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人の心に、あと一行残る物語を。第12回歴史・時代小説大賞『お江戸お直し処』奨励賞。現在『死んだ兄の心臓は、異世界で鳴る』連載中。
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ファンタジー 連載中 長編
兄が死んだ日、俺の中で、兄はもう一度生き始めた。 心臓と、左目として。 十五歳の夏。 双子の兄・彩陽は、事故で脳死となった。 世界最年少のプロサーファーだった兄が遺したのは、弟・蒼空へ移植された心臓と左目。そして、たった一行の言葉。 『心臓と左目は弟に。あいつ、俺のぶんまで生きるの下手だから』 それから三年。 雷鳴。墜落。掴めなかった手。銀の指輪――。 途切れた記憶を抱えた蒼空が目を覚ましたのは、真昼の空にも星が浮かぶ、異世界の浜だった。 黒からプラチナ色へ変わった髪。 深い海のような右目。 空のように淡い、兄から受け継いだ左目。 そして胸の奥では、死んだはずの兄の心臓が、何かを告げるように鳴っていた。 そこで蒼空は、黒髪に銀の筋を持つ少女・カイアと出会う。 初めて会ったはずなのに、なぜか懐かしい。 理由も分からないまま、二度と失いたくないと思った人。 だがカイアは記憶を奪われ、九つの錠に閉ざされた冥界へと消えてしまう。 彼女を取り戻すため、蒼空は神々と獣が息づく異世界を旅する。 その先で待つのは、失われた名前を封じる「空の棺」、星を喰らう影、四千年前に封じられた罪。 そして、蒼空に別人の名と役割を押しつけ、過去の誰かとして生かそうとする世界そのものだった。 けれど、蒼空は拒む。 兄の代わりにはならない。 過去の神にも、選ばれた英雄にもならない。 救いたい人がいる。 それでも、誰かを犠牲にする救いだけは選ばない。 これは、死んだ兄の人生を代わりに生きる物語ではない。 兄から受け取った命で、少年が自分の名前と生き方を選び直す物語。 「お前の左側は、俺が見る」 死者と交わした約束が、二つの世界の運命を動かし始める。
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「はじめまして」 声を失った彼女は、震える手でそう書いた。 けれど、それは二人にとって――二十七回目の出会いだった。 二十四歳の燈は、若年性の記憶障害を抱えている。 朝になるたび、昨日の出来事が少しずつ薄れていく。壁一面の付箋と、未来の自分へ残す録音だけが、失われていく日々をつなぎ止めていた。 ある夕暮れ、燈は海辺で、声の出ない女性・凪と出会う。 凪は燈の好きな味を知っていた。 薬の時間も、部屋の物の場所も、忘れているはずの幼い頃の癖さえも。 「僕たち、本当に初対面ですか」 その問いに、凪は答えない。 ただ悲しそうに笑い、彼のそばに居続ける。 四時十四分で止まった腕時計。 青いリボンの結ばれた古いレコーダー。 壊れた木馬。 海辺で拾い集められた青いガラス。 そして、存在しないはずの弟――海。 レコーダーの水音の向こうから、幼い声が聞こえる。 「……お兄ちゃん」 忘れている燈と、すべてを覚えている凪。 二人が白い灯台へ辿り着いたとき、十年前の海難事故に隠された真実が、止まっていた時間とともに動き始める。 なぜ凪は声を失ったのか。 なぜ燈は弟の存在を忘れたのか。 そして凪は、何度忘れられても、なぜ彼を見つけ続けるのか。 これは、記憶を取り戻す物語ではない。 たとえ何もかも忘れても、もう一度、同じ人を好きになれるのか。 何度でも「はじめまして」から始まる、喪失と再生の純愛ミステリー。
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婚約指輪をはめたまま、初恋の人の前で、心臓が今までで一番大きく跳ねた夜があった。 「まだ、好きなんだ」 10年前に言えなかった言葉を、彼は今、私に向けて言った。 半年後に控えた結婚式。誠実で、誰よりも私を大切にしてくれる婚約者。 そんな"絵に描いたような幸せ"の中に、ある日突然、初恋の人が現れた。 優しさと、安心感。 情熱と、ときめき。 どちらも、本物の「好き」だった。 私は、安定を選ぶのか。それとも、過去に終わらせられなかった想いに、もう一度賭けるのか。 雨の夜、私は走った。 その先に待っていたのは―― 涙が止まらない、ある一年間の物語。 あなたなら、どちらを選びますか? #恋愛 #婚約 #初恋 #涙腺崩壊 #108Atelier
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文字数 8,969 最終更新日 2026.06.27 登録日 2026.06.27
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「家族だから」という言葉を、信じていました。 結婚を機に少しずつ失われていく自由。 離れていく友人、届かない家族の想い。 そして、人生で最も大切な人との最後の別れさえ、知らされることはありませんでした。 「代わりはいくらでもいる」 その一言が、静かに積み重ねられてきた痛みを終わらせるきっかけになります。 これは、誰かを傷つけるための復讐ではありません。 自分の人生を取り戻すために、一人の女性が下した決断の物語です。 最後の数分で、このタイトルの本当の意味がわかります。 ぜひ最後までご覧ください。 ―― 108 Atelier 物語は、人生を変える。
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文字数 8,431 最終更新日 2026.06.26 登録日 2026.06.26
歴史・時代 連載中 長編
舞台は初夏の熱風が吹き抜ける、大江戸八丁堀。 うらぶれた長屋の片隅で、古着の「お直し処」を営む美しき女主人・おたま。 椿油で手入れされた白い指先から繰り出される彼女の針仕事は、まさに神業。衣服の傷を修復するだけでなく、そこに込められた人々の想いや、千切れかけた不器用な絆までも完璧に縫い合わせてしまう。 しかし、下町のしがない針子として生きる彼女には、決して誰にも明かせぬ壮絶な「秘密」があった――。 驚異的な「数理の目」を持ち、針を通す仕草に息を呑むような気品を漂わせるおたま。彼女が名前を捨て、過去を捨ててまで、ただ一振りの針を誇りとして生きる理由とは? そんな彼女の前に現れたのは、小汚い野良犬を装いながらも、圧倒的な剣気と底知れぬ闇を纏った謎の素浪人・松葉。 おたまが施す「魂の針仕事」に魅せられ、時に不敵に、時に不器用におたまの背中を守る彼もまた、大江戸の勢力図をひっくり返すほどの「裏の顔」を隠し持っていた。 ある日、長屋の貧しい少年が持ち込んできた、引きちぎられた衣服。 そこから、おたまがずっと胸の奥底に封印してきた凄惨な過去の因縁、そして大江戸の最高中枢に渦巻く巨大な国家の陰謀が、静かに、しかし容赦なく牙を剥き始める。 絡み合う嘘と真実。襲い来る冷酷な暗殺者の影。 逃れられぬ運命の糸に手繰り寄せられるように、八丁堀の小さなお直し処は、日の本全土を揺るがす壮大な戦いへと巻き込まれていく――! 「衣服であれ何であれ、目の前に大きな綻びを見つけてしまったのなら……それを一本の糸で美しく直すことこそが、職人の務めですもの」 長屋の仲間たちと紡ぐ温かな人情劇の裏で、加速していく緊迫の算術サスペンス。 おたまがその細い指先で一本の糸を引き絞るとき、大江戸の運命が激しく動き出す!
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