下請け自警団の破壊的平和活動

とびお

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第48話 洗練

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 おれは再びホムラさんを倒すべく、得意のラッシュ攻撃で攻め続けた。しかも加護ありで。

(何でこれが全部見切られるんだ……!?)

 おっさんにも攻撃を当てられるようになったのに、ホムラさんには一撃も当たらない。もしかしてこの人、おっさんより強いのか?

「電々蜘蛛の巣!!」

 打撃が無理なら遠距離攻撃で、と思ったけど、前方に放電した時にはホムラさんは視界にいなかった。

「ほら、2回目」

 いつの間にか背後に回り込んで来ていて、まさかの平手打ちでおれを攻撃してきた。……地味に痛い。
 負けじとホムラさんの服を掴みに腕を伸ばすと、手刀で叩き落とされ、前蹴りで飛ばされた。

「3回目」

 いちいちカウントしやがって、イラつくな。

「こっちも本気で行くよ」

 今まで敢えて防戦一方だったホムラさんが、宣言と共に攻めてきた。速いけど見切れないスピードじゃない。
 正面から向かってくる。微妙な体の動きや視線から予測して────って全然読めねぇ!!

 動きが軽やかで尚且つ、不気味な笑みと視線が一瞬下に……下にってことはローキックか!?

 ────耳が爆発しそうな勢いだった。さっきの視線はフェイントで、思いっきりハイキックを食らってしまった。

「はは、悩んでるなぁ。ま、それもいい勉強だよ」

 おれはまたしても横たわって空を見る羽目に。そういえばとーちゃんが死ぬ前に言ってたな。壁にぶつかって苦しいときは、空を見上げろって。

 戦いの最中だけど、おれは大の字になって空を見つめ続けた。青くてでっかい空、それからゆっくりと流れゆく雲を見ていると、気持ちが落ち着いてきた。

(ありがと、とーちゃん)

 食らったダメージを忘れてしまうくらいに清々しい気持ちになったところで、ゆっくりと起き上がった。

「顔つきが変わったね。再開でいいかな?」
「うん。そうするよ」

 おれは加護を纏って地面を蹴り、ホムラさんの背後に高速移動した。ホムラさんは反応してきていて、裏拳でおれを狙ってきたけど、しゃがんでかわしてボディに一撃入れた。

 続けてアッパーをかまそうと拳を振り上げるもかわされ、腕を掴んで地面に投げられた。───と、同時に強い雷を発してホムラさんに帯電させた。

「もう一発入れときますね」

 麻痺して動けないホムラさんの顔面を初めて綺麗にぶん殴ってやった。

「どうっすか? もう2発入りましたけど続けます?」
「続けよう。その調子で本気でかかってきなよ」

 ホムラさんは笑いながら手招きしてきた。普通に起き上がってるけど、もう麻痺が解けたのかな?

 互いに距離を詰め、おれは跳び膝蹴りを、向こうは正面から右ストレートを放ち、衝突した。接触した際に再び帯電させたつもりだったけど、ホムラさんは怯むことなくおれの脇腹に蹴りを入れ、凄まじいラッシュをお見舞いされた。

 無心茫むしんぼう状態になっても、この人の先の行動が予測できない。どんだけ強いんだよ……。おれは膝をついた。

「素質はある。あとはこの先、センスを磨いていけば僕より強くなれると思うよ」

 完敗だった。今までどの敵にも負けなかったけど、おっさんに続いてホムラさんと、味方には負ける一方だ。

「どうだったよ、エレナ」

 おっさんが歩み寄ってくる。

「強い……。おっさんとはまた違った強さで、全然勝てる気がしなかった」

「ホムラは相手の動きを予測する能力に長けている。これは精霊の加護じゃなくて、本人が持つ能力だ。エレナには、この力を身につけていってほしい」

「それって身につけられるもんなの?」
「ホムラ、お前はどうやって習得した?」

「きっかけはわからないけど昔、親に殺されそうになったときに急に何かが目覚めたような気がして、出来るようになった感じですね。"センス"なんて言葉で濁してますけど、実際にはコンマ数秒先の動きが読めてしまう、不思議な能力ですよ」

 ちょっと待って。親に殺されかけた話の方が気になって仕方ないんだけど。っていうかその特殊な能力も真似できる気がしないし。

「まるで天からの授かりものだな。そりゃ真似しようと思っても無理ってことだな」
「でも、エレナには僕にもアラケスさんにもない、秀でた才能があるよ」
「おれにそんなのある?」
「スピードさ。加護の力も相まって、君のスピードは誰よりもレベルが高い。王国軍でいうなら1番隊レベルだ」

 ……嬉しくて思わずニヤけてしまった。

「だから、僕の場合は見る前に予測するけど、エレナの場合は見てから超スピードで反応できれば、結果疑似的に僕と同じ動きが出来ると思う。そこの反応速度を磨いていくのはどうだろう」

 なんか急に光が見えたような気がして、テンションが上がってきた。

「それ、めっちゃ憧れる! それが出来たらもっと強くなれるよね!?」
「ホムラ、お前やっぱそういう面でもセンスあるな。来てもらって助かったぜ」

「お安い御用ですよ。後は、さっき攻撃を食らいにいったときに思ったけど、拳がまだまだ軽かった。高速移動の時みたいに、殴る時の拳への加護の纏わせ方を、"加速用"として使った方がいい。スピードはパワーをも補うことができて、便利な能力だから、重宝すべきだよ」

「うん、意識してみる」

 めちゃくちゃ分かりやすくて、身に染みるな。この人、ホントかっこいい。

「また僕に言えることがあったら声かけてよ。時間があれば付き合うからさ」

 そう言ってホムラさんは歩いて行った。

「ありがとうホムラさん!!」

 少しだけ振り返って優しい表情で手を振ってくれた。

「……そういえばさっきの言い方、おれの攻撃が当たったのって、わざとだったってこと?」
「ああ、どう見てもそうだったぞ。傍から見てたからすぐわかった」

 ショックで思わずため息をついた。そんなホムラさんの存在は、憧れだった気持ちから追い抜いてやるという目標に変わっていた。
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