コイカケ

崎田毅駿

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コイカケ2の12

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「あなたがそれでいいというのなら、私もそれでいいわ」
 にっこり笑って、それから三ツ矢に今のルールで承認を求める。
「ちょっと待った!」
 はしたないという思いをどこかに置き去りにしてきたみたいに、野杁が身を投げ出さんばかりの勢いで、静流と三ツ矢のアイコンタクトを邪魔した。
「何か……気付きましたか?」
「まだ何も。だけど、今のあなたの雰囲気、口ぶりから、何かあるって直感が働いたわ」
「いい直感ですこと」
 再びにっこり、今度は野杁に向けたものだ。
「でも、このルールはあなたにとって有利なものよ。勝てるかどうかは分からないけれども、野杁さんの希望を叶えるのにぴったりね」
「……希望、ですと?」
 脳細胞をフル回転させて考えているためか、野杁の喋り方がおかしくなった。
「ええ。希望と書いてのぞみと読ませる方の希望」
「待って……何か思い出してきた。私が最初に言ったこと。あなたと長くギャンブルがしたいとかどうとか」
「またご名答。それよ」
「どういうこと……あっ」
 野杁は絵に描いたような動作で、手の平を拳でぽんと打った。
「最後の特殊カードが効果を発揮することのないよう、私は手札に特殊カードが来ても、捨て続ければ、ギャンブルの時間を引き延ばせるって意味?」
「その通り。でしょ?」
「……いいえ。勝負を端から捨てるような真似、できるか!ですわ」
 ふっふっふと短く笑って、野杁は静流を指差した。
「また策略で私を縛ろうとしたわね」
「まあ。そんな趣味はございません」
「――ちっがーう! アルファベット二文字を想像しないでよ。私の選択肢を狭めて特殊カードを捨てさせようとしたってことよ」
「説明されなくても、分かっています。自分のことですから。さあ、いよいよ佳境ですわ」
 静流は配布済みのカードを手に取った。


             *           *


 野杁は配布済みのカードを手に取った。束ねた状態から一枚ずつずらして、角のマークと数字だけを見ていく。

   スペードの10 ダイヤの9 スペードの8 ハートの10 クラブの10

 10のスリーカードができていた。また、把握している分の特殊カードは見当たらない。
 交換してフォーカードやフルハウスが完成する確率と、特殊カードを呼び込む確率を考える。正確な値が欲しいのではなく、この手で勝負する価値があるかどうか。
(違うわ。ここで勝たないと、もはや下限の七本をベットできなくなる。三本ほどのマッチ棒を残して、懇願すれば、静流さんのことだからまだ相手をしてくれるかもしれないけれど……そんな弱気でどうする。ここは攻め一辺倒!)
 ストレートの目もゼロではないが、10を三枚残しからのフォーカードを期待する。何せ、ジョーカーに変化する特殊カードが二枚あるのだ。スリーカードからフォーカードになる確率は、単純計算で通常のポーカーの三倍。
 野杁はそこに賭けた。心の中で来い!と叫びながら、二枚を場に放る。
 代わって手に入ったのは。

   スペードの10 ハートの10 クラブの10 スペードの2 クラブの5

 本当に来たわ。
 喜びを表情に出さぬよう、ましてや叫び出さないよう、ポーカーフェイスに努める野杁。
(クラブの5はジョーカーになるから、10のフォーカード。残りの一枚が2というのもいい感じだわ。仮に静流さんの手札に、条件1.のクラブの2か、もしくは条件6.のハートの2が入っていた場合、私の10のいずれかが2になるから、10のフォーカードは崩れるけれども、そのときは10と2のフルハウスになる。万が一、クラブの2とハート2両方が相手の手札にあったとすれば、2のフォーカードになる)
 想定できる中でもかなりよい手になった。そう自信を持って言えた。
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