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60.レイチェル様の相談事
第二王子殿下との学園でのエンカウント事件から3ヶ月が経ち、季節はすっかり春から夏に移り変わろうとしていた。
この世界は、前世と同じように四季がある。最も私は、前世のような極寒と猛暑の差が激しい季節の様子ではなく、緩やかに移ろいゆく今世の季節感の方が好きだったりする。
そして幸いなことに、あれから更に守りを強化したのか第二王子殿下に会うこともなく、私は至って平和な日常を過ごしている。彼に特に何をされたという訳ではないのだけど、あの怒鳴るような大声と話の通じなさ加減は、私の中で軽くトラウマになっている。
あの時機転を利かせて助けてくれたレイチェル様に、私もレオンも深く感謝をし、その感謝に対しレイチェル様は『この貸しは返してもらいますから大丈夫ですわぁ』と茶目っ気たっぷりに笑っていた。
そして今。
『あの時の貸しぃ、返してもらいますわねぇ?』とレイチェル様の招集を受け、学園から1番近い我が家に、同じくレイチェル様の招集を受けたらしいナディア様とトリシャ様の3人で集っている。
「3人ともぉ、お集まりいただきありがとうございます~」
「いいえ、レイチェル様にはお世話になりましたから」
「特に予定もありませんでしたし、お気になさらず」
「それでレイチェル?一体なんの用で私達を呼び出したの?」
ナディア様の問いかけに、レイチェル様はにっこり笑顔を浮かべ。
「私とルードルフ様の恋の相談をして下さいませぇ!」
グッと握りこぶしを握って宣言した。
「ナディアもトリシャ様もぉ、デートに行ったり愛称で呼び合ったりと順調なのでしょう~?私もそれにあやかりたくてぇ~」
「えっ……!」
「何故それをご存知なのですか?」
「まぁ!そうなのですか?」
ナディア様とトリシャ様がそこまで順調にいっていたとは……!
実は男女が互いを愛称で呼び合うという事、この国では大きな意味を持つ。男性は親しい友人間でも愛称で呼び合ったりもするが、女性はそうはいかない。女性が愛称呼びを許すのは、家族や家族に準ずる者(この場合は婚約者や配偶者)、または恋人のみに限定される。
告白してレオンと愛称呼びをした日、お義父さまからこの事実を聞かされた時は、恥ずかしくて失神するかと思った。
貴族令嬢であるお2人がこの事を知らない筈がないので、2人とも無事にクローヴィア、リーフェルトと恋人同士になれたらしい、良かった良かった。
「あ、あの、ツェツィーリエ様!違うんですのよ?私達、婚約する段になってお伝えしようと思っていて……」
「そうです!婚約には至っていませんから、まだお伝えするには早いかと……」
私が順調にいっているらしい2人を想像してホッコリしていると、何やら慌てた様子の2人が必死に言い募ってくる。んん?何事?
「2人ともぉ、そんなに焦らなくてもツェツィーリエ様は怒ってないわよぉ?ねぇ、ツェツィーリエ様~?」
「えぇ、それは勿論なのですが。先程からお2人は何のお話をされていらっしゃるのでしょう?」
先程から感じていた純粋な疑問をぶつけると、少し安心した様子の2人が話してくれた。
何でも、クローヴィアとリーフェルトを紹介した私に2人はいたく感謝しているらしく、付き合うことになった段階でその事を私に伝えようと思ったらしいのだが、もし婚約前に別れてしまったら私に対して不誠実なのでは?と思い、婚約してから打ち明ける予定だったらしい。
なるほど、理解した。理解したのだけど、この感じる少しの寂しさのようなものは何だろう?
「2人とも気を遣い過ぎなのですわぁ。別れるにしても何にしてもぉ、お友達なのだから相談すればよろしいのにぃ」
それだ。レイチェル様の言葉に、私は自分だけ仲間外れにされたかのような疎外感を感じていたことに気が付く。
「そうですわね、レイチェル様の言う通りですわ。私達お友達なんですもの。もっと早く知りたかったですわ」
「申し訳ありません、ツェツィーリエ様。今度からはしっかりご相談いたしますわね」
「すみません、私も気を遣うより先に相談するべきでした」
「はい~、じゃあ今度からはどんどん相談していくことにしてぇ、今日は私の番ですわ~」
レイチェル様が、挙手をしてアピールする。ルードルフとのことで相談と言っていたが、上手くいっていないのだろうか?
「あの、失礼ですがレイチェル様、ルードルフとはどのような感じで……?」
「よくぞ聞いてくれましたぁ、ツェツィーリエ様~。ルードルフ様ったらぁ、全っ然私に靡いて下さいませんの~」
「そうなのですか?」
「そうなのですわぁ。だから私ぃ、今日は教本を持参致しましたのぉ!」
そう言って、レイチェル様が掲げたのは1冊の本。
【美人妻リーゼロッテの秘め事~初恋の君と~】
な、何だか凄そうな本……。私達が本の題名を見て、ゴクリと唾を飲み込むのと同時に。
ガフッ……!!
盛大にむせる様な音が聞こえ、私達4人は同時にその音のした方へ振り向いた。
この世界は、前世と同じように四季がある。最も私は、前世のような極寒と猛暑の差が激しい季節の様子ではなく、緩やかに移ろいゆく今世の季節感の方が好きだったりする。
そして幸いなことに、あれから更に守りを強化したのか第二王子殿下に会うこともなく、私は至って平和な日常を過ごしている。彼に特に何をされたという訳ではないのだけど、あの怒鳴るような大声と話の通じなさ加減は、私の中で軽くトラウマになっている。
あの時機転を利かせて助けてくれたレイチェル様に、私もレオンも深く感謝をし、その感謝に対しレイチェル様は『この貸しは返してもらいますから大丈夫ですわぁ』と茶目っ気たっぷりに笑っていた。
そして今。
『あの時の貸しぃ、返してもらいますわねぇ?』とレイチェル様の招集を受け、学園から1番近い我が家に、同じくレイチェル様の招集を受けたらしいナディア様とトリシャ様の3人で集っている。
「3人ともぉ、お集まりいただきありがとうございます~」
「いいえ、レイチェル様にはお世話になりましたから」
「特に予定もありませんでしたし、お気になさらず」
「それでレイチェル?一体なんの用で私達を呼び出したの?」
ナディア様の問いかけに、レイチェル様はにっこり笑顔を浮かべ。
「私とルードルフ様の恋の相談をして下さいませぇ!」
グッと握りこぶしを握って宣言した。
「ナディアもトリシャ様もぉ、デートに行ったり愛称で呼び合ったりと順調なのでしょう~?私もそれにあやかりたくてぇ~」
「えっ……!」
「何故それをご存知なのですか?」
「まぁ!そうなのですか?」
ナディア様とトリシャ様がそこまで順調にいっていたとは……!
実は男女が互いを愛称で呼び合うという事、この国では大きな意味を持つ。男性は親しい友人間でも愛称で呼び合ったりもするが、女性はそうはいかない。女性が愛称呼びを許すのは、家族や家族に準ずる者(この場合は婚約者や配偶者)、または恋人のみに限定される。
告白してレオンと愛称呼びをした日、お義父さまからこの事実を聞かされた時は、恥ずかしくて失神するかと思った。
貴族令嬢であるお2人がこの事を知らない筈がないので、2人とも無事にクローヴィア、リーフェルトと恋人同士になれたらしい、良かった良かった。
「あ、あの、ツェツィーリエ様!違うんですのよ?私達、婚約する段になってお伝えしようと思っていて……」
「そうです!婚約には至っていませんから、まだお伝えするには早いかと……」
私が順調にいっているらしい2人を想像してホッコリしていると、何やら慌てた様子の2人が必死に言い募ってくる。んん?何事?
「2人ともぉ、そんなに焦らなくてもツェツィーリエ様は怒ってないわよぉ?ねぇ、ツェツィーリエ様~?」
「えぇ、それは勿論なのですが。先程からお2人は何のお話をされていらっしゃるのでしょう?」
先程から感じていた純粋な疑問をぶつけると、少し安心した様子の2人が話してくれた。
何でも、クローヴィアとリーフェルトを紹介した私に2人はいたく感謝しているらしく、付き合うことになった段階でその事を私に伝えようと思ったらしいのだが、もし婚約前に別れてしまったら私に対して不誠実なのでは?と思い、婚約してから打ち明ける予定だったらしい。
なるほど、理解した。理解したのだけど、この感じる少しの寂しさのようなものは何だろう?
「2人とも気を遣い過ぎなのですわぁ。別れるにしても何にしてもぉ、お友達なのだから相談すればよろしいのにぃ」
それだ。レイチェル様の言葉に、私は自分だけ仲間外れにされたかのような疎外感を感じていたことに気が付く。
「そうですわね、レイチェル様の言う通りですわ。私達お友達なんですもの。もっと早く知りたかったですわ」
「申し訳ありません、ツェツィーリエ様。今度からはしっかりご相談いたしますわね」
「すみません、私も気を遣うより先に相談するべきでした」
「はい~、じゃあ今度からはどんどん相談していくことにしてぇ、今日は私の番ですわ~」
レイチェル様が、挙手をしてアピールする。ルードルフとのことで相談と言っていたが、上手くいっていないのだろうか?
「あの、失礼ですがレイチェル様、ルードルフとはどのような感じで……?」
「よくぞ聞いてくれましたぁ、ツェツィーリエ様~。ルードルフ様ったらぁ、全っ然私に靡いて下さいませんの~」
「そうなのですか?」
「そうなのですわぁ。だから私ぃ、今日は教本を持参致しましたのぉ!」
そう言って、レイチェル様が掲げたのは1冊の本。
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な、何だか凄そうな本……。私達が本の題名を見て、ゴクリと唾を飲み込むのと同時に。
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