
正直産まれてからずっと悪魔の囁きに屈することないよう心を強く保ち、誰にも話す事もしないのはとても辛いことであった。
だがそれを村の外から来た彼のためだけに無駄にするのは、どう考えてもそれに見合った見返りを得る事が出来ないのだから仕方がない。
「ほんと、僕は卑怯者だよね……」
こんな時こそうるさいフルブズの言葉を聞きたいのに、それを見越してか黙り込んで一切動く気配すら無かった。
ネロが起きたら今度は正々堂々と勝負をしてあげよう。
僕は卑怯者でやる事は間違っているけれど、自分の幸せを手放してまで人を救うような聖人君子ではないのだから仕方がない。
それでも神ぐらいには祈っておこう、ネロが復讐の道から外れて幸せになれますように、と。
彼が僕に挑みに来るのは自身が強くなるためであり、その先に目指すのは親を殺した者への復讐のためである。
だけど悪魔に憑かれた僕はそれに何の意味もない事を知っている。
なぜならネロが復讐する相手は、ほぼ確実に魂を喰われているのだから。
彼が生まれ育ったのは五年前に滅んだ軍事国家『ケート』。
国土こそ小さいものの練度の高い兵が多く、周辺諸国と戦争を繰り返し続けていたので滅んだこと自体はとても自然な事なのだろう。
ただ、そんなケートをたった一夜で攻め落としたのは、これまたたった一人の男であったという。
それは黒い服を来た白髪の男であり、フラフラとした足取りでありながら化物のような強さで屈強な軍隊を蹂躙したのだという。
その途中、彼が邪魔と思えば兵士、民間人問わず殺し尽くしたらしいけど、軍事国家の民間人の命なんてのは他の国からすれば些細なものであり、彼は英雄扱いされるはずであった。
しかし、そんなケートを滅ぼした男はいつの間にか消えていたのだという。
ネロが探しているのはこの男なのだろうけど、きっと彼は死んでいる。
そのフラフラとした足取りは悪魔との契約で魂が摩耗した結果であり、それでも軍事国家を壊滅させる化物であったからには上級の中でもトップクラスの悪魔であろうと、フルブズは当たりをつけている。
そしてこれは僕の予想だけど、そんな男の願いは『ケートを滅ぼす』事だろう。
きっとその男はケートとの戦いで大切な誰かを失い、その復讐として国を滅ぼす力を自らの魂と引き換えにしても望んだのだろう。
そしてこれが当たっていれば、契約を履行した男の悪魔は無事に魂を喰っているはず。
だからネロの復讐すべき相手はあの世にすら居ないのだとわかっているけど、でも僕はそれを話す事を良しとするつもりはない。
「僕は君を救うより、自分の身を守りたいからね」
そう、これを話すにはきっと僕が悪魔に憑かれている事を話す必要があるだろう。
そうなれば優しい村の誰もがまるで親の敵であるように睨みつけてくるだろう。
悪魔というものはそれだけ世間から嫌われており、僕はそんな目に合う事と彼を復讐の道から救い出す事を天秤にかければ迷わず自分を選ぶ。
正直産まれてからずっと悪魔の囁きに屈することないよう心を強く保ち、誰にも話す事もしないのはとても辛いことであった。
だがそれを村の外から来た彼のためだけに無駄にするのは、どう考えてもそれに見合った見返りを得る事が出来ないのだから仕方がない。
「ほんと、僕は卑怯者だよね……」
こんな時こそうるさいフルブズの言葉を聞きたいのに、それを見越してか黙り込んで一切動く気配すら無かった。
ネロが起きたら今度は正々堂々と勝負をしてあげよう。
僕は卑怯者でやる事は間違っているけれど、自分の幸せを手放してまで人を救うような聖人君子ではないのだから仕方がない。
それでも神ぐらいには祈っておこう、ネロが復讐の道から外れて幸せになれますように、と。
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