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第2話:銀河への招待状
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床が消えた。 それは唐突で、静謐な破滅だった。
郵便局の床を覆っていた、使い古されたペルシャ絨毯の赤色が、端から順に黒い粒子となって解けていく。足元を支えていた重力という名の古い鎖が弾け飛んだ瞬間、私は悲鳴を上げることさえ許されず、無限の虚空へと真っ逆さまに突き落とされた。
「あ、ぁ……っ!」
視界が激しく反転する。 三秒前まで私を囲んでいた「現実」の輪郭――古びた木製のカウンター、局長の銀時計、壁を埋め尽くす宛先不明の封筒――が、遥か上方で米粒のように小さくなり、やがて絶対零度の暗黒に飲み込まれて消えた。
私は今、宇宙を落ちている。 耳を打つのは、暴風のような真空の咆哮だ。いや、音など存在するはずのない空間で、私の脳髄が恐怖を音として翻訳しているのだろうか。視界を埋め尽くすのは、網膜を焼き切らんばかりの超新星の残光と、幾千もの星々が描く、冷徹な光の糸。
「紬さん。呼吸を止めないで。そして、そのペンを絶対に離してはいけない。それは今、この広大な無の中で、あなたの魂を現世に繋ぎ止める唯一の錨(いかり)なのですから」
局長の声が、鼓膜ではなく、脳の最も深い場所に直接響いた。 驚いて顔を上げると、燕尾服の裾を優雅にひるがえした局長が、重力など初めから存在しないかのような優雅な足取りで、私の傍らに降り立っていた。彼は星の海を、あたかも銀座の歩道でも歩くように平然と踏みしめている。
その局長の背後。 崩落した郵便局の断崖の上に、執行官・九条が立っていた。 彼の身に纏う漆黒の法衣が、宇宙の暗黒を吸い込んで巨大な翼のように広がる。九条が手に持つ懐中時計が、断頭台の刃を落とすカウントダウンのように、不吉な赤い脈動を始めた。
「……逃がさん。記憶の秩序を乱す異物は、宇宙の塵として処理するのが理(ことわり)だ」
九条が指を鳴らした瞬間、虚空から何千もの「黒いペン先」が実体化し、追跡ミサイルのような鋭い軌道を描いて私を襲った。それは物理的な凶器ではない。人の意識を強制的に切断し、忘却の彼方へ突き落とす「処刑の文字」だ。
死の予感が全身の毛髪を逆立てる。心臓が早鐘を打ち、肺が凍りつく。 「紬さん、二文字目を。あなたの『熱』を、記憶という名のガソリンを、インクに変えて叫びなさい!」
局長の鋭い声に弾かれ、私は宙を舞う万年筆――ロイヤルブルーの胴体に、自らの魂の一部を託すように手を伸ばした。千切れるような思いでそれを掴み取った瞬間、私の心臓の奥底で、何かが激しく、そして美しく弾けた。
引き出されたのは、あまりにも鮮烈で、あまりにも愛おしい「熱」の記憶だった。
三年前の雪の朝。 航と歩いた、恵比寿の並木道。私の指先は寒さで感覚を失い、紫色に凍えていた。 「紬の手はいつも冷たいね」 航はそう言って笑い、私の右手を、自分のダッフルコートの大きなポケットの中に引き入れた。 ポケットの中で重なり合う、彼と私の手。 伝わってくる彼の皮膚の熱。脈打つ鼓動。指の節々の固さ。 それは、世界で一番温かくて、世界で一番安全な場所だった。 「一生、こうして温めてあげるよ」 そう囁いた彼の声が、雪の静寂に溶けていった。
その至福の記憶が、猛烈な圧力で私の中から引き剥がされていく。 「やめて! それだけは、消さないで!」 私は叫んだ。けれど、万年筆は容赦なく私の「温もり」を吸い取っていく。指先から急速に感覚が失われ、代わりに絶対零度の冷気が血管を逆流し、心臓を凍らせていく。
航の熱を、彼の指の感触を失うことへの絶望。 私はその痛みをエネルギーに変え、万年筆を虚空という名の原稿用紙に叩きつけた。
『祝』
文字が空中に刻まれた瞬間、私の中から「航の熱」という名の記憶が、最後の一片まで消失した。 彼の手がどれほど大きかったか。ポケットの中の温もりがどんな色をしていたか。 思い出そうとしても、そこには死人のような、冷たく乾いた静寂が居座るだけだった。
しかし、その残酷な代償は、宇宙を塗り替えるほどの「奇跡」として現れた。 書き上げられた『祝』の一文字から、黄金の衝撃波が円状に広がり、九条が放った黒いペン先をすべて白銀の星屑へと変えてしまったのだ。 それは、失った愛の重さに比例するほどの、暴力的で神聖な防壁だった。
「……なっ。理を、因果律を上書きしたというのか。たった二文字で、この領域の法を書き換えるなど……!」
九条の驚愕の声を背に、私の体はさらに加速して、深淵の底へと沈んでいく。 色彩が剥げ落ち、音さえも光に還元された真空の世界。 その暗黒の向こう側、カシオペア座の「W」の形をした五連星が、巨大な審判の門のように立ちはだかっていた。
その門の、光の縁に――。 一人の影が立っていた。
「……航?」
光を透かしたような、淡い青の輪郭。 事故の瞬間のままの、少しボサボサの髪。彼だ。間違いなく、私の航だ。 彼は何かを必死に叫んでいる。唇が動き、瞳からは光の粒のような涙が溢れている。 けれど、その声は数万光年の距離と、銀河の重力に押し潰され、私には届かない。 彼は、自らの右掌をこちらに向けた。 そこには、皮膚に直接刻まれたような、幾何学的な数式が青く発光していた。 それは、死の間際に彼がこの宇宙のバグを突いて残そうとした、血を吐くような「祈り」の座標。
『紬、伏線を……。僕たちの物語を、未完のまま絶望で終わらせないで。この計算式の中に、君を救う答えがあるんだ』
唇の動きが、音を介さずに私の魂を揺さぶる。 同時に、私の右手の薬指。ペアリングがはまっていた場所の皮膚が、どす黒いインクで染まり始めた。代償は肉体さえも侵食し始めている。 「……わかったわ。たとえ私の心臓が、最後の一滴までインクになって枯れ果てても。私が私でなくなっても……私はあなたを、私たちの愛を、完成させてみせる」
局長が私の手を優しく取り、カシオペアの門の向こう側、燃え盛る星雲の渦を指差した。
「紬さん。次に向かうのは、彼が遺した『最初の嘘』の場所です。そこには、あなたが今まで信じていた『航さん』とは別の、彼が独りで抱えていた孤独な真実が眠っています。……覚悟はいいですか?」
私は、感覚を失い、死人のように白くなった指で万年筆を握り直した。 昨日までの悲しみは、明日への伏線。 そうつぶやいた私の声は、銀河の嵐にかき消されたけれど、心には消えない炎が灯っていた。
私たちは、光の渦へと飲み込まれていった。 現実世界の病院のベッドで、心電図の音だけが響く私の体から、また一つ、大切な「初めてのキス」の記憶が、音もなく消滅していくのも知らずに。
(第3話へ続く)
【第2話 あとがき】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 万年筆が吸い上げたのは、指先に残っていた航の体温でした。
私たちは、大切な人の声を忘れ、顔を忘れても、その手に包まれた時の「温もり」だけは、身体の奥底に刻み込まれているものです。紬がその感触をインクに変えて手放した瞬間、彼女の世界から真実の「熱」が失われました。一文字を綴ることは、昨日までの自分を殺すこと。その残酷な代償こそが、この物語の『祝』福なのです。
▼『銀河の郵便局』の深淵を聴く(物語を「完成」させるために) 単なるBGMではありません。これらは、紬が失った記憶の残響であり、航が数式に込めた祈りの結晶です。音楽という名のインクで綴られた、もう一つの物語を体験してください。
①『祝福の螺旋 ―Bleeding Blue―』 ――第2話のテーマ。紬が「温もり」を捨て、青いインクに命を灯した瞬間の絶唱。 激しく重厚なシンフォニック・サウンドが、紬の絶望と決意を象徴します。歌詞に刻まれた「Bleeding Blue(滴る青い血)」は、文字を綴るたびに魂が削られていく痛みの記録。美しさと暴力性が同居するこの旋律を聴くとき、あなたは紬と共に、銀河郵便局の重き扉を押し開けることになるでしょう。
②『Stardust Ink ― 神様にも消せない宛先 ―』 ――銀河の孤独を突き抜ける、究極の「純愛」の証明。 疾走感溢れるリズムと、天を貫くような高潔なボーカルが、神(局長)の支配に抗う紬の「叛逆」を奏でます。宇宙の塵(Stardust)となって消えゆく記憶を、強引に言葉として定着させようとする切実な祈り。聴く者の胸を締め付けるサビの旋律は、時空を超えて航へと届く「光の道標」そのものです。
③『Inkwell of Galaxy -The Core Score-』 ――冷徹な論理と、宇宙の鼓動が交錯するサウンドスケープ。 局長が刻む銀時計の秒針、そして航が遺した死の数式……。それらが噛み合う不穏な胎動を、電子音と重低音が完璧に描き出します。物語の裏側でうごめく「宇宙の真理」を覗き込むような、没入型のスコア。この音を聴くとき、あなたは銀河の「インク壺(Inkwell)」の中に沈み、物語の真実へと加速します。
④『銀河の郵便局 (GALAXY POST)』 ――全てを燃やし尽くした先、静寂の中に灯る「再会」の主題歌。 19の文字を綴り終え、自己を消滅させた紬が辿り着いた、最終回答。温かくもどこか儚いメロディは、記憶を失ってもなお消えない「魂の筆跡」を祝福します。物語のグランドフィナーレを飾るこの曲の最後の一音を聴き終えたとき、あなたの心には、一通の「宛先のない手紙」が静かに届いているはずです。
音楽と共に、物語の真の結末へ。
これらの楽曲は、物語を彩る装飾ではなく、紬と航が命を懸けて奏でた「叫び」そのものです。 テキストを読み、音楽を聴き、二つの感覚が交差したとき――『真・銀河の郵便局』は、あなたの心の中で本当の「完成」を迎えます。
【物語とシンクロする公式リンク】
Music (Suno): https://suno.com/song/@108sund
(※ここで全曲のフルバージョンを、物語の進行に合わせて聴くことができます)
TikTok: @108sund
X (Official): @108Sund
もし少しでも「紬の選んだ代償の先に何があるのか見届けたい」と感じていただけたら、【お気に入り登録】や【感想】、【ポイント投票】をいただけますと、彼女のペンを動かす大きな力になります。
【次回予告:第3話「陽一の嘘」】
郵便局を訪れた航の親友・陽一。 彼の語る「事故の思い出」は、あまりにも美しく、そしてあまりにも不自然に歪んでいた。
「紬さん、あいつが死んだのは……僕のせいじゃないんだ」
銀河の星図に浮かび上がる、死を招いた「因果の線」。 暴かれる親友の裏切りを前に、紬の万年筆は怒りの色を宿し、冷徹な一文字を刻みつける。
第3話:陽一の嘘 ――信頼さえも、物語を終わらせるための凶器になる。
郵便局の床を覆っていた、使い古されたペルシャ絨毯の赤色が、端から順に黒い粒子となって解けていく。足元を支えていた重力という名の古い鎖が弾け飛んだ瞬間、私は悲鳴を上げることさえ許されず、無限の虚空へと真っ逆さまに突き落とされた。
「あ、ぁ……っ!」
視界が激しく反転する。 三秒前まで私を囲んでいた「現実」の輪郭――古びた木製のカウンター、局長の銀時計、壁を埋め尽くす宛先不明の封筒――が、遥か上方で米粒のように小さくなり、やがて絶対零度の暗黒に飲み込まれて消えた。
私は今、宇宙を落ちている。 耳を打つのは、暴風のような真空の咆哮だ。いや、音など存在するはずのない空間で、私の脳髄が恐怖を音として翻訳しているのだろうか。視界を埋め尽くすのは、網膜を焼き切らんばかりの超新星の残光と、幾千もの星々が描く、冷徹な光の糸。
「紬さん。呼吸を止めないで。そして、そのペンを絶対に離してはいけない。それは今、この広大な無の中で、あなたの魂を現世に繋ぎ止める唯一の錨(いかり)なのですから」
局長の声が、鼓膜ではなく、脳の最も深い場所に直接響いた。 驚いて顔を上げると、燕尾服の裾を優雅にひるがえした局長が、重力など初めから存在しないかのような優雅な足取りで、私の傍らに降り立っていた。彼は星の海を、あたかも銀座の歩道でも歩くように平然と踏みしめている。
その局長の背後。 崩落した郵便局の断崖の上に、執行官・九条が立っていた。 彼の身に纏う漆黒の法衣が、宇宙の暗黒を吸い込んで巨大な翼のように広がる。九条が手に持つ懐中時計が、断頭台の刃を落とすカウントダウンのように、不吉な赤い脈動を始めた。
「……逃がさん。記憶の秩序を乱す異物は、宇宙の塵として処理するのが理(ことわり)だ」
九条が指を鳴らした瞬間、虚空から何千もの「黒いペン先」が実体化し、追跡ミサイルのような鋭い軌道を描いて私を襲った。それは物理的な凶器ではない。人の意識を強制的に切断し、忘却の彼方へ突き落とす「処刑の文字」だ。
死の予感が全身の毛髪を逆立てる。心臓が早鐘を打ち、肺が凍りつく。 「紬さん、二文字目を。あなたの『熱』を、記憶という名のガソリンを、インクに変えて叫びなさい!」
局長の鋭い声に弾かれ、私は宙を舞う万年筆――ロイヤルブルーの胴体に、自らの魂の一部を託すように手を伸ばした。千切れるような思いでそれを掴み取った瞬間、私の心臓の奥底で、何かが激しく、そして美しく弾けた。
引き出されたのは、あまりにも鮮烈で、あまりにも愛おしい「熱」の記憶だった。
三年前の雪の朝。 航と歩いた、恵比寿の並木道。私の指先は寒さで感覚を失い、紫色に凍えていた。 「紬の手はいつも冷たいね」 航はそう言って笑い、私の右手を、自分のダッフルコートの大きなポケットの中に引き入れた。 ポケットの中で重なり合う、彼と私の手。 伝わってくる彼の皮膚の熱。脈打つ鼓動。指の節々の固さ。 それは、世界で一番温かくて、世界で一番安全な場所だった。 「一生、こうして温めてあげるよ」 そう囁いた彼の声が、雪の静寂に溶けていった。
その至福の記憶が、猛烈な圧力で私の中から引き剥がされていく。 「やめて! それだけは、消さないで!」 私は叫んだ。けれど、万年筆は容赦なく私の「温もり」を吸い取っていく。指先から急速に感覚が失われ、代わりに絶対零度の冷気が血管を逆流し、心臓を凍らせていく。
航の熱を、彼の指の感触を失うことへの絶望。 私はその痛みをエネルギーに変え、万年筆を虚空という名の原稿用紙に叩きつけた。
『祝』
文字が空中に刻まれた瞬間、私の中から「航の熱」という名の記憶が、最後の一片まで消失した。 彼の手がどれほど大きかったか。ポケットの中の温もりがどんな色をしていたか。 思い出そうとしても、そこには死人のような、冷たく乾いた静寂が居座るだけだった。
しかし、その残酷な代償は、宇宙を塗り替えるほどの「奇跡」として現れた。 書き上げられた『祝』の一文字から、黄金の衝撃波が円状に広がり、九条が放った黒いペン先をすべて白銀の星屑へと変えてしまったのだ。 それは、失った愛の重さに比例するほどの、暴力的で神聖な防壁だった。
「……なっ。理を、因果律を上書きしたというのか。たった二文字で、この領域の法を書き換えるなど……!」
九条の驚愕の声を背に、私の体はさらに加速して、深淵の底へと沈んでいく。 色彩が剥げ落ち、音さえも光に還元された真空の世界。 その暗黒の向こう側、カシオペア座の「W」の形をした五連星が、巨大な審判の門のように立ちはだかっていた。
その門の、光の縁に――。 一人の影が立っていた。
「……航?」
光を透かしたような、淡い青の輪郭。 事故の瞬間のままの、少しボサボサの髪。彼だ。間違いなく、私の航だ。 彼は何かを必死に叫んでいる。唇が動き、瞳からは光の粒のような涙が溢れている。 けれど、その声は数万光年の距離と、銀河の重力に押し潰され、私には届かない。 彼は、自らの右掌をこちらに向けた。 そこには、皮膚に直接刻まれたような、幾何学的な数式が青く発光していた。 それは、死の間際に彼がこの宇宙のバグを突いて残そうとした、血を吐くような「祈り」の座標。
『紬、伏線を……。僕たちの物語を、未完のまま絶望で終わらせないで。この計算式の中に、君を救う答えがあるんだ』
唇の動きが、音を介さずに私の魂を揺さぶる。 同時に、私の右手の薬指。ペアリングがはまっていた場所の皮膚が、どす黒いインクで染まり始めた。代償は肉体さえも侵食し始めている。 「……わかったわ。たとえ私の心臓が、最後の一滴までインクになって枯れ果てても。私が私でなくなっても……私はあなたを、私たちの愛を、完成させてみせる」
局長が私の手を優しく取り、カシオペアの門の向こう側、燃え盛る星雲の渦を指差した。
「紬さん。次に向かうのは、彼が遺した『最初の嘘』の場所です。そこには、あなたが今まで信じていた『航さん』とは別の、彼が独りで抱えていた孤独な真実が眠っています。……覚悟はいいですか?」
私は、感覚を失い、死人のように白くなった指で万年筆を握り直した。 昨日までの悲しみは、明日への伏線。 そうつぶやいた私の声は、銀河の嵐にかき消されたけれど、心には消えない炎が灯っていた。
私たちは、光の渦へと飲み込まれていった。 現実世界の病院のベッドで、心電図の音だけが響く私の体から、また一つ、大切な「初めてのキス」の記憶が、音もなく消滅していくのも知らずに。
(第3話へ続く)
【第2話 あとがき】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 万年筆が吸い上げたのは、指先に残っていた航の体温でした。
私たちは、大切な人の声を忘れ、顔を忘れても、その手に包まれた時の「温もり」だけは、身体の奥底に刻み込まれているものです。紬がその感触をインクに変えて手放した瞬間、彼女の世界から真実の「熱」が失われました。一文字を綴ることは、昨日までの自分を殺すこと。その残酷な代償こそが、この物語の『祝』福なのです。
▼『銀河の郵便局』の深淵を聴く(物語を「完成」させるために) 単なるBGMではありません。これらは、紬が失った記憶の残響であり、航が数式に込めた祈りの結晶です。音楽という名のインクで綴られた、もう一つの物語を体験してください。
①『祝福の螺旋 ―Bleeding Blue―』 ――第2話のテーマ。紬が「温もり」を捨て、青いインクに命を灯した瞬間の絶唱。 激しく重厚なシンフォニック・サウンドが、紬の絶望と決意を象徴します。歌詞に刻まれた「Bleeding Blue(滴る青い血)」は、文字を綴るたびに魂が削られていく痛みの記録。美しさと暴力性が同居するこの旋律を聴くとき、あなたは紬と共に、銀河郵便局の重き扉を押し開けることになるでしょう。
②『Stardust Ink ― 神様にも消せない宛先 ―』 ――銀河の孤独を突き抜ける、究極の「純愛」の証明。 疾走感溢れるリズムと、天を貫くような高潔なボーカルが、神(局長)の支配に抗う紬の「叛逆」を奏でます。宇宙の塵(Stardust)となって消えゆく記憶を、強引に言葉として定着させようとする切実な祈り。聴く者の胸を締め付けるサビの旋律は、時空を超えて航へと届く「光の道標」そのものです。
③『Inkwell of Galaxy -The Core Score-』 ――冷徹な論理と、宇宙の鼓動が交錯するサウンドスケープ。 局長が刻む銀時計の秒針、そして航が遺した死の数式……。それらが噛み合う不穏な胎動を、電子音と重低音が完璧に描き出します。物語の裏側でうごめく「宇宙の真理」を覗き込むような、没入型のスコア。この音を聴くとき、あなたは銀河の「インク壺(Inkwell)」の中に沈み、物語の真実へと加速します。
④『銀河の郵便局 (GALAXY POST)』 ――全てを燃やし尽くした先、静寂の中に灯る「再会」の主題歌。 19の文字を綴り終え、自己を消滅させた紬が辿り着いた、最終回答。温かくもどこか儚いメロディは、記憶を失ってもなお消えない「魂の筆跡」を祝福します。物語のグランドフィナーレを飾るこの曲の最後の一音を聴き終えたとき、あなたの心には、一通の「宛先のない手紙」が静かに届いているはずです。
音楽と共に、物語の真の結末へ。
これらの楽曲は、物語を彩る装飾ではなく、紬と航が命を懸けて奏でた「叫び」そのものです。 テキストを読み、音楽を聴き、二つの感覚が交差したとき――『真・銀河の郵便局』は、あなたの心の中で本当の「完成」を迎えます。
【物語とシンクロする公式リンク】
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もし少しでも「紬の選んだ代償の先に何があるのか見届けたい」と感じていただけたら、【お気に入り登録】や【感想】、【ポイント投票】をいただけますと、彼女のペンを動かす大きな力になります。
【次回予告:第3話「陽一の嘘」】
郵便局を訪れた航の親友・陽一。 彼の語る「事故の思い出」は、あまりにも美しく、そしてあまりにも不自然に歪んでいた。
「紬さん、あいつが死んだのは……僕のせいじゃないんだ」
銀河の星図に浮かび上がる、死を招いた「因果の線」。 暴かれる親友の裏切りを前に、紬の万年筆は怒りの色を宿し、冷徹な一文字を刻みつける。
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