207 / 482
ぼっちー冒険記作家になる!?
207日目:一夜の宿とおばあさんの物語
しおりを挟む異世界に転移したらぼっちでした~探検者ぼっちーの日常~
207日目:一夜の宿とおばあさんの物語
こんばんは、ぼっちーです。
風の丘のふもとを巡る旅も、少しずつ深まってきました。
昨日、灯火の謎について旅人さんと語ったあと、
日も沈みかけていたので、ふもとの小道を降りた先にある古い宿に泊まることに。
そこで出会ったのは、優しいけどちょっとクセのある、語り部のおばあさんでした。
静かな宿と、あたたかい夕食
宿は「風結びの宿」といって、木組みと石壁の小さな一軒宿。
中に入ると、すぐにふわりと野菜スープの香りがして、モフの鼻がぴくぴく。
「もふもふー!」(訳:ここ泊まる!)
宿の女将さんは、ぼくの祖母くらいの年齢に見えるおばあさんで、
名前はノエラさん。編み物をしながら静かに話す人です。
「旅の者かい? 風に呼ばれたのかねえ」
なんだか意味深な第一声にドキッとしつつ、
出されたスープをすすりながら、今日あったことをちょっと話してみました。
おばあさんが語る「灯火の夜」
ノエラさんは、風見鶏の塔や風の丘についてもよく知っていて、
「昔はあの塔にも火がともってね……」と、ぽつりぽつりと思い出すように語ってくれました。
「風が北から吹いた夜、塔の窓がひとつ、橙色に光った。
それは“風灯”が灯った合図でね。
その光を見た旅人たちは“約束の場所”へ向かったもんさ」
約束の場所?と聞き返すと、
「……その場所を守った者も、行方を知る者も、もういないよ。
でもね、風は覚えている。灯火と、扉と、あの約束を——」
なんだろう、昨日の旅人の話と不思議にリンクしてくる感覚。
しかも、「風灯」という単語までまったく同じ。
おばあさんはそのあと、小さな布の袋から古びた金属製のチャームを見せてくれました。
それは、風を模した渦巻きの紋章。
ぼくが持つ銀縁のコンパスにも、うっすら似た模様が……!
暖炉の前でぐでモフ
宿の一角には石造りの暖炉があって、火がぱちぱちといい音を立てていました。
その前には、もう言うまでもなくモフがぺたーん。
「もふぅぅ……」(訳:これは寝落ち確定……)
ノエラさんが毛糸の余りでちっちゃなマフラーを編んでくれて、
モフはそれを首に巻いたまま、夢の中へ。
ふだんはやんちゃなモフも、こういう夜は本当におとなしくて、
なんだか子どもみたいに見えるんですよね。かわいい。
物語を聞きながら眠る夜
その晩、ノエラさんはもう一つ、語り部としての物語を話してくれました。
それは、ある“旅人”が風の声を辿って辿り着いた灯火の扉と、
そこで交わした「ある約束」についての、昔話のような伝説。
——風が北から吹いた日、塔の火が灯る。
その下に“鍵”が現れ、封じられた“道”が開かれる。
けれど、その道を開ける者は「約束を守った者」でなければならない。
「その“約束”がなんだったか、いまはもうわからないんだけどね」
とノエラさんは笑いました。
けれど、それを聞いていたぼくは、なんだか胸の奥がちりっと熱くなって。
いつか、見つけてみたいと思ったんです。
あの“場所”と、“約束”を。
ぼっちー今日のひとこと
「風の声を覚えている人がいる限り、物語はきっと、つづく。」
プロフィール
• 名前:ぼっちー(あったか宿に弱い冒険記作家)
• 相棒:モフ(マフラーをもらって寝落ち中)
• 今日の出会い:語り部のおばあさん・ノエラさんと、風にまつわる昔話
1
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
家ごと異世界ライフ
もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
