異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

文字の大きさ
371 / 482
ぼっちー世界の声を集める!?

371日目:緑の海の演奏会、草笛のレッスン

しおりを挟む

異世界に転移したらぼっちでした~観察者ぼっちーの日常~

371日目:緑の海の演奏会、草笛のレッスン


こんばんは、ぼっちーです。

昨日は巨大な綿毛に連れ去られそうになったモフですが、今日はしっかりとぼくの肩にしがみついています。
風の丘はどこまでも続いていて、腰の高さまである草が風になびく様子は、まるで緑色の海のようです。


風に乗って聞こえる、高い音

「ピー、ヒョロロ……」

風の音に混じって、鳥のさえずりのような、少し物悲しいような高い音が聞こえてきました。

「ぼっちー、聞こえる? あれはきっと、『お腹が空いた鳥さん』の声だよ!」

モフは相変わらず食欲フィルターを通して世界を見ていますが、その音色には、どこか意思が感じられます。
音のする方へ草をかき分けて進むと、大きな岩の上に座っている一人の少年を見つけました。

少年は、手元で一枚の草の葉を唇に当て、器用に音を奏でていました。
彼の周りには、真っ白な毛並みのヤギたちが集まり、気持ちよさそうに昼寝をしています。


羊飼いと、草笛の秘密

「やあ、旅の人かい?」

少年は演奏を止めると、人懐っこい笑顔で話しかけてきました。
彼はこの丘でヤギを放牧している羊飼いでした。

「今の音は、草笛だよ。この丘の風と仲良くするための合図なんだ」

彼が吹くと、風が少しだけ優しくなり、ヤギたちが安心したように耳を震わせます。
ただの遊びではなく、自然と対話するための大切な「声」なんですね。

「すごい! 風と話せるなんて、魔法みたいですね!」

ぼくが感心していると、モフが少年の膝に飛び乗りました。

「ねえねえ! ぼくにもその魔法、教えて! 『おやつ、こっちだよ』って風に伝えたい!」


聖獣モフ、楽器を食す

少年は笑って、モフの手(前足)に、新鮮で幅の広い草の葉を持たせてくれました。

「いいかい? 唇にこう当てて、優しく息を吹き込むんだ」

モフは真剣な顔で、小さな口を草に近づけます。

「守護者の掟・第十二条! 『新しい声(=技)は、体当たりで習得すべし!』」

スーッ、スーッ……。

何度息を吹いても、聞こえるのは「スカッ」という抜けた音だけ。
モフの口の形だと、どうしても空気が漏れてしまうようです。
業を煮やしたモフは、ついに禁断の行動に出ました。

ムシャッ!

「……もふぅ。(訳:苦い! この草、音はきれいだけど、味は0点だ!)」

「あーあ、食べちゃった」

少年は大笑いし、ヤギたちも「メェ~」と呆れたように鳴きました。


今日のまとめ

 * 風の丘で、草笛を吹く羊飼いの少年と出会った
 * 草笛は、風や動物たちと心を通わせるための「声」だった
 * モフが草笛に挑戦したが、音を出す前に楽器(草)を食べてしまった
 * 草の味は「苦くて0点」だったが、その場は笑い声で包まれた

風の音、草笛の音、そして笑い声。
この丘には、優しくて平和な「声」がたくさん溢れています。


ぼっちー今日のひとこと

「モフが草笛を吹けるようになったら、一日中『おやつコール』が鳴り響きそうなので、吹けなくて正解だったかもしれません」


プロフィール

 * 名前:ぼっちー(草笛の音色に癒やされ、平和な午後のひとときを記録した観察者)
 * 相棒:モフ(楽器を演奏するより、味わうことを選んだ花より団子な小さな相棒)
 * 今日の記録:羊飼いの少年/草笛の音色/ヤギの群れ/モフの誤食

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた! ※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています

処理中です...