【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g

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第2章 スパダリ修行は夜も忙しい!?〜嫉妬と媚薬と婚約騒動〜

第9話:公爵様と秘密の朝活

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 オルディス公爵家、筆頭補佐官。
 それが、十九歳になった俺、リアン・アークライトの現在の肩書きだ。

 世間一般において、公爵家の筆頭補佐官といえば、領地経営の采配を振るい、外交を取り仕切る「能吏の中の能吏」が就くポジションだと言われている。
 だが、俺の朝は、そんなお堅いイメージとはかけ離れたミッションから始まる。

 それは、「魔王(師匠)の封印を解くこと」――すなわち、シリル様の寝起きのお世話だ。

 朝の七時。
 俺は自分の部屋(シリル様の寝室の隣)で身支度を整え、意を決してコネクティングドアを開けた。

「……師匠、朝ですよ」

 重厚なカーテンが閉ざされた寝室は、薄暗く、ひんやりと静まり返っていた。
 天蓋付きの巨大なキングサイズベッドの中央で、シリル様が眠っている。
 プラチナブロンドの髪がシルクの枕に散らばり、長い睫毛が陶器のような肌に影を落としている。
 その姿は、童話に出てくる眠り姫か、あるいは美術館に展示されている大理石の彫刻のようだ。

(相変わらず、寝顔だけは天使なんだよなぁ……)

 俺は音を立てないようにベッドに近づいた。
 起きている時のシリル様は、冷徹な公爵様オーラ(対外的)と、ねっとりとした過保護オーラ(対俺)を放っているが、寝ている時だけは無防備だ。
 この無防備な時間を独占できるのは、筆頭補佐官である俺だけの特権である。

「師匠ー、起きてください。今日は九時から予算会議ですよ」

 声をかけながら、肩を揺する。
 反応はない。
 規則正しい寝息が聞こえるだけだ。
 オルディス公爵家当主、シリル・ヴァン・オルディスは、極度の低血圧である。一度眠ると、大砲を撃っても起きないと言われている(俺調べ)。

 だが、俺も伊達に長年彼のお世話係をやっていない。
 こういう時のための「スパダリ流・起床術」を心得ている。

「……仕方ないですね」

 俺はベッドの縁に腰掛け、わざとらしく溜息をついた。
 そして、シリル様の耳元に顔を寄せ、低い声(練習中)で囁いた。

「いつまで寝ているんですか、お姫様。……起きないと、目覚めのキスをしちゃいますよ?」

 これは、俺が愛読している恋愛小説『暴君公爵の甘やかな監禁』に出てくるキラーフレーズだ。
 スパダリたるもの、寝坊助なパートナーをこうやって甘く、強引に起こすのが正解なのだ。
 もちろん、実際にキスをするつもりはない。男同士だし。
 あくまで「ドキッとさせて覚醒を促す」という高等テクニックである。

 その時だった。

 パチリ。
 シリル様のまぶたが、ゆっくりと持ち上がった。
 そこにあったのは、寝ぼけた瞳――ではなく、獲物を前にした肉食獣のように鋭く、そして熱を帯びたアイスブルーの瞳だった。

「――っ!?」

 目が合った瞬間、背筋が粟立った。
 危険信号が脳内で鳴り響く。
 逃げようとしたが、遅かった。

「……どうぞ?」

 かすれた、けれど艶のある声。
 シリル様の腕が、蛇のように伸びてきた。
 俺のネクタイを掴み、強烈な力で引き寄せる。

「うわっ!」

 世界が反転した。
 ふかふかの羽毛布団に背中から沈み込む。
 視界を覆ったのは、天蓋の刺繍と、覆いかぶさってきたシリル様の美しい顔だった。

「し、師匠!? 起きてたんですか!?」
「今、起きた。……君の魅力的な提案のおかげでね」

 シリル様は俺の両手首を片手で制圧し、頭の上に縫い付けた。
 いわゆる「床ドン」の体勢だ。
 寝起きとは思えない握力。そして、至近距離から注がれる視線の圧がすごい。

「ま、待ってください! さっきのは冗談で、その、小説の真似事で……」
「男に二言はないだろう? リアン」
「いや、俺はまだ見習いなので二言くらいは許してほしいというか!」
「ダメだ。……約束通り、もらおうか」

 シリル様の顔が近づいてくる。
 ミントのような清涼な香りと、彼自身の持つ甘い体臭が混じり合い、俺の思考を麻痺させる。
 近い。
 唇が触れる距離。
 シリル様の長い睫毛が触れそうなほど近くで、彼の吐息が俺の唇にかかる。

(お、怒ってる……!)

 俺はギュッと目を瞑った。
 これは「お仕置き」だ。調子に乗ってイキった真似をした俺への、師匠からの愛の鉄拳制裁(キス?)が来る!

 しかし。
 数秒待っても、衝撃は来なかった。
 代わりに、首筋に柔らかく、湿った感触が押し当てられた。

「んっ……!」
「……はぁ。君がそんなに震えていては、興が削がれる」

 シリル様は俺の首筋に顔を埋め、深く息を吸い込んでいた。
 まるで猫吸いならぬ、リアン吸いだ。

「おはよう、リアン。……今日もいい匂いだ」
「……おはようございます、師匠。あの、どいてくれませんか? 重いです」
「嫌だ。あと五分。魔力補給中だ」

 シリル様は俺の上に全体重を預け、再び目を閉じてしまった。
 俺は公爵様という高級な布団を被った状態で、天井を見つめた。

(危なかった……)

 心臓が早鐘を打っている。
 さっきの腕力と制圧力。さすがは元騎士団のホープだ。寝起きでこの反射神経とは、恐るべき戦闘能力である。
 俺がスパダリになるには、まだまだ修行が足りないということか。
 もし俺がもっと強ければ、逆にシリル様を組み敷いて「おはよう、子猫ちゃん」くらい言えたはずなのに。

「……悔しい。明日こそは負けない」
「……フッ、期待しているよ」

 胸元でシリル様がくつくつと笑った。
 俺は不本意ながらも、彼が満足するまで抱き枕としての職務を全うすることにした。


 ◇◇◇

 朝のひと悶着(スキンシップ)を終え、俺たちはダイニングルームへ向かった。
 シリル様はすでに完璧な「公爵モード」だ。
 仕立ての良い三つ揃えのスーツを着こなし、背筋を伸ばして歩く姿は、先ほど俺に甘えていた人物とは別人のようだ。

「おはようございます、閣下。リアン様」
「おはよう」

 使用人たちが整列して出迎える。
 俺はシリル様の椅子を引き、彼が座るのを確認してから、その隣――本来なら公爵夫人が座るべき位置――に当然のように腰を下ろした。
 最初は遠慮して立っていたのだが、「君が隣にいないと食欲が湧かない」とシリル様が駄々をこね(ハンガーストライキを決行し)、執事長に泣きつかれた結果、この配置が定着してしまったのだ。

「今日のスクランブルエッグは焼き加減がいいね」
「本当ですか? シェフに伝えておきますね」
「リアン、あーん」
「はいはい」

 シリル様がフォークに刺した卵を差し出してくる。
 俺はそれを自然に口に入れた。
 美味しい。ふわふわだ。

「……ん? 逆じゃないですか?」
「何が?」
「普通、補佐官が毒味も兼ねて食べて確かめてから、君主に食べさせるものでは?」
「深く考える必要はないだろう。それに、君の唇に触れたフォークで食べる方が、料理が美味しくなるからね」
「またまた。衛生的にどうなんですかそれ」

 俺たちは軽口を叩きながら食事を進めた。
 周囲の使用人たちは、壁のように無表情を貫いている。
 彼らはプロだ。目の前で繰り広げられる主従のイチャイチャ(に見える何か)を見ても、眉一つ動かさない。サングラスを配った方がいいかもしれない。

 食後の紅茶を飲みながら、シリル様がふと真面目な顔になった。

「リアン。今日の午後の予定は?」
「ええと、三時から商業ギルドとの面談。その後、領地からの報告書確認ですね」
「……ギルドとの面談はキャンセルだ。代理を立てる」
「え? なんでですか?」
「ギルド長が交代したらしい。新しい長は、二十代の女性だそうだ」

 シリル様はティーカップを置き、冷ややかに言った。

「君をそんな場所に行かせるわけにはいかない」
「そんな場所って、仕事の打ち合わせですよ?」
「若い女だぞ? 君の手を握ったり、上目遣いで契約を迫ったりするに決まっている」
「そんな物語みたいなハニートラップ、一般人はしませんよ」

 俺は苦笑した。
 シリル様は過保護だ。
 俺が少しでも若い女性(あるいは男性)と関わろうとすると、全力で阻止してくる。
 きっと、俺が騙されやすい性格なのを心配してくれているのだろう。
 「優秀な部下を守るのも上司の務め」というやつだ。ありがたい。

「安心してください、師匠。俺は公私混同しませんから」
「信用できないな。君は無自覚に人をたぶらかす才能があるから」
「たぶらかす!? 俺が!?」
「ああ。……今だって、私の理性を削っていることに気づいていない」

 シリル様は恨めしそうに俺を睨み、それから立ち上がった。

「行くぞ。執務室で、私から離れずに仕事をすること」
「はいはい、仰せのままに」

 俺は苦笑しながら、彼に従った。
 この「過保護な上司」と「世話焼きな部下」の関係は、とても居心地が良い。
 ずっとこのまま、平和な日常が続いていくのだと思っていた。

 ――あのお客様が来るまでは。


 ◇◇◇

 昼下がり。
 執務室で、シリル様の肩を揉んでいた時だった。
 コンコン、と扉がノックされた。
 入ってきたのは、顔色の悪い執事長だった。

「閣下、急な来客です」
「アポのない客は通すなと言ってあるだろう」
「そ、それが……王宮からの使者でして」

 王宮。
 その単語に、執務室の空気がピリリと引き締まった。
 シリル様はペンを置き、眉をひそめた。

「王宮からの使者が、何の用だ?」
「はっ。……隣国、ロズタリア王国の第三王女、エリス様のご訪問について、とのことで……」
「ロズタリア?」

 俺は首を傾げた。
 ロズタリア王国は、我が国と友好的な関係にある大国だ。
 そこの王女様が来る? 外交案件だろうか。

 執事長は、ちらりと俺を見て、それから言いにくそうに続けた。

「実は、エリス王女殿下は、今回の留学にあたり……『婚約者候補』を探されているそうでして」
「…………」
「その最有力候補として、我がオルディス公爵家の当主、シリル様に白羽の矢が立った、と……」

 シーン。

 部屋の中が静まり返った。
 俺は、パチパチと瞬きをした。

 婚約者候補。
 王女様。
 シリル様。

 三つの単語が脳内で化学反応を起こし、俺の中で一つの結論が弾け出した。

「お、おおおおお!」

 俺は思わず声を上げた。
 シリル様がビクリと肩を揺らし、俺を振り返る。

「……リアン?」
「ついに! ついに来ましたね、師匠! 春が!」
「……は?」

 俺は興奮して、シリル様の両手を握りしめた。

「王女様ですよ!? しかも留学してくるなんて、まさにロマンスの王道じゃないですか! さすが師匠、国際結婚の可能性まであるなんて、グローバルなスパダリですね!」

 俺は感動していた。
 ずっと心配していたのだ。
 シリル様は顔も家柄も完璧だが、性格に難がある(対人恐怖症に近いレベルで他人を拒絶する)。
 このままでは一生独身で、俺という男やもめの補佐官と老後を過ごすことになるんじゃないかと。
 だが、相手が王女様なら話は別だ。身分も釣り合うし、きっと素敵なレディに違いない。

「おめでとうございます! 俺、全力でサポートしますよ! デートプランの作成から、プレゼントの手配まで任せてください!」
「…………」
「師匠? どうしました、そんな怖い顔して」

 シリル様は黙っていた。
 いや、ただ黙っているだけではない。
 部屋の温度が急激に下がっている。窓ガラスに霜が降り始めそうな勢いだ。
 アイスブルーの瞳が、絶対零度の光を宿して俺を見つめている。

「……リアン」
「は、はい?」
「君は、私が他の誰かと結婚しても……嬉しいのか?」

 低く、地を這うような声。
 怒っている。確実に怒っている。
 なぜだ? 照れ隠しか?

「そりゃあ、嬉しいですよ! 師匠の幸せが俺の幸せですから!」
「……そうか」

 シリル様は俺の手を振り払った。
 バシッ、という乾いた音が響く。
 俺は驚いて硬直した。

「君にとって、私はその程度の存在だったということか」
「えっ、いや、どういう……」
「出ていけ」
「師匠?」
「私の前から消えろ。今すぐにだ」

 シリル様は椅子を蹴るようにして立ち上がり、執務机の上の書類を乱暴に払いのけた。
 書類が雪のように舞い散る。
 俺は呆然とその光景を見ていた。

 こんなに取り乱したシリル様を見るのは、初めてだった。
 いつも冷静で、俺には甘い師匠が、本気で俺を拒絶している。

「わかり……ました。頭を冷やしてきます」

 俺は逃げるように執務室を出た。
 扉が閉まる瞬間、部屋の中からガシャン!と何かが割れる音が聞こえた。

 廊下に出た俺は、ズキズキと痛む胸を押さえた。

(……なんでだ?)

 師匠に春が来たことを喜んだだけなのに。
 なんであんなに怒られたんだ?
 それに、なんで俺は……こんなにモヤモヤしているんだ?

 「おめでとう」と言った自分の声が、どこか上滑りしていたような気がする。
 王女様と並ぶシリル様の姿を想像すると、胸の奥がチクリと刺されるように痛い。

(俺は、一番弟子として師匠の幸せを願っているはずなのに……)

 この胸の痛みが、「嫉妬」と呼ばれる感情であることに、俺はまだ気づこうとしていなかった。
 そして、この「王女来訪」が、俺たち二人の関係を大きく揺るがす大事件の幕開けであることも。
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