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第2章 隠居に成功(?)した魔王様
魔王様は拒みきれない
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食事を終えてから食事処の店主に教えてもらった宿屋で数日分の宿泊料に色をつけて払う。
そのおかげか指定された部屋は角の少し広い部屋で、簡素だが清掃も行き届いて清潔な印象を与えた。
「だぁー…!疲れた……。やっぱり2日間歩き通しはキツかったかなぁ」
ぼふっと音を立てて近くにあったソファに座り込むと、そのままうとうとと眠気に襲われる。
(荷物の確認をして…風呂に入って…あとは今日の情報をまとめて…明日のよてい…を……)
やらなければいけないことは山ほどあるはずなのに、頭の中がどんどんと真っ白になっていく。
抗えないまま目を閉じると、ノアはすぐに眠りに落ちた。
・・・・・・・・・・
ゆっくりと頭を撫でられる感覚で意識が浮上する。ノアが目を開けると見知った顔がこちらを見下ろしていた。
「ん…ルーク…?」
「はい、おはようございます。ノア様」
「…俺…どれくらい寝てた…?」
眠い目を擦って辺りを確認してみると、どうやらソファの上で完全に寝落ちてしまっていたらしく、横向きになった身体はルークを枕にしていたようだ。
「二時間ほど。お疲れのようですから今夜はもうお休みになりますか?」
「いや、色々と相談したいこともあるし少し寝たおかげで身体も楽だからな。足も痺れただろ?ごめんな」
「いいえ、全く問題ございません。むしろこのような時間が永遠に続けばと思っておりました」
まるで愛しいものでも見るかのような蕩けた笑顔を向けられることに耐えられなくなったノアは慌てて身体を起こす。
しかし横になった状態から突然身体を起こしたからか、ぐらりと目眩のようなものに襲われる。
傾いて倒れそうになった身体は支えられ、再びソファの上でルークに凭れかかるようにして座らされる。
「大丈夫ですか?無理はなさらないでください」
「ご、ごめん…思ったよりも疲れてるみたいだ。痛覚は抑えてあるけれどこういうのは防ぎようが無いな…」
「そんなの前からあったじゃないですか。連日徹夜で研究していたせいで自室に入った途端気絶したこともありましたよね」
「その節はお世話になりました…。…俺もルークみたいに鍛えたら体力つくかな」
「ノア様は今のままがいいと思いますよ」
「お、おう…食い気味に答えるな…。そ、それよりお前こそ体調は大丈夫か?魔力をずっと流していたわけだし、公務もあって疲れただろ?」
「いえ、僕は大丈夫です。こっちの様子を見るのも聞くのも、こいつの元々の魔力で賄えますし」
そう言うとルークはノアの足元についてきていた子犬を抱え上げる。子犬は若干不服そうな唸り声をあげた。
「でもお前もよく考えたよな。まさか生物に自分の魔力を絡ませてどこにいるか分かるようにするなんて俺でも思いつかなかったよ」
「言ってしまえば犬のリードのようなものです。ノア様がこいつから離れていないのが確認できたら、あとは魔力を辿ればあなたの元へ必ず転移できますからね」
「でも…やっぱり毎晩こっちに転移してくるのは大変じゃないか?もうちょっと頻度を落としても…」
正面からルークに抱きしめられ、突然のことではあったが、ノアは初めてでもないはずなのに慌てふためく。
「ど、どうしたんだ…?」
「僕があなたに会いたい…という理由だけではいけませんか?」
「それは…」
「この案を持ちかけたのは僕自身です。ノア様の留守を守るのが今の僕の仕事です。ですが…あなたがいない城内は今の僕には冷たすぎるんです。きっとあなたの熱を知ってしまったからですね」
「…その話はもう終わっただろ…その気持ちは勘違いだ…。それにあの日みたいなことは…もう、しない」
「ええ、知っています。けれど僕が手を伸ばせば届く距離にいるのに、あなたを諦めるなどどうしてできましょうか。応えていただこうとは思いません。ですがどうか、あなたに愛を伝えることだけはお許しいただけませんか…?」
ここでノアが拒めば、それこそ命令として『止めろ』と一言言えば、きっとルークは今後一切同じことをしなくなる。
情報の共有のためと称した逢瀬も、囁かれる甘やかな睦言も、触れ合う体温も、夢幻の如く消えるのだろう。
(これは…ルークの勘違いで……俺は、それを止めなきゃいけなくて…。なのに…なんで…)
夜毎会えなくなるのが、心まで絡めとる甘い言葉が、包み込むように回される腕が、無くなってしまうのが惜しいと、なぜ思ってしまうのだろうか。
そして結局拒みきれずに、せめてもの抵抗で何も見ないふりをした。
「わ、かった……」
「ありがとうございます…。愛しております、ノア様」
頭に優しく口付けが落とされる。
そのまま撫でるように滑る手に、胸が苦しくなってしまったノアは、それを隠すようにルークの胸元に顔を埋めた。
そのおかげか指定された部屋は角の少し広い部屋で、簡素だが清掃も行き届いて清潔な印象を与えた。
「だぁー…!疲れた……。やっぱり2日間歩き通しはキツかったかなぁ」
ぼふっと音を立てて近くにあったソファに座り込むと、そのままうとうとと眠気に襲われる。
(荷物の確認をして…風呂に入って…あとは今日の情報をまとめて…明日のよてい…を……)
やらなければいけないことは山ほどあるはずなのに、頭の中がどんどんと真っ白になっていく。
抗えないまま目を閉じると、ノアはすぐに眠りに落ちた。
・・・・・・・・・・
ゆっくりと頭を撫でられる感覚で意識が浮上する。ノアが目を開けると見知った顔がこちらを見下ろしていた。
「ん…ルーク…?」
「はい、おはようございます。ノア様」
「…俺…どれくらい寝てた…?」
眠い目を擦って辺りを確認してみると、どうやらソファの上で完全に寝落ちてしまっていたらしく、横向きになった身体はルークを枕にしていたようだ。
「二時間ほど。お疲れのようですから今夜はもうお休みになりますか?」
「いや、色々と相談したいこともあるし少し寝たおかげで身体も楽だからな。足も痺れただろ?ごめんな」
「いいえ、全く問題ございません。むしろこのような時間が永遠に続けばと思っておりました」
まるで愛しいものでも見るかのような蕩けた笑顔を向けられることに耐えられなくなったノアは慌てて身体を起こす。
しかし横になった状態から突然身体を起こしたからか、ぐらりと目眩のようなものに襲われる。
傾いて倒れそうになった身体は支えられ、再びソファの上でルークに凭れかかるようにして座らされる。
「大丈夫ですか?無理はなさらないでください」
「ご、ごめん…思ったよりも疲れてるみたいだ。痛覚は抑えてあるけれどこういうのは防ぎようが無いな…」
「そんなの前からあったじゃないですか。連日徹夜で研究していたせいで自室に入った途端気絶したこともありましたよね」
「その節はお世話になりました…。…俺もルークみたいに鍛えたら体力つくかな」
「ノア様は今のままがいいと思いますよ」
「お、おう…食い気味に答えるな…。そ、それよりお前こそ体調は大丈夫か?魔力をずっと流していたわけだし、公務もあって疲れただろ?」
「いえ、僕は大丈夫です。こっちの様子を見るのも聞くのも、こいつの元々の魔力で賄えますし」
そう言うとルークはノアの足元についてきていた子犬を抱え上げる。子犬は若干不服そうな唸り声をあげた。
「でもお前もよく考えたよな。まさか生物に自分の魔力を絡ませてどこにいるか分かるようにするなんて俺でも思いつかなかったよ」
「言ってしまえば犬のリードのようなものです。ノア様がこいつから離れていないのが確認できたら、あとは魔力を辿ればあなたの元へ必ず転移できますからね」
「でも…やっぱり毎晩こっちに転移してくるのは大変じゃないか?もうちょっと頻度を落としても…」
正面からルークに抱きしめられ、突然のことではあったが、ノアは初めてでもないはずなのに慌てふためく。
「ど、どうしたんだ…?」
「僕があなたに会いたい…という理由だけではいけませんか?」
「それは…」
「この案を持ちかけたのは僕自身です。ノア様の留守を守るのが今の僕の仕事です。ですが…あなたがいない城内は今の僕には冷たすぎるんです。きっとあなたの熱を知ってしまったからですね」
「…その話はもう終わっただろ…その気持ちは勘違いだ…。それにあの日みたいなことは…もう、しない」
「ええ、知っています。けれど僕が手を伸ばせば届く距離にいるのに、あなたを諦めるなどどうしてできましょうか。応えていただこうとは思いません。ですがどうか、あなたに愛を伝えることだけはお許しいただけませんか…?」
ここでノアが拒めば、それこそ命令として『止めろ』と一言言えば、きっとルークは今後一切同じことをしなくなる。
情報の共有のためと称した逢瀬も、囁かれる甘やかな睦言も、触れ合う体温も、夢幻の如く消えるのだろう。
(これは…ルークの勘違いで……俺は、それを止めなきゃいけなくて…。なのに…なんで…)
夜毎会えなくなるのが、心まで絡めとる甘い言葉が、包み込むように回される腕が、無くなってしまうのが惜しいと、なぜ思ってしまうのだろうか。
そして結局拒みきれずに、せめてもの抵抗で何も見ないふりをした。
「わ、かった……」
「ありがとうございます…。愛しております、ノア様」
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そのまま撫でるように滑る手に、胸が苦しくなってしまったノアは、それを隠すようにルークの胸元に顔を埋めた。
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