在宅とオフィスのはざまで 〜 二児を育てる共働き夫婦のリアル

さっさβ版

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第一章:朝の戦場①

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1. 朝の混乱

「お母さーん、パンが落ちた!」
海斗の甲高い声がキッチンに響く。美帆はフライパンを握りしめながら、振り返る余裕すらなかった。彼女の目の前には、焦げ目のついた卵焼きがフライパンの中でじゅうじゅうと音を立てている。
「待って!今は無理!」
焦りながら返事をするが、次には大翔の泣き声が重なる。「ママー!」という1歳児特有の甘えた声が、美帆の神経をさらに削る。

ダイニングテーブルを見ると、海斗が椅子の上で立ち上がり、散乱した食パンの破片を指差している。その隣では大翔が手を伸ばしてパンを掴もうとしているが、まだ届かない。

「海斗、椅子に座って!危ない!」
美帆は慌ててガスコンロの火を止め、卵焼きを皿に移した。床に落ちたパンを拾いながら、ちらりと時計を見る。午前7時10分。あと20分で陽介が出社する時間だ。

「美帆、今日ちょっと早く出るから!」
陽介の声がリビングから聞こえる。スーツのジャケットを手に持ちながら、彼は靴下を履くのに手間取っているようだった。

「えっ、早く出るって言ってなかったじゃない!」
美帆の声には自然と苛立ちが混ざる。陽介は慌ただしくネクタイを締めながら答える。
「急にクライアントから時間調整の依頼があったんだ。悪いけど、海斗の着替え頼む!」
「ええ!?私も今日、8時半から会議なのよ!」
美帆は床に膝をつきながらパンの破片を片付けていたが、陽介の発言に手を止めた。

陽介は彼女の言葉を聞き流すように靴を履き、玄関の扉を開けた。
「悪いな!頑張って!」
その一言だけを残して、彼は出勤していった。
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